外部セミナーへの派遣や、社内外講師による勉強会等、会社が社員に対して学習の機会を与えているケースが増えている。ただし、その機会を活用しきれていない会社も多い。
3つの情報を事前に共有することで、効果は高まる。
近年、印刷業を取り巻く環境が大きく変化する中においても、今後の会社経営で最も重要な資源が“人”であり、有能な人材を育成する仕組みが構築できているか否かが長期的な成長力を左右すると言っても過言ではない。しかし厳しい経営環境の中で余力のある会社は少なく、一つのセミナーに社員を派遣するだけでも、直接経費や時間コストを考えるだけでも簡単に注力できるというものではない。特に中小企業にとっては、効率的かつ効果的な教育機会を提供することが、多くの会社の課題になっているのではないだろうか。
■会社、受講者の意識統一が重要
一般的に、会社側で外部セミナーなどを選択し、趣旨に合う社員に受講させるケースが多い。しかし、JAGATセミナーアンケートを見ると、なぜ、そのセミナーを受けさせるのか?など、会社としての目的や、受講者自身の目標を事前に双方で共有しているケースは少ない。セミナーを受講することは、新しい知識や手法の習得ができるという意味で、一定の教育効果は得られるが、それだけでは不十分である。さらに効果を高めるには、会社側(教育担当者)と社員(受講者)の目的意識の統一を図ることが必要である。ただし、そのために手間ひまをかけたりすることはできないので、以下に、簡単に取り組める一つの方法を紹介する。
■3つの情報を事前に共有する
1) セミナー趣旨について、受講者へ説明
2) セミナーを受講させる会社の狙いを受講者へ説明
3) 受講者は上記2点を理解し、自己分析を行い現状の課題を考える
セミナーの趣旨に関しては、研修会社が情報として開示しているので、それを会社側(教育担当者)が受講者に事前に伝えることは多い。しかし、その趣旨を会社として理解したうえで、なぜ“あなた”が受けるのか、そして会社として“こう成長して欲しい”から受講する機会を与えている等、会社としてセミナーを受けさせる“狙い”について、伝えている会社は少ない。意外ではあるが、セミナー受講者にヒアリングしてみると、
「会社から言われたので受講しに来た。」
「何のセミナーかあまり理解していない。」
「なぜ受けるのかあまり理解していない。」
などの声も聞こえる。セミナー趣旨だけではなく会社としての狙いを理解し意識させたうえで、受講させる方が得られる教育効果は高い。当り前のことを言っているようだが、その当たり前ができている会社は少ない、ぜひ実行して欲しい。
加えて、受講者に対して、事前に自己分析をさせることが必要だ。多少面倒ではあるが、現段階で会社が求めている仕事、能力に対して、何ができていないのか(問題点の把握)、そして何を優先して能力を高める必要があるのか(課題の把握)を“見える化”することで、セミナー受講時に何を優先して学ぶべきか、何をポイントに聞くべきかが明確になる。そうすると、学習効果は何倍も上がる。
実際に、JAGATのセミナー、コンサルティングを利用されている印刷会社には、事前にこれら3つの情報を共有した上で、受講していただいている。教育担当者である役員の方からも、「社員が何を課題に考えているのか、今まで知らなかったことが把握できた」、受講者からも「事前に理解していたので講義に入りやすかった」等の声をいただいた。
今回は、3つの情報を事前に共有する点について紹介したが、次回は情報共有の仕方、共有した情報をもとに目的、目標をどう設定するかについて紹介する。
(JAGAT CS部 塚本直樹)
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