水なし印刷の印刷物に付いている「バタフライマーク」について教えて下さい。

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:環境問題

Q:水なし印刷の印刷物に付いている「バタフライマーク」について教えて下さい。

A:バタフライマークとは、「この印刷物は、水なし平版によって印刷されたものです」ということを表示するマークのことです。 

【Waterless Logo使用のための手続き】
1.水なし印刷を実施している印刷会社、または今後実施しようとしている印刷会社は下記日本WPAホームページから、登録フォームでに申し込みます。
2.日本WPAはシカゴにあるWPA本部に、翻訳後、正式に登録します。
3.登録終了後、マークの使用を認証する通知がe-mailにて届きます。
4.認証通知と同時にパスワードが発行されます。
5.ホームページ上でパスワードを入力することにより、ウォーターレスマークをダウンロードして各印刷物に使用できます。
 このようなマークを印刷することにより、印刷会社の得意先の企業にとっても環境に配慮した事業活動をしていることをアピールできることになります。

【WPA結成】
 1978年、アメリカで産業廃棄物を下水道に排水する取り締まり強化のための条例「事前処理基準」が制定されてから14年後、バージニア州環境改善局は、水なし平版の使用を奨励しました。この時に行政が印刷業者に対し、規制厳守につながる版材の使用を啓蒙する動きが出てきました。
 そして、1993年9月、印刷業者40社機材メーカー27社がシカゴに集まり、水なし平版の採用を啓蒙する団体「WPA(Waterless Printing Association)」が結成されました。団体はすぐに水なし印刷実施のトレードマークをつくり、使用基準を明確にしました。水なし版を使い環境保全に積極的に取組み、しかも品質の高い印刷物を製造する印刷会社にしか使用許可を認めないという厳しい使用基準でした。
 その後、水なし印刷を認証するWaterless Logo(バタフライマーク)へと変更されました。 1997年、ドイツでもデュッセルドルフでEWPA(Europa Waterless Printing Association )が結成されました。

【日本WPA】
 Waterless Logoは、R100やSOYINKなど、環境ラベルと同じように行政や企業、そして印刷業者からマーク取得の気運が高まってきました。2001年の「環境報告書」で初めてWaterless Logoを掲載したトヨタをはじめ日産、国土交通省、オムロン、セイコー電子、などの企業や行政が発信する印刷物にウォーターレスを掲載しており、水なし印刷を指定する企業数が増えています。そしてJGAS2001で日本全国のWPA加盟印刷会社が集まり、日本のWPA活動が始まりました。
2002年4月のIPEXにおいて、WPA本部との調印を終え、5月、正式に「日本WPA」として発足しました。今後日本WPAは、水なし印刷を通じた情報交換、会員間の交流と協力、情報発信、セミナー・見学会の開催などを行い、WPA本部とも歩調を合わせて環境保全や会員の事業発展を目指して活動行くこととなります。

【水なし印刷の環境保全】
 通常のPS版はPh12以上の強アルカリ現像廃液が発生し、湿し水廃液は水質汚濁防止法で定められたBOD、CODなどの基準値を超えていますので、特別管理産業廃棄物として回収が義務づけられています。
 平成13年10月に施行された東京都の環境確保条例で、IPAは「適性管理化学物質」として使用説明の報告が義務づけられました。また、日本印刷産業連合会やグリーン購入ネットワーク(GPN)では、オフセット印刷におけるグリーン基準を設定し、IPA5%以下の使用を自主規制するよう啓蒙し始めました。
 水なし版は、有害な廃液が一切出ない水現像方式です。現像処理後の排水は下水に流すことができます。
 水なし版表面のシリコンゴム層が水あり版の湿し水に相当し、インキを反撥します。そのため、エッチ液やIPAなどの有害物質を含む湿し水を使用していません。

 日本WPA
〒112-0006
東京都文京区小日向2-31-14
日本WPA事務局・五百旗頭(いおきべ)
TEL 03-5976-8031 FAX 03-5976-8030
URL:http://www.waterless.jp
e-mail : t.iokibe@tcn-catv.ne.jp

資料提供:東レ株式会社 印写システム事業部

 

(2002年5月20日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)