オフセット印刷用のJapan Color2001とオフ輪用のJapan Color2003がありますが、枚葉印刷と輪転印刷では何故色が違ってしまうのでしょうか。

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:オフセット印刷用のJapan Color2001とオフ輪用のJapan Color2003がありますが、枚葉印刷と輪転印刷では何故色が違ってしまうのでしょうか。

A:平版印刷での枚葉印刷と輪転印刷(この場合はドライヤーで熱風乾燥させるヒートセット型オフ輪とします)で色の違いが出るということには、様々な背景があります。
 乾燥の方式による違い
 枚葉印刷は自然に乾燥する方式で、それは植物油が「酸化重合」により固まり、また鉱物油は用紙に「浸透乾燥」することで、インキが時間をかけて用紙に固着されます。一方のオフ輪は紙面上で100度~110度ほどの熱を与え、鉱物油成分を瞬間的に蒸発させることでインキを固着します。この方式の違いにより、インキ表面は異なる印刷面を持つことで、光の反射等の影響もあり色が変わって見えます。

 紙の問題
  オフ輪用紙は縦目の紙を印刷方向に引っ張っていきますが、枚葉紙は縦目・横目の違いもあり、湿し水を含むことで逆目方向に用紙が伸びてしまいます。この影響で見当精度が悪くなり微妙な色変化がありますが、オフ輪の場合は同一の用紙でもこの点はあまり影響がなく、相違点が現れます。また、マット・上質系の用紙では、アート・コート紙よりもインキの量(膜厚)が多くなり、その用紙への転写量の違いでも色が変わってきます。

 根本的な相違は印刷機構の違い
 枚葉印刷は版胴・ブランケット胴・圧胴の3胴で用紙に転写しますが一般的なオフ輪は版胴・ブランケット胴が上下に並び、上下のブランケット胴の間に用紙が流れ、ブランケット胴が圧胴も兼ねて相互のインキを用紙に押しつけています。この違いにより印刷時のドットゲイン(インキの太り)やトラッピング(インキの刷り重ね量)、網点やベタのツブレなどに違いが出ます。この違いがもっとも普遍的なものです。

  枚葉とオフ輪の相違は絵柄・用紙・インキの色相・印刷速度・その他で様々な相違点が出てきますので、一概に答えはありませんが概ね、上記のような要因が主だと考えてください。

 

(2010年3月1日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)