突然停電になったときの印刷機の対処方法はどうしたらいいでしょうか。

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:突然停電になったときの印刷機の対処方法はどうしたらいいでしょうか。

A:2003年の夏は、原発の停止による電力不足が予想されています。夏は家庭もオフィスも一斉にエアコンを使用しますので、1年の中でも一番電力を消費する時期です。電力不足による電力供給については、事前にエリア指定がなされたり、電気予報という情報が出されますので、突然停電になる可能性は低いといってもいいかもしれません。そういった情報を的確にキャッチしてトラブルがないように作業することが大切です。 
  ここでは最悪の事態を想定し、もし世の中が停電になり印刷機が突然ストップしたら、その対処をどうしたらいいかについて考えてみたいと思います。ここで述べることは、あくまで一般論です。

  停電になったときに枚葉印刷機上で問題として起こる事は、
① 胴がはいりっぱなし(圧がかかった状態)
② 用紙が中でストップ
③ インキローラーにインキがついたまま
 です。
  停電になったら、まず第一にメインスイッチを切ることです。そして、メインモータについているブレーキをオフにして手動で正転の方向へフライホイルを回します。正転で回すと自動的に胴の圧は抜けます。しかし、機械によっては圧を抜く独自の機構をもっていることがあり、その場合は圧を手動で抜いてから機械の中の用紙を全部デリバリに排紙します。これで①②の問題は解決します。
  枚葉印刷機の使用されるインキは酸化重合型ですのでそのままにしておくと乾燥して固まってしまいます。そうなると、印刷機を分解してインキローラーを洗浄しなければなりません。  そこで、インキローラーを乾燥させないために、機械を手動で回しながらインキローラーに乾燥防止剤スプレーをかけます。停電は1時間以内の場合であればスプレーは通常使用している量で十分でしょう。
  しかし、長時間(1時間以上)停電しそうな場合は、手動で機械を回しながら乾燥防止剤スプレーを通常より多めにかけ、薄紙(例えば模造紙)をインキ壷の上に載せておくとよいでしょう。
  また、版とブランケットの表面のインキを手動で洗浄する必要もあります。版は酸化防止のためにガム引きをしたほうがいいでしょう。
  通電したら、インキ壷の紙を取り、インキローラ・ブランケット・版を全て洗浄し乾燥防止剤を含んだインキを取り除きます。乾燥防止剤を含んだインキで印刷すると裏ヅキの原因となります。

  次にオフ輪ですが、インキは熱乾燥型なので高温(150~280度、機種によって異なります)の熱風をかけた後に冷却することにより乾燥します。ですからインキローラー上で乾燥する心配はありません。
  ドライヤーについてですが、通常の緊急ボタンを押すと安全装置が働き熱風を外に逃がすようになっています。しかし、いきなり停電すると、紙のテンションが切れてドライヤは自動的に止まります。この場合、安全装置は作動せず、熱風は工場内に充満して多少の煙や臭気がこもる可能性があります。ここで大切なのはガスを止めるということです。機種によって自動的に制御されるのもあるようですが、そうでないものはいち早く手動で止めることです。また、ブランケットの圧を逃がして用紙を全て取り除くことも必要です。
  データの保管も重要です。停電によりデータが消えてしまう恐れも考えられますのでプロテクトをかけたりバックアップをしたほうがいいでしょう。

  その他、それぞれの機種によって上記以外の事項があったら、独自の対処方法を考えておかなければなりません。

 

(2003年7月7日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)