印刷機上でのトラッピングについて教えてください。

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:印刷機上でのトラッピングについて教えてください。

A:印刷でのトラッピングとは、多色印刷のとき、先に刷ったインキ層が後に刷るインキ層をうまく捕らえるということです。
 トラッピング不良というトラブルが発生することがありますが、原因としては、先刷りのインキに比べて、後刷りのインキのタック値が大きい場合があります。タックとは、印刷インキの粘りつきのことをいいます。当然、付着力の強い方が弱い方を引きこむことになります。これにより、紙に転移された先刷りのインキが一部引き込まれ、ブランケットを介して後刷りのインキユニットに混じりあうことがあります。
 もう一つの原因として、先刷りインキの盛り過ぎがあります。インキが転移するとき、インキの皮膜は小さな空洞を生じながら分裂し始め、次第に空洞が大きくなっていき、ひきちぎられます。
 この現象は、インキの盛りが厚いほど空洞が生じやすくなります。つまり多色印刷の場合は先刷りのインキも乾燥する時間がなく、ウェットの状態であるから、後刷りのインキが転移される時の条件は両者同じと考えたほうがいいでしょう。そうなると先刷りのインキの埋まりが厚いほど転移の条件がよくなり、紙に転移されたインキの分裂が生じることになります。
 対処としては、(1)先刷りインキにタック値を低い物を選ぶ、(2)濃度のあるインキを使用する、(3)先刷りインキの盛りを薄くする、(4)セットの速いインキを先刷りに使用することなどがあげられます。

ちなみに、プリプレスでいうトラッピングについて
 印刷物上で異なる色版の境界がわずかにずれ、毛抜き合わせの輪郭部分がぼけたり、分色版の色が出たり、白い隙間が出ることがあります。これらは、印刷機の機械精度や用紙の伸縮などが原因で総称して版ズレといっています。
 従来の製版では、フィルムの反転露光をするために画像部が太って、毛抜き合わせの境界が自然になじんだり、露光の調節でなじませる工夫ができました。
プリプレスでは、反転露光による調節ができないため、毛抜き合わせの境界をデータ上で微調整する作業のことをトラッピングといいます。

 

(2002年5月1日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)