※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:文字組版
Q:明朝体とゴシック体の言葉の語源は?
A:
明朝体
明朝体は日本で名づけられたもので、元は中国で宋時代の木版印刷の発展から自然に発生し,明時代の正徳・嘉靖年間 (1508~1566) に定着しました。日本では,天和3年(1681)に僧鉄眼が復刻した鉄眼版一切経は, 日本ではこれが明朝の万暦年間に出版されたものを基にしたので,明朝体のルーツと言われるようになりました。
日本では漢籍を模刻(覆刻本)する過程で、江戸時代中期にはほぼ現在の明朝体の骨格を持った書体が形成されてきたと言われています。
ちなみに中国では明朝体のことを「宋(SONG)」ともいい、これは宋時代の字は宋朝体と言われ明朝体の祖形になっています。
ゴシック
15世紀の中頃に、グーテンベルクが開発した活字印刷術に用いられたラテン文字は,後年にドイツの国字となりドイツ・ゴシックと呼ばれました。その後,印刷術が各国に伝播すると共にこの書体も普及しましたが,読みにくさからイタリアではローマ時代の書体を基にローマン体が創作されました。ヨーロッパでゴシックと言えばこの装飾された文字を示します。
20世紀になるとサンセリフと言う書体が開発され、これが太さが一様なセリフ(ウロコ)の無い文字なのです。アメリカのベントンは創作したサンセリフ体に「オルタネート・ゴシック」(ゴシックに替わる書体の意味)と命名しました。この活字が日本に輸入され,長い書体名を略して「ゴシック」と呼ばれて、いつのまにか「ゴシック」として日本に定着してしまったと言われています。
当時の日本では印刷の題名や見出し書体に隷書体を用いるものがありましたが,欧文のゴシック活字が輸入されると,このデザインに触発されて和文のサンセリフ体が設計されました。これを日本ではゴシック体と呼称し「呉竹体」と漢字書きされることもありました。中国では黒体と呼んでいます。
ですので、日本で言うゴシック体のデザインコンセプトは、欧米のサンセリフにあたります。
(2001年10月8日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)