※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:グラフィックス
Q:クライアントに納品するデータについて、注意すべき点などがあったら教えてください。
A:
注意するポイント
データの中身で注意すべきポイントは、OS(Macintosh、Windows)の違いと納品データの用途に注視する必要があります。この整合性が取れていないと、データを正しい状態で開けなかったりデータが使用するのに適切な状態になっていなかったりトラブルに繋がる可能性があります。
アプリケーションの種類別~拡張子
まずその納品データを使用するOSの違いについて、Windowsのファイルには拡張子が必要になります。WindowsのOSが何のアプリケーションで作られたデータかという識別を行うためのものです。
Macのファイルは識別を「タイプ」と「クリエータ」と呼ばれる記述によって行っています。これは拡張子と違ってファイル名に付けるのではなく、データ内部に記述されており、拡張子がなくてもMac OSが何のデータかを区別することができます。そのためDTPオペレーターを含むMacユーザーの中には、ファイル名に拡張子を付ける習慣がない人もいます。これがWindowsユーザーとのデータ交換や納品の際に思わぬトラブルを発生させます。例えば、拡張子の付いていないMacのDTPデータをWindowsを使用するお客さんにそのまま納品したとします。このデータをWindowsで開こうとするとファイルタイプが不明になり、「何のデータなのか分からない」というクレームになります。納品の際にファイル名に正しい拡張子を付ける必要があります。
Mac→Windowsのデータ交換でもう一つ問題になるのが、レイアウトソフトや下版データの納品についてです。InDesignやQuarkXPress、Illustratorなどのアプリケーションのレイアウトデータには、画像などのリンクファイルが貼り込まれている場合がほとんどです。これをWindowsで認識できるように、各データに拡張子を付けるとファイル名が変更されたことになり、リンクが切れて納品後にクレームになることもあります。その場合は後でリンクをし直すなど、データリメイクが必要になります。リンクファイルが多ければかなりの手間と作業時間が掛かるので、通常業務でこの形態でのデータ納品が多いお客さんには、最初のDTPデータから拡張子を付けた状態での制作を行うなどの配慮をすべき場合もあります。
データ形式の種類別
・画像データ
DTPデータで使用した画像をWebに転用したいから納品してほしいという場合もあります。この場合は、DTP画像をそのまま納品することで、お客さんとの話がついていれば問題はありません。しかし、Web用に加工して納品する必要がある場合もあります。
同じ画像でもDTPとWebに使用するものでは、その成り立ちが違うことを理解しておかなければなりません。カラーモードと画像フォーマットと解像度がDTPとWebとでは違います。画面で表示するための状態、モードはRGB、フォーマットはJPEG・GIF・PNG、 解像度は72ppiにして納品したほうがいいでしょう。
・テキストデータ
Web用やそのほかのドキュメント用など、いろいろな用途でDTPデータからテキストデータを抜き出して納品、というケースもあります。テキストの書き出しは各アプリケーションにその機能がありますが、問題はテキストファイルをどのような仕様にするかです。
例えば改行が入っているのと入っていないのとでは、使い道によっては作業効率が大きく違ってきます。テキストデータの流し込みなどに使用するのであれば、改行はかえって邪魔になることがあります。それからプレーンテキストなのかリッチテキストなのか、という問題があるかもしれません。後でクレーム化する可能性を考えると、データ作成前にお客さんに用途を確認しておいたほうがよいでしょう。
データ納品は、納品後のことが考慮できることが大事です。具体的にはお客さんがそのデータを何に使うのか、その使い道によって支障が出る要素は何かないかを先手を打って考えられることがトラブルを防ぐ最良の手段と言えます。
プリンターズサークル 2007年5号より
(2008年1月28日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)