特性曲線とはどういうものですか。

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:グラフィックス

Q:特性曲線とはどういうものですか。

A:印刷では様々な変動要因があります。その一つが材料によるもので、平版オフセット印刷では「湿し水」、「インキ」、「用紙」とまったく適正が異なり、相互に影響しあうものを調整しながら使用しています。たとえば「湿し水」と「インキ」の関係では、水により油性インキを化学的に変動させる「乳化」という現象を起こしトラブルとなり、「インキ」と「用紙」ではインキの性能や用紙の表面状態によりインキ着肉に影響します。また「用紙」と「湿し水」は、水を含むことにより用紙を伸ばし、見当不良の原因となります。 
  また、印刷機そのものでも様々な変動要因がありますが、その最も顕著なものが「ドットゲイン」といわれる原稿(元データ)に対して網点が太る(網%が大きくなる)現象です。ドットゲインは印刷機械の版胴-ブランケット胴の間で発生し、印刷機械やゴム製のブランケットの種類などの組合せにより、すべての機械で異なります。
  これらの印刷条件を踏まえ、固有の印刷機械の「印刷再現」を示したのが「印刷特性曲線」で、「印刷再現カーブ」、製版では「トーンリプロダクション・カーブ」などとも呼ばれます。

13622_01
  一般的な図は、「リニア」という45度で右上がりに示す直線は、原稿(フィルムやデータ)の50%に対して、50%で再現するという、いわば理想の特性を現しています。しかし一般的な刷版再現は、ドットゲインで太る量を考慮し、中間部分を減らした網点を版上に再現し、印刷された際のドットゲインによりリニアに近づけようとしています。つまり、50%部分で10%のドットゲインがある(60%になる)場合、刷版では50%の網点を40%で再現してあげれば、ちょうど50%で印刷できるだろうという考え方です。(実際にはこのようにピタリとはできません)
  印刷機では各胴ごと(色ごと)にドットゲインが異なり、カラー印刷でオペレータは色調整に苦労しています。しかし、CTPが主流となるとフィルム刷版とは異なり、刷版での網点再現設定(キャリブレーション)が比較的容易にできるようになったため、ドットゲインのコントロールはしやすくなりました。
  このように、印刷機をめぐり様々な変動要因がありますが、印刷機での印刷再現を知るためには、絵柄だけを評価するのではなく、網点ステップから測定したデータで、このような特性曲線を描くことが最も正確なものです。一般的にはこのような特性曲線や、ドットゲイン値だけを示す「ドットゲイン・カーブ」などを図示して、印刷機の再現を知り、修正の方向や継続的なメンテナンスに役立てています。印刷現場の方以外でも、印刷機の挙動とその再現を知る方法として、この図の意味を知っておくとよいでしょう。

 

(2008年1月21日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)