スチール(金属)缶の印刷方法と特長について教えてください。

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:スチール(金属)缶の印刷方法と特長について教えてください。

A:金属スチールへの印刷は意匠性、美麗性、機能性がありリサイクルできる環境に優しい金属製品(容器)であることが特長です。素材が金属のためインキ・塗料を全く吸収しないので焼付けや速乾性が求められます。印刷・塗装した後、鋭角な折り曲げ・ロール成型・穴あけなどの加工があります。デコレーション(デザイン性)を有する製品であるため金属と塗料との密着性、加工性、表面硬度・光沢・耐摩擦性などの塗膜性能が必要です。

金属原板はSPTFS(ティンフリースチール)、SPTE(ブリキ)などがあります。その選択は印刷被膜機能および印刷外観表現において非常に重要です。それぞれの機能・特性を十分に研究して使用することが望まれます。その成分および規格は、JISG3303によって規定され、新日本製鐵、JFEスチール、東洋鋼鈑の大手メーカーで製造されています。

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プリプレス工程では、通常印刷業界で使用されているソフトで制作され、特別のものを使用しているわけではありません。金属オフセット印刷に使用される原版のスクリーン線数は被印刷体の種類によって異なることはありませんが、175線以上になると網点再現性が劣るため、現在は150線が一般的に使われています。

刷版について、金属印刷はアナログで行われていましたが、最近はデジタルに移行しています。CTPになったからといって金属刷版の専用出力機ではなく一般の紙への印刷に使用する出力機を兼用しています。通常の平版オフセット印刷と同一で、AL板へ感光剤を塗布したPS版を使用しております。

色校正についてはケースバイケースですが、平台校正機または本機校正で行います。尚、平台はブランケットがあるが、圧胴がなく版と板をテーブル上に固定して印刷しています。

印刷方法は、金属原板専用の平版枚葉印刷機で印刷されます。使用されるインキはUVインキで紫外線乾燥させる方法と、油性インキで熱乾燥させる方法があります。下版から納品までの納期は20~30日が目安です。

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金属印刷製品(容器)に使用する材料(スチール)は人と自然に優しい製品であり、リサイクル率が85.1%(2008年スチール缶リサイクル協会調査)と他の材料(PETボトル66.3%、古紙74.5%、)と比較すると優れたリサイクル容器であり、スチール缶(容器)は何度でも新たな資源としてリサイクルできます。

分別排出されたスチール缶(容器)は、磁力選別を行い他の材料(AL缶、樹脂)と区別されます。磁力選別されたスチール缶(容器)はプレス加工が行われ、鉄鋼メーカーに集められ圧延(溶けた鋼は圧延機で延ばされる。)され転炉(スチール缶等の鉄スクラップは溶かした鉄鋼石と転炉で一緒になったり、電炉でそのまま溶かされて鋼になる)の工程を経てスチール缶、冷蔵庫、洗濯機等の家電製品、自動車、橋やビルの鉄骨、自転車、講演遊具等、身の回りに有るあらゆる製品にリサイクルされます。

スチール缶をリサイクルすることでスチール缶を新しく作るよりエネルギーの消費が 1/4、CO2の発生を82%減らせ地球温暖化防止に寄与できます。スチール製品は材料、インキ、染料の組合せで種々の意匠(デザイン)のバリエーションの有る製品をつくります。スチール缶(容器)は保全(密封、防湿)、防ぐ(遮光)、守る(耐衝撃)、強い(耐水耐熱)、安心(危険物滴性)の特性を有しています。

取材協力、資料提供:共同印刷(株)

 

(2009年4月6日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)