※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:特殊印刷
Q:軟包装について教えてください。
A:基礎となるデザインについてはメーカー側が制作します。印刷会社は受け取った原稿をグラビア印刷で再現する為に加工を施し、分版作業をすることになります。商品の訴求性を高めるためにユーザーの欲するデザイン再現を常に考えなければなりません。 顧客のニーズをいかに形にしていくかということです。
軟包装の印刷素材はPET、OP、ナイロン、セロハンなどが代表的なものです。軟包装は内容物の保護という問題があり、その要求を満たさなければなりません。内容物・食品のライフ・流通形態・デザイン性などを考慮する為、材質構成は多岐にわたっております。
包装の中身にはレトルト食品から乾き物など様々なものが充填されていて最終的に袋にしないといけません。充填されるものによって、材質構成は単層から複層と変化し、要求物性に応じて貼合するフィルムの内容も変わってきます。袋にするためにはフィルム同士を接着させないといけません。接着させる素材としてポリエチレン系のものとポリプロピレン系のものがあり、熱を加えて樹脂を溶かして接着します(単層の場合は、接着部のみ接着剤をコートする場合もあります)。
食品包材は、食品衛生法、食品包装材料印刷インキに関する自主規制(NL規制に基づく)など衛生基準に適応した材料を使用します。 使用するインキ、素材の組み合わせにより、色の見え方も変わってきます。版校正はカラープリンタ(フィルムに出力)を使用することが多く、ある程度の色の方向性を確認します。色校正は版を作成して校正機を使用する場合もあります。 隠蔽をもたせるための白インキ、金インキ、銀インキ、パールインキ、などの特色は制約事項があります。そこは営業がすべて把握しているわけではないので、技術・工場がバックアップして顧客と交渉することになります。
印刷は最低でも2000メートルは印刷します。商業印刷用のオフ輪は最近のコンピュータ技術により自動化・プリセット機能が進み以前は7万部以上という大量生産向けの機械であったが、今では1万部以下のロットにも対応できています。しかし、グラビアの輪転の場合は今のところ大きな変化はないようです。
世の中の消費者のニーズも多様化しており、メーカーとしては商品が売れるかどうか判断しにくく、メーカーが力を入れたからといって決して売れる時代ではありません。逆に力を入れないものが売れることもあり、先をよめむのは難しいです。
取材協力:㈱千代田グラビヤ URL http://www.chiyogra.co.jp/
(2007年7月2日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)