建材印刷とはどういう印刷ですか。

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:建材印刷とはどういう印刷ですか。

A:建材印刷とは居住空間やビルのオフィス、公共スペースなどの床、天井テーブル、キッチン等のアイテムに関する印刷です。 

 消費者はデザインや色について多くの情報や知識をもっているので趣向が多岐多様になっています。そのため1年・半年というかなり短いスパンでお客様の趣向も変わります。
 例えば木目にも流行があります。一般的に木の種類には杉や松、ブナ等がありますが木の種類自体にもトレンドがあります。またそれにかかわる色(明るいもの、暗いもの、中間色等)も消費者の趣向が変わってきますのでそれに先駆けた提案をしていかなければなりません。印刷会社としてはトレンドを追いかけることがかなり重要になります。

 「ツキ板」という1~2㎜の厚さで木を薄く剥いたもの用意して専用のスキャナで撮影してカラー分解します。以前はカメラで撮影していたが、今は多くがスキャナで撮影するようになりました。
建材印刷用のスキャナは専用のものであり、木目でも光のあて方によって凹凸が変わるため一番リアルに見えるように角度を変えてライティングします。
建材の印刷物は化粧紙と呼ばれています。化粧紙を貼って板ができますが、これは化粧板と呼ばれています。
 被印刷体は加工することを前提にしており多くの種類がありますが多く使われているのが金属のチタンを抄造時にいれたチタン紙というものです。この素材は建材印刷以外には使えません。又、薄葉紙もよく使われます。この2つが建材の代表的な原紙です。
チタン紙は80g/㎡で薄葉紙が30~45g/㎡近辺のものが多く使われています。印刷は平均で3000メートルの巻取り紙が使われます。建材のインキもさまざまですがチタン紙、薄葉紙とも専用のインキがあります。

 表面加工についてもいろいろありますがチタン紙ではメラミン加工、ダップ加工、ポリ加工が代表的です。メラミン加工やダップ加工の用途はテーブルや床、壁等です。ポリ加工は耐久性を求めないところに使われます。
薄葉紙はチタン紙よりもベースが薄くなりますから物性は落ちます。チタン紙の用途よりは物性の求めないところに使われています。加工としてはウレタンコートです。用途は棚板やシステムキッチンなどの内側に多く使われます。

 チタン紙にはメラミン、ダップ等の樹脂を浸透させます(含浸)。そして含浸した状態で板の上に載せて乾燥炉を通して乾燥させます。樹脂は熱硬化タイプなので熱圧でプレスすると一度溶けて固まることにより接着します。
ポリエステル化粧板加工では印刷されたチタン紙を板の上にのせ板に接着剤をつけて貼りつけ、ポリエステルを流して固めます。
 薄葉紙の場合、印刷した状態では表面物性がないため印刷機の最終ユニットでコートをします。このときコーティング剤としてウレタンが多く使われます。ある程度物性を保った紙になり板に接着剤で貼ります。建材の印刷物は化粧紙と呼ばれています。化粧紙を貼って板ができますが、これは化粧板と呼ばれています。

 建材印刷では新版の場合の納期は柄が決まってから印刷までが約一ヶ月半から二月です。色校正については、表面加工したものが評価になるので仕上がりと同じ条件でないと今のところ受け入れてもらえません。デジタル出力機による校正は表面加工した仕上がりではなかなか色は合いにくい為、グラビア枚葉機を使って本機と同じ紙とインキで校正刷りを製作します。
 しかし、出版、商印の分野ではデジタル出力機による校正が行われており、建材分野でも近い将来デジタル化していかないとコストの問題や印刷でも環境問題もあるためこれからの検討課題でしょう。

取材協力:㈱千代田グラビヤ
    URL http://www.chiyogra.co.jp/

 

(2007年5月1日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)