※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:特殊印刷
Q:スクリーン印刷について(インキ)
A:【スクリーン版インキ】
スクリーン印刷で使用されるインキは多種多用です。ひとつひとつについて述べることはできません。ここでは、乾燥形式という切り口から孔版インキについて述べたいと思います。
現在使用されているインキで多いのは蒸発乾燥型インキです。蒸発乾燥といってもケトン系の溶剤、いわゆるシンナーを使用しています。平版オフセット印刷は、アマニ油系の樹脂で酸化重合という乾燥方式で、乾燥が遅いです。そういうタイプもあるにはありますが、スクリーン印刷でそれを使ったら、納期に間に合わないことが多くなるでしょう。
スクリーン印刷会社が、日常使っているのはシンナー系の蒸発乾燥型インキです。溶剤型のインキでその溶剤が飛んでしまうわけです。自然に放置していても飛んでいくし乾燥炉に入れて熱風をかけるやりかたもあります。
これと双璧をなしているのがUVインキです。UVインキは紫外光を照射して瞬間的に乾燥させ、作業効率を上げる等といった利点がありますがUVインキでも蒸発型インキの良さにかなわない部分があります。
蒸発型の良さは、インキの発色にあります。UVインキは紫外光を照射してUV照射光が完全にUVインキ層を通らないとインキは固まりません。ですから、光を通りやすくするために若干透明度を出しているので顔料の量が希薄です。
UVインキの墨と蒸発乾燥型インキの墨を一緒に刷ってみてどっちか黒いかといったら蒸発乾燥型インキの墨の方が黒いです。色の問題などに敏感なデザイナーの方は比べてみると絶対に蒸発乾燥型インキの方がいいといいます。
印刷の現場としては作業性を考えるとUVインキの方がいいのですが発色のことを考えると蒸発型インキのほうかいいです。用途、適材適所で使われています。
蒸発乾燥型インキとどっちが多く使われているかというと、比率は半々ぐらいといわれています。
(2003年2月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)