スクリーン印刷について教えてください。(版について)

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:スクリーン印刷について教えてください。(版について)

A:印刷版式には平版・凹版・凸版・スクリーン版の4つがあり、スクリーン版以外は転写式です。また、他の版式すべてが版上の画像が逆像です(オフセットの場合はブランケット等中間媒体が逆像)が、スクリーン版の場合は正像です。 
  スクリーン版は、画像以外のところはどんな手段を用いてもかまわないので塞いでしまうという考え方があります。なぜスクリーン版が使われるかというと、他の版式の機械では印刷できない被印刷体がたくさんあり、そういったものに柔軟に対処できるとこにスクリーン印刷の利点があります。しかし、機械のスピードは他の版式に比べ劣る部分もあります。
  ここで述べるスクリーン印刷は、用紙・布地・プラスチック・ガラス等への印刷するスクリーンについてで、プリント回路の基板など電子部品を作るステンレススクリーン印刷もあります。

 【スクリーン版の素材】
  もともとは絹糸をメッシュ状に編んでいたものを版(スクリーン)として使用していたのでシルクスクリーン印刷と呼んでいました。
  しかし、絹糸は自然の糸ですから均一性に欠けるという欠点があり、現在の印刷物製造上の精度を考えると限界があります。そこで絹糸に代わる材質としてテトロンやナイロンなどの合成繊維が出てきました。今ではテトロンやナイロンの糸をメッシュ状に編んで版として使用しています。実際のところ、テトロンが多く使われています。
  なぜかというと、版の伸縮はテトロンのほうが伸縮が少なく、ナイロンは伸縮が大きいからです。ナイロンは柔軟性がありますが、精度はよくないという欠点があります。

 【スクリーン版】
  メッシュ状に編んだ布を紗と呼んでいます。それを紗張機(紗を張る機械)で上下左右方向に引っ張ってある程度のテンションに達した時に、フレームに糊付け等をして固定してできあがったものがスクリーンと呼ばれています。
  これを素の状態といっています。その状態だと紗が張られているだけなので、目が詰まっているわけではなく、穴が開いているのでそこからインキが下に落ちてしまいます。
  それでこの後に、印刷画像以外の場所を塞ぐために、感光性のあるゾル(感光乳剤でいろんなメーカーのいろんな種類があります)をフレームに張った紗に塗布します。ゾルが塗布されるとインキは通過しなくなります。

 【刷版】
  刷版では、ポジフィルムを密着して露光します。ここでは、ポジフィルムを密着して紫外線を照射すると感光する部分と感光しない部分に分かれます。あとで水をかけるとゾルの性質として、感光した部分はそのまま残って、感光していない部分は水で流れてしまいます。(通常、水現像とよんでいます) 
  そうするとポジフルムの黒い画像の型通り、そこだけに孔が開き版が出来上がります。これがスクリーン印刷の版の作り方です。
  簡単ないいかたをすれば、イメージする部分以外はどんな方法でも塞いでしまうということです。絵描きさんの世界で、スクリーンをやっている方といのは、写真製版の技術ではないにしても、紗に水性の糊で書いて塞いでしまい、残ったとこだけが印刷できるという原始的なやり方で作品を作っている人もいます。
 

 (2003年2月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)