※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:特殊印刷
Q:レジストインキとは何ですか。
A:電化製品やコンピュータのカバーを開けると、電子部品が搭載された濃緑色の板が出てきます。これがプリント基板です。この基板の回路パターンは、エッチングレジストというインキを印刷し形成されています。
レジストインキには、エッチングレジストインキ、ソルダーレジストインキ、メッキレジストインキ、マーキングインキの4種類がありそれぞれの役割をもっています。
【基板回路作成手順】
1. 一般機器用基板(片面)
(1)一般機器用基板は、紙フェノール基材(紙+フェノール樹脂)をベースにしてこの片面に一般的に約35μの銅箔を張りつけた銅張積層板のことです。回路パターンを製版されたシルク版にエッチングレジストインキをのせ、この銅張りされた面にスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)
(2)銅は酸に弱いが、エッチングレジストインキは耐酸性があります。そこで酸性の液を吹きかけることにより、エッチングレジストインキにより覆われた回路パターン部が残り、他の部分は除去されます。
(3)エッチングレジストインキは耐酸性がありますが、アルカリに弱い性質があるため、アルカリ液(主に苛性ソーダ)を吹きかけるとエッチングレジストインキが除去されます。
つまり、エッチングレジストインキは、銅箔を防御しているわけです。
(4)基板上の回路である銅がむき出しになった状態では、銅は錆びやすく表面に傷がつきやすくなるため、ソルダーレジストインキを用いスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)
ソルダーレジストインキは、基板が取りつけられる最終製品の目的により熱・冷・光・塩分・振動・電気特性等それぞれの環境に応じた耐性をもたせたものであり数多くの種類があります。 (5)最後に、基板には半導体等いろいろな部品が取りつけられますが、その部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)
2. 両面銅張積層板
上記同様、ガラスエポキシ基材をベースにして両面に一般的に約18μの銅箔を張りつけた銅張積層板です。
(1)両面の電気を通じさせるためにドリルで穴を開けます。
(2)穴の部分に触媒を付着させ,無電解銅メッキを施し、その後に電解銅めっきをします。
(3)回路パターンのない部分にメッキレジストインキでスクリーン印刷を施します。乾燥させて銅メッキ又は半田メッキすることにより表裏を通電できる状態にします。そして、メッキレジストインキを剥離して回路パターンを作成します。
(4)ソルダーレジストインキを用いスクリーン印刷を施し、基板の表面と裏面に保護層をつくります。
(5)最後に、半導体等の部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。(インキはUV又は熱で乾燥されます。)
3. 写真現像型ソルダーレジスト
回路パターンは、スクリーン印刷技術を駆使して描かれていますが、印刷法だとどうしても大量の枚数を印刷していくと印圧等によりインキが滲んだりしてショートや断線が発生する傾向があり、より高密度、高精細の印刷をするには限界があります。
そこで、これらに対応するため、写真現像型ソルダーレジストという材料による手法があります。
(1)回路形成された基材にインキをベタでスクリーン印刷します。
(2)回路パターンのついたネガフィルムを密着させ、紫外光を照射すると感光部が硬化しま す。
(3)フィルムを剥して、アルカリ液(炭酸ソーダ)を吹きかけることにより回路パターンをつくります。
(4)半導体等の部品を取りつける位置を示すために、マーキングインキでスクリーン印刷を施します。
3.の方法によりより小さな基板をつくることが可能になり、小型の機器が開発されていますが、この場合には電子部品の実装密度を上げるという観点から、回路パターンを三次元化した多層基板がこれらの機器には使用されています。配線も従来の束線から印刷技術をつかった配線パターン化が実施され、小型機器にも多用されています。
その結果として、携帯用デジタルカメラやウォークマン、ノートパソコン、携帯電話といった軽量小型のエレクトロニクス製品や家電製品が生まれました。
こう考えると、世の中の様々な物の進化というものを支えているのは意外にも印刷技術の力によるところが大きいといえるでしょう。
資料提供:太陽インキ製造㈱
176-8508 東京都練馬区羽沢2-7-1 TEL 03-5999-1511
http://www.taiyoink.co.jp
(2002年6月24日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)