ラッピングバス広告についての申請手続きと製作について教えて下さい。

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:ラッピングバス広告についての申請手続きと製作について教えて下さい。

A:街中でよく、車体一面に広告が掲載されたバスを見かけますが、そのバスのことをラッピングバスと言います。各地方自治体には、広告に関する条例・規則が制定されておりその規制のしかたもそれぞれ違います。ここでは、東京都の例について述べたいと思います。
 東京都では、それまで屋外広告には「東京都屋外広告物条例及び同施行規則」で面積制限が課されていましたが、平成12年4月にこの条例・規則が改正され、ラッピング広告が可能になりました。

【広告料金】
 広告主は東京都から指定された広告代理店にラッピング広告を出したい旨を依頼し、広告代理店から東京都交通局へ応募します。
 バスの路線はS・A・B・C・D・Eランクに分けられており、それぞれ基本料金が設定されています。これは都心に近い場所から郊外にいくにしたがってランクが……C・D・Eへと下がります。実際にどこの地区のどの路線がS・A・B・・かは東京都交通局で任意に決定しています。
 料金はSランクが月30万円(年間300万円)、Aランクが月20万円(年間200万円)、Bランクが月16万円(年間160万円)、Cランクが月12万円(年間120万円)、Dランクが月8万円(年間80万円)、Eランクが月6万円(年間60万円)です。また、ランクによっては、ダイヤ指定料金がかかる場合もあります。(この料金は2002年4月からです。)
これはあくまでも基本料金ですので、詳細についてはその都度お問い合わせ下さい。
 デザイン料は別途見積もりとなりますが、製作費は概算で120万~150万円/1台です(出力・施工の難易度によりまた違ってきます)。

【申請手続と審査】
 広告代理店は広告主の意思に基づいてランクごとに応募しますが、人気の高いランク(特にA・B)は抽選になります。抽選に当選すると、広告主から出されたデザインがラッピング広告として適切かどうかを審査する「デザイン審査委員会」でデザイン審査を受けます。
 このデザイン審査は東京都交通局が「東京都交通局車体利用広告デザイン審査基準」を作り、専門家を交えて広告デザイン案の審査を行います。
一般審査基準の要件としては、道路交通の安全を阻害するおそれがなく、車両運行上の支障とならず、都市景観との調和を損なうものでないこと等があります。例えば、全面金赤ベタだと消防車と間違われるおそれがあるのでダメだとか、細かい文章が多く書かれていると、他の車の運転手が思わず文章を読んでしまい事故につながるおそれがあるのでダメだとか、その他、善良の風俗・公の秩序を乱すような広告は一切ダメです。この審査でポイントになるのは、第一に交通事故が発生する原因をつくらないこと、第二に都市の美的景観を損なわないことです。

【製作】
 以上の審査をクリアして実際に製作にとりかかることができます。レイアウトは、パソコンでデータ処理されます。またデザイン上重要な部分(タレントの顔等)がドア等に掛かかって切れ目ができないように、配慮がなされます。また路線番号・車椅子の表示など必要部分をはフィルム施工後、別ステッカーを貼っています。
 このデータは、看板、内装用の専用の大型プリントシステムで出力されます。まず、専用紙にシステムの出力機でトナー出力します。この後バス専用のマテリアル(シール状になっているフィルム)にトナーのついた用紙から熱転写し、すぐラミネート加工します。マテリアルの耐候性は目的に応じて選択可能ですが、2~5年ぐらいです。
 出力されたマテリアルを施工業者が車体に貼り合わせます。このときに数枚のマテリアルを貼りますので絵柄の切れ目をうまく合わせるためにつなぎ目を数ミリオーバーラップさせています。また中にエアーが入らないように注意しなければなりません。
 こうした、ラッピング技術は様々なマテリアルが揃えられており、バスの他に電車・ビルのウィンドウ・天井・壁面・フロアー・展示パネル・室内装飾等、広告手段として工夫して使用されています。

       福島印刷工業(株)グラフィック事業部 
        TEL 03-3953-0121 
        URL http://www.net-fp.co.jp 

 

(2002年4月1日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)