※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:特殊印刷
Q:シールにはどのように印刷しているのでしょうか。
A:シール印刷といっても様々なものがありますが、ここでは、例えば電車の窓に貼ってあるウインドーステッカーや清涼飲料の缶に応募用のシール・調味料の表示のシールについて述べたいと思います。
どのシールも通常は、商業印刷物などと同様にパソコン上でレイアウトされ、校正を経て面付けソフトで面付けしてイメージセッタ等の出力機で出力されます。
電車の車内に貼られているウインドーステッカーなどは限られた地域での広告媒体としての性格があるため、少ロットの印刷物に含まれ、商業印刷用の枚葉オフセット印刷機で印刷されることが多いようです。ステッカーは約1ヶ月前後の期間にわたって貼られているケースが多いため、インキに耐光性が求められます。
被印刷体は、厚めのフィルム系のタック紙(粘着紙ともいう)を使用します。電車の窓に貼られたステッカーは人の手の触れるところにあるため、簡単に剥がれてはいけません。そのためフィルム系のタック紙はノリの粘着性に強度をもたせています。
清涼飲料の缶などに貼られている小さなシールなどの印刷は大ロットの印刷物に含まれます。この場合はシール輪転機で印刷されます。この輪転機は幅10インチ、円周が約8インチから12インチの間に数種類のシリンダーが揃えられており、シール自体の大きさから面付けされる数も決まってシリンダーが選択されます。
被印刷体は上記フィルム系のタック紙よりも薄い材料を使用します。版は樹脂凸版を使用し、インキは光硬化型(UV)インキが使用され、印刷された直後に紫外光を照射して瞬間的に乾燥させます。輪転方式で印刷され印刷後も巻き取られるので乾燥させないと裏移りが発生するからです。
シールを剥がすと、粘着面に印刷されているものもあります。シールの裏面への印刷は、表面へ印刷した後、剥離紙とシールを剥してシールの裏面に表面と同様に印刷します。粘着面への印刷ということで何か特殊な手法があるように思えますが、もともとインキはウエット状であるため、粘着面に樹脂版をプレスしても支障ありません。
印刷されたシールは、再び剥離紙に貼り付けられてから型抜きが行われ、シールの型だけが残され、余分な部分はセパレータで剥ぎ取られ、シールが完成します。
シールにも箔押し加工が施されているものがあります。箔押しはまず、金属をエッチングにより型を作り箔押し機にセットし、シールと型の間に箔材を通して行います。
箔材は、ベース面としてペットフィルムが使われ、その上に剥離層・蒸着層・ノリ層の4層構造になっています。
箔押しするときは、ヒーターで熱せられた型を箔材のベース面側からプレスし、ノリを溶かして箔押し加工します。この時のヒーターの温度は120度~150度で被印刷物の種類により異なります。同様に箔材の種類も被印刷物の種類により異なります。この箔押しはあくまでもシール印刷用のものであり、出版印刷・商業印刷に使われる箔押しとは別のものです。
(2002年3月25日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)