薄紙を使用した製本のトラブルと対策にはどんなものがありますか

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:薄紙を使用した製本のトラブルと対策にはどんなものがありますか

A:薄紙は連量や斤量で一般的にどのくらいの重さのことをいうのか概念として明確ではなく感覚で捉えられていることが多いです。一般的には四六判換算で55キロ以下が薄紙とされているようです。薄紙を扱う際に起こるトラブルの代表的なものは次のものがあります。
①印刷工程
 薄紙は温湿度の影響を非常に受けやすい。季節によっても温湿度の差は大きいので印刷工場内の空調は常に温度25℃前後、湿度60%前後という条件を保っておかなければなりません。空調が整っていないと特に枚葉機の場合はフィーダーから紙がうまく流れないというトラブルにも繋がります。
②折加工工程
 折り機にはバックル折りとナイフ折りの2つがありますが、バックル内でのたるみが出やすいので薄紙にはナイフ折りのほうが有利といえまが、現状では最初の折りはバックルで折るケースが多いです。たるみを防いだり直角の精度を出すには、機械のスピードを調整しながら作業する必要があります。
③丁合工程
 くるみ機までの間で折丁を垂直に立てなければなりませんが、そのときに薄紙には腰がないため折れ曲がりやすくなります。この場合、基本的にはページ数を多くし(16→32頁)て厚みを稼ぐことで折れにくくしていることがあります。
④くるみ工程
 プレスで背を成形するところで、皺などが出やすく品質上の問題が発生することもあります。特にアジロでは糊を中に押し込むために背中が膨らみ、それを平らにするために強くプレスをかけるとストレスが発生し皺になることもあります。同じ台数、同じ紙質のレベルで無線綴じとアジロ綴じを比べると後者のほうが背中を叩くので皺が出やすいと言えます。また、1枚目だけ表紙側に向かってめくりあがる現象があり、俗に「まくれる」といわれるといわれることですが、そうしたケースは無線綴じに発生しやすいです。アジロ綴じはミシン目部でつながっているので引っ張られてもあまり影響がありません。無線綴じは糊の押し込みは少ないので背中の広がりの程度は抑えられますが、ミーリング後ペラとなり、1枚目だけまくれ上がるという事がある。無線綴じとアジロ綴じではどちらにしでも完全に皺を抑えられるというものはありません。
 こうした問題を少しでも解決するための手段としては糊の選定が非常に大事になってきます。これも糊の種類を変えることによって大分防げるようです。粘度が重要で、粘度が高い・低い、いわゆるさらさらしたタイプか固いタイプの方がイメージし易いでしょう。糊の粘度についてはいろいろなタイプがあります。基本的にはさらさらした糊の方が、浸透力があります。このような強く押し込まなくても接着力が上がるような糊を選択するという方法もとられています。

 

(2009年1月12日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)