製作中の印刷物が著作権侵害と分かったとき途中で製作を中止しても発注者からそれまでの代金を取れるのでしょうか

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q: 製作中の印刷物が著作権侵害と分かったとき途中で製作を中止しても発注者からそれまでの代金を取れるのでしょうか 

A:著作権を侵害した場合、通常は民事事件として権利者からその行為の差止めと損害賠償を求められます。また、民事だけでは満足されず刑事事件に持ち込まれることもあります。

  この問題で、権利の侵害者は通常発注者であって印刷を請け負った印刷会社ではありません。印刷会社は発注者の「指図」によって仕事をするわけですから発注者が具体的行為者と考えられるでしょう。ただし、例外もあります。印刷会社が発注者と通謀して不法な印刷物を製造・販売した場合は「共犯」「従犯」とされるでしょう。

  印刷途中で著作権侵害に気づいた場合は、単に発注者が著作権法を知らないために起こったミスならば、発注者に必要な権利処理をするように働きかければよいので製作を中止するほどのこともないでしょう。
  その印刷が明らかに発注者の「故意」による犯罪行為である場合には印刷物製作の中止もやむをえないかもしれません。そうすると、印刷の仕事は請負契約ですから仕事が完成しない限り代金を取れない建前があります。しかし、製作を中止し発注者との契約を破棄せざるを得なくなった原因は発注者の反社会的な不法行為にあるので損害賠償を求めることも可能でしょう。

「商品企画のための著作権」社団法人日本印刷技術協会編より

  

(2006年6月12日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)