※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:知的財産権
Q:パブリシティの権利とはどんな権利ですか。
A:一般に映画やテレビの芸能人やスポーツ選手、政治家、評論家等の 有名人は、自己の氏名、肖像を対価を得て使用させる利益を持っています。これをパブリシティーの権利といっています(東京地裁昭和51年6月29日判決)。
このパブリシティの権利は、プライバシーの権利(right to be let alone=一人にしておいてもらう権利)とは性格が違います。つまり、プライバシー権は人間の内面的・精神的な利益権、すなわち人格権であるのに対し、パブルシティ権は経済的・財産的利益権です。
財産権ですから他に譲渡することができるし、その管理を他にまかせることもできます。 例えば、プロ野球選手の肖像権の管理はその所属する球団がやっています。このような人達は、普通人とは違った特長をかね備えています。
第一に、有名人は自分の肖像を公衆の目にさらすことを職業としています。こうした人達を英語ではpublic figure(公人)といいます。一般に公人は、プライバシの権利が普通人よりも制限されていると解釈されています。公人たる者はスクリーンやテレビの表世界だけでなく、公衆の関心に応えるべく、ある程度裏側の私生活をのぞき見されてもやむを得ない、とされています。
有名人はマスコミその他による私生活への干渉をある限度まで甘受しなければなりませんが、反面、コマーシャルの世界では、莫大な経済的報酬を受けることができます。
なぜなら、これらの有名人は容姿・演技・プレーなどの能力において公衆を魅了する資質の持主ですから、その肖像や氏名を少しでも露出しただけで公衆の注目を惹くので、商品やサービスの販売を促進するのに役立ちます。パブリシティの権利は、宣伝価値をもつ著名人の権利といえるでしょう。
ですから、有名人の肖像・氏名・音声・サイン等はパブリシティの権利の中に含まれると考えられますので、無断で複製して配布すれば、その有名人本人又は所属事務所から抗議されるでしょう。
「商品企画のための著作権」より 社団法人日本印刷技術協会 編
(2004年1月26日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)