※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:知的財産権
Q:著作権、著作者人格権などを侵害した場合、どんな刑罰がありますか。
A:他人の著作物(財産権)や著作者人格権などの私権を侵害した場合、一般に民事救済としては、その行為の停止とその行為に用いられた施設等の廃棄を求める差止め請求が行われ、それが不法行為によるときは損害賠償の請求が行われるのが普通です。
また、このような行為は犯罪でもあるため、これらの権利の侵害者は処罰も受けます。ただし、これらの罪は被害者が訴えなければ処罰されない「親告罪」が一般的です。このほか検察当局が独自の判断で起訴できる「非親告罪」もあります。
「親告罪」
1.著作者人格権、著作権、出版権、著作隣接権を侵害した者
3年以下の懲役または3百万円以下の罰金 (著作権法119条)
2.営利を目的として、自動複製機器を著作権等を侵害する複製に使用させた者
3年以下の懲役または3百万円以下の罰金 (著作権法119条)
「非親告罪」
3.著作者が存しなくなった後においてその著作人格権を侵害した者
3百万円以下の罰金 (著作権法120条)
4.著作者名詐称の複製物を頒布した者
1年以下の懲役または百万円以下の罰金(著作権法121条)
5.出所明示に違反した者
30万円以下の罰金 (著作権法122条)
2.の自動複製機器とは高速ダビング機などを指し、最近ではwebサーバーにデータをアップロードした事も含まれており、こうした複製をさせた者にも罰則が適用されます。3.の著作者の死後の人格権の侵害とは、例えば作品の内容を改変したりする同一性保持権の侵害等を指しますが、この著作者人格権は永久に持続することを留意しなければなりません。これは、遺族などがいなくても、検察庁などが告訴できる非親告罪です。同じく5.の出所明示違反も非親告罪ですから、著作者に限らず、出版社などが警察へ告発して処罰してもらうことができます。
(2002年4月22日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)