公共の場所で往来する群集を撮影した写真を自由に使っていいのですか。

掲載日:2014年8月14日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:知的財産権

Q:公共の場所で往来する群集を撮影した写真を自由に使っていいのですか。

A:新聞などで、公園で子供が遊んでいる風景や、休み明けのサラリーマンの出勤風景など人々の肖像写真が掲載されている場合でも、「何人も、その承諾なしにみだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有するものというべきである」という最高裁の判例があります。ですから、たとえ「報道」でも不特定多数の人を撮影して、記事として掲載することが許されるというわけでもないということです。
  もし、写真を撮られて新聞に載ってしまった人が、不利益を被る場合は、その人は新聞社へ抗議する可能性もあります。
  しかし、人にみられたくない場面が撮影されるケース以外は、大勢の人はそれが「報道」であることを知っているので、やむを得ない思っていることが多いです。
  人は、自己の肖像についての人格的利益をもっているのですが、もう一方で経済的利益ももっています。前者は、意に反して、自己の肖像を撮影・公表されない権利(プライバシーの権利)ですが、後者は撮影・公表はよいが、無断・無報酬は困るという権利です。
  出勤風景などを広告に使う場合に、もし掲載後のクレームに対して手を打つとすると、被写体にエキストラを使うか、事前に許諾を得たり相応の報酬を払うなどするのがよいでしょう。これは、広告が報道と違って「営利性」を直截的に標榜していることと、こうした営利的メッセージに関与した人に対して報酬が支払われているからです。

 

(2002年3月4日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)