※本記事の内容は掲載当時のものです。
ナンデモQ&A:知的財産権
Q:ある作家の小説を独占的に出版したい場合はどうしたらいいですか。
A:作家が、自己の著作物を複製・販売させることを一社の出版社に許諾すれば、他社が同じ小説を出版できないということはないです。一つの小説が、同時に複数の出版社から販売されることもあり得まです。
出版社がどうしてもある作家の作品を独占的に出版したい場合は、その作家と特別な契約を交わす必要があります。通常は、作家から独占的に出版する権利を付与してもらう契約を結びます。これを「出版権の設定」といいます。具体的には、「甲(著作権者)は、表記の著作物の出版権を乙(出版者)に設定する」という契約になります。
この契約は、あくまで当事者間の特約であり、第三者に対抗するためには文化庁に登録しなければなりません。
文化庁への登録は、出版権者である出版社を「登録権者」、複製権者である著作者を「登録義務者」として共同申請します。存続期間に特約がなければ、その出版権は3年で消滅します。
登録の効果として、出版社には(1)原稿の引渡しを受けた日から6ヶ月以内に出版しなければならない、(2)継続して出版する、(3)重版の際には著者へ告知する、などの義務が生じます。また、著作者には、出版社が改めて複製するときには、正当な範囲内でその著作物に修正・増減を加えることができる、などの権利が留保されています。
(2002年3月4日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)