インキにはどんな耐性がありますか。

掲載日:2014年8月17日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:インキにはどんな耐性がありますか。

A:雑誌や単行本・文庫本、さらにDVDのパッケージや酒のラベル、食品のパッケージなど平版インキで印刷された印刷物がたくさんあります。これらを印刷するときにはそれぞれの目的にあったインキの耐性が必要です。 
 例えば、ポスターを印刷して外に置いておくと色が褪せてしまいます。またベニヤの掲示板に貼られた選挙ポスターの色が非常に変色しているのがありますが、これは印刷するときに適当なインキを選択しなかったために発生するトラブルです。
  耐光性・耐熱性は印刷物が光(主に紫外線)や熱に曝されたときにどの程度変褪色するかを表す指標です。顔料の資料にはブルースケールという形で1~8段階で表示されており、各インキメーカーではそれぞれの基準を設けて評価しています。日本には四季があるので、夏と冬では紫外線の強さが違います。あるインキメーカーではカーボンアークフェードメーターで30時間の場合は夏の30日間に相当すると決めています。
  耐薬品性とは印刷物が酸やアルカリなどの薬品に接触したときにどの程度変褪色するかを表す指標です。代表的なものとしては苛性ソーダ・アルコールがある。特に薬品のラベルに使う場合には苛性ソーダの試験をしてから使うほうがいいでしょう。また、ビールやお酒に貼るラベルでは使った後にアルコールが垂れると色が変わるので、それを防ぐためにアルコール耐性のあるインキを使うことが薦められています。
  耐後加工性とは印刷物がどのような加工をされるかによって与える耐性です。耐パラフィン性、耐石鹸性、耐ビニールコート性などがあります。
  耐石鹸性は石鹸に対する耐性です。固形石鹸は紙の箱に入っているものもあります。そのときに石鹸の成分により箱の表面の印刷が滲むことがありますので、石鹸の箱に使うインキには耐石鹸性を持ったものを使用しなければならなりません。
ノンカーボン紙等の印刷にも耐石鹸性のインキを使います。ノンカーボン紙は上から圧力をかけても下に写らないように減感インキで印刷されている部分があります。減感インキはアルカリ性です。ノンカーボン紙は、圧がかかったところのカプセルが壊れ酸性になって発色するので酸性を抑えるためにアルカリ性のインキを刷っています。石鹸もアルカリ性なので、耐石鹸性が下の絵柄に使われるインキの仕様ということになります。
  耐ビニールコート性とは印刷物がPP貼りやビニール貼りされると裏側には必ず接着剤が着いていますが、その接着剤によってインキが滲んでしまうのを防ぐためのものです。
  Non Impact Print System(以下NIPS)適性はプリンターに使う帳票用紙のインキに使われる適性です。漢字プリンターIBM3800は、印字の際に200℃前後の熱がかかっていました。そのために紙の上に印刷されたインキが軟化したり熱ローラーに付着しりインキ皮膜中の溶剤分が蒸散しその蒸気でヘッドを傷めるという問題が発生しました。この問題を解決するために作られたのが、NIPS適性のインキです。

 

(2008年1月28日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)