※本記事の内容は掲載当時のものです。
書評:『オフセット印刷技術―トラブル解決』
オフセット印刷技術研究会編・著
日本印刷技術協会 B5判 257ページ 3000円
本書は2005年に刊行された「オフセット印刷技術 作業手順と知識」の姉妹編で、本書「トラブル解決編」では、現場のノウハウと理論を融合させた実践的な解決方法を提案している。
本書の特色に、トラブルを現象別に取り上げ問題解析をしていることがある。印刷機のハード面の進歩は著しいが、水と油の反発方式のオフセット印刷では多くの変動要素が介在している。
「作業手順と知識編」と「トラブル解決編」を有効に活用し、トラブルを最小限に抑えて円滑に作業ができることが狙いで、品質と生産性の高い印刷工程へと導いていけば効果的である。
オフセット印刷は、湿し水に関連するさまざまな問題が付きまとう。それに関するトラブルは絶えないが、水の管理はオフセット印刷における永遠のテーマで、これが「水なしオフセット印刷」導入の糸口になっているわけである。本書の「第3章水なし印刷」が参考になる。問題解析と作業改善の手法としてよく「特性要因図」が用いられるが、本書でも現象別に用いられている。トラブルの解決には、定石がある。とかく印刷技術そのものが重要視されがちになるが、いつの場合も作業の標準化が大切である。生産性の向上とともに印刷機周辺技術の標準化を図ることがトラブル回避の早道と言える。
各トラブルにはそれぞれ原因別の関連がある。各要素の関連を図に表した「トラブルの相関図」は参考になる。また、各コラム欄の「Advance」は個別の問題解決に参考になる。姉妹編の「オフセット印刷技術 作業手順と知識」とともに、印刷現場管理者の必携の書と言える。
(2007年8月14日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)