※本記事の内容は掲載当時のものです。
書評:『DTPトラブル解決マニュアル―アプリケーションのトラブルから出力エラーまで 』
Professional DTP編集部著
発行所 工学社 A5判 191ページ 1995円
DTPが普及してから約15年を経てDTPの世界は変化してきたし、また今後の技術動向も変わろうとしている。ハード、ソフトの進歩により、従来起きていた諸問題が解決し技術的に進歩してきたかに見えたが、いまだにDTPの問題は出力するまで気が許せないというのが実情である。
DTPで使われる代表的なプラットフォームはMacintoshであるが、そのMacintoshの中でもMacOS 9以前のものとMacOS Xのバージョンがある。そして、もう一つのプラットフォームとしてWindowsバージョンがあるし、それぞれは異なるシステムと言える。加えてアプリケーションやフォントの問題などが輻輳(ふくそう)している。
特に日本語組版ソフトの問題は深刻で、当時のアプリケーションソフトはQuarkXPressが定番であったが、満足な日本語組版はできなかった。InDesignの登場により日本語組版の解決の糸口が見えてきたが、まだ過渡期と言える状況である。このようにトラブルの諸要素が混在しているのは日本特有の問題であろう。
本書は、サブタイトルとして「アプリケーションのトラブルから出力エラーまで」とあるように、DTPユーザーは「DTPの出力トラブルはなぜ起きるのか」を把握することが重要である。それを解決するためのマニュアルが本書である。
特に第1章「出力トラブルの原因と対策」、第6章「 PDFを上手に使う」、第7章「入稿前のチェックツール」などが参考になる。なかでも今後のDTPのワークフローの標準になると思われる「PDF/X」については重要な課題となる。一般に多くのトラブルはソフト、ハードの原因を挙げているが、何事にも人的ミスが介在していることをDTPユーザーは肝に銘じることである。
(2006年7月31日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)