『オフセット印刷技術─作業手順と知識』

掲載日:2014年8月18日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

 
書評:『オフセット印刷技術─作業手順と知識』

小林 章著
発行所 オフセット印刷技術研究会編・著 B5判 360ページ 3800円

 

いまやプリプレスはデジタルの世界であるが,オフセット印刷機はまだアナログの世界と言える。つまり多くの変動要素が介在しているからだ。

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オフセット印刷は水と油の反発作用を利用した印刷方式であるから水の管理は重要な要素であるが,そのほかに用紙,インキなどの変動要素が介在している。

印刷技術のノウハウの伝承が次第に薄れている中で,本書は印刷現場における印刷技術の作業手順と知識に関して,「第Ⅰ編作業手順」「第Ⅱ編知識」「第Ⅲ編オフ輪印刷」に分類し,広範囲に詳しく解説されている。

「第Ⅰ編作業手順」の主な内容は,安全作業・印刷インキの準備・湿し水の準備などを,また「第Ⅱ編知識」では用紙・刷版・印刷インキ・製本・加工・印刷機から見たCMSなど,そして「第Ⅲ編オフ輪印刷」では作業手順・関連知識などについて解説している。

「印刷の原点は印刷機にあり」と言う。従って印刷機周辺技術の標準化を図ることが重要である。近年印刷機の自動化が進み,スイッチを押せば印刷ができると考えられているが,印刷現場のノウハウの伝承が崩れてきている現実を見逃してはならない。日常的なトラブル対策や予防措置にもノウハウと技術が必要であろう。

本書は,印刷現場ではどのようなノウハウと技術が必要かという観点から,初心者から上級者までを対象にまとめられている。「印刷作業標準書」作成の参考書になるであろう。 本質的な印刷品質をチェックする目と知識を習得し,どうすればよいかの判断力を会得していなければ通用しない。

印刷現場管理者にとって必読書と言える。

 

(2006年3月6日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)