※本記事の内容は掲載当時のものです。
書評:『デジタル時代のクリエイターに求められる条件』
発行所 すばる舎発行
大内エキオ著 B6判 207P 1500円(本体価格)
グラフィックアーツデザインの世界でも,またインダストリアルデザインにおいても,常に創造性がある技術者は求められるものである。それがクリエイターであろう。そしてデジタル時代には,それにふさわしいクリエイターが求められる。
デジタル化が進むにつれ,デジタルデザインとかデジタルクリエイターと称するビジネスや職業が増えている。本書はアプリケーションの解説書でもなく,デザインの教科書でもないし,またマニュアル本でもないとことわっている。本書はクリエイターになるための指針を示したもので,デジタルクリエイターを志す人への道標となるであろう。
クリエイターにはアートディレクター,デザイナー,コピーライター,イラストレーターなど,創造的な仕事に携わる技術者が多いが, たとえコンピュータのMacをいくらうまく使えても,その道のスキルがなければ満足な仕事はできない。
つまり各分野のスキルを磨くことが大切で,コンピュータはデジタルワークの手段であり道具である。そしてデジタルを感じさせないデザインが大切である。すなわちスキルがあるのと,ないのでは,雲泥の差と言う。
第4章「デジタル時代にも役立つアナログスキル」は含蓄がある。著者のアナログ時代の豊富な経験が紹介され,デジタルクリエイターを目指す示唆となっている。「Macありき」から育った現代の若者たちには,アナログ時代のスキルやセンスを身に着けることが重要と,著者は言う。これはDTPによる印刷物制作にも共通して言えることであろう。
(2004年5月10日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)