※本記事の内容は掲載当時のものです。
書評:『Acrobat 6.0+PDF パワー・クリエイターズ・ガイド』
発行所 アスペクト
諌山研一ほか著 B5変形 238P 2400円(税別)
「Acrobat1.0」の登場は1993年であるが,日本語版の「Acrobat3.0/PDF1.2」は1997年である。その後フォント埋め込みが可能なPDF1.3が1999年に登場した。
その後大きな変化は見られなかったが,2003年に「Acrobat6.0/PDF1.5」にバージョンアップされ,本格的なPDFの実用化の動きが見えてきた。しかしAcrobat6.0/PDFになったといっても,まだ完全とは言えない。そこで新たに「PDF/X」が話題になっている。
Acrobat/PDFは,ビジネス文書交換だけではなく,グラフィックアーツ業界においてもPDFによるデジタルワークフロー実現に大きな期待を寄せられていたが,今まで十分に活用しきれていない状況である。
いまやDTPは印刷物制作におけるスタンダードな手法であり,電子送稿によるデータ入稿がスタートしようとしている。PDF/Xを入稿用データとして出力トラブルを避ける,新たなDTPワークフローの確立が必要である。しかしPDFファイルにすれば問題はない,と考えるのは早計である。それなりの知識と経験が必要である,と本書は警告している。
PDFに関する解説書が数多い中で,本書は最もグラフィックアーツ業界寄りの技術的内容にまとめられている。グラフィックアーツ関係者のみならず,ビジネス関係者にとっても実用書として参考になるが,なかでも「PART 03 PDFを利用した校正ワークフロー」「PART 04 PDFによる高度なカラーマネージメント」,加えてコラム欄の「PDF/Xの概略」「Macintosh版/Windows版の違い」「望ましいPDFワークフローとは?」など実用的で必読の書といえる。
(2004年2月9日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)