※本記事の内容は掲載当時のものです。
書評:『Unicode標準入門 』
発行所 祥泳社
トニー・グラハム著 乾和志・海老塚徹 訳 B5変 455P 3800円(税別)
コンピュータの世界では文字コードや字種が,送る側と受け手側のコンピュータが同じ環境にないと,同じ文字を表示できないという問題がある。これは日本語だけでなく,世界共通の問題である。ここにUnicode標準の意義がある。
日本ではJIS漢字を基本としながら,ローカルな拡張文字コード体系の「今昔文字鏡」,BTRONのOS対応の「超漢字」などが生まれている。また住民基本台帳や電子政府化のための文字種とコード体系が検討されているなど,近年文字コードについていろいろな論議が交わされている。
Unicode標準は,漢字圏・非漢字圏を含めたグローバル・スタンダードの文字コード体系のことである。日本ではJIS漢字コードが基本となっているが,同じ漢字圏でも中国や韓国などは,それぞれ独自のコード体系をもっている。
Unicodeの解説を取り上げている本はいろいろあるが,ほとんどは主題に対する補足として説明しているものが多い。ところが本書はUnicodeや文字集合について,文字・グリフ・フォントなどの基本的なことから,Unicodeの背景などが解説されている。
普段一般ユーザはUnicodeを意識してはいないが,さまざまなOSやプログラム言語でサポートされている。 Unicode標準をサポートしているのはWWWアプリケーションだけではなく,最近のOSではシステムが提供するサービスに最初からUnicodeのサポートが組み込まれている。
Windows,MacOS,UNIX,Linuxなど幅広い。
(2003年10月6日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)