※本記事の内容は掲載当時のものです。
書評:『文字大全 雑誌・書籍・広告・パッケージ』
発行所 美術出版社
B5判 111P 2500円(税別)
本にはそれぞれの性格があり,個性がある。それとともにフォント(書体)にもいろいろな表情がある。例えば新しい─古い,男性的─女性的,堅い─柔らかい,力強い─弱々しい,明るい─暗いなどの表情の違いがある。
文字(フォント)でデザインするという言葉がある。書体から来るイメージの特徴を捉え,それを生かしてデザインすることを意味する。つまりグラフィック表現としての可能性の追求である。
日本語の組み方のルール作りは難しいといわれる。同じ文章でも組み方によって印象が違ってくる。巷(ちまた)で見かける書籍のレイアウトが,しばしば新鮮さを求めるあまり奇抜なデザインをする傾向が見られる。またやたらに多くの書体を使っているデザインがあるが,少ない書体で印象を与えることが大切であろう。
本書は,雑誌・書籍・広告・パッケージなどの各分野で,タイポグラフィに関する数々の実例を紹介した本で,カテゴリーを「文字を組む」「文字でキメル」「文字をつくる」の3分類に分けて,文字の効果的な使われ方を網羅している。
なかでも「文字デザインの基本」の項で,書体のタイプデザインとロゴタイプのタイプデザインの違いを解説しているが,多くのグラフィックデザイナーやタイプデザイナーの参考になるであろう。
(2003年4月3日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)