本格化するデジタルプリント市場をリードする

掲載日:2014年8月21日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:本格化するデジタルプリント市場をリードする

 

コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社 プロダクションプリント事業部 事業部長 深沢哲也氏に聞く

 

デジタルプリントが、いよいよ本格的なビジネスになってきた。中小印刷業にも数多くの導入実績を持つ、コニカミノルタビジネスソリューションズに、デジタルプリントの現状と今後の展開を伺った。

――最近のビジネス展開は?

深沢 弊社の親会社が、ワールドワイドでデジタルプリントビジネスを開拓し、今後も拡大していく。弊社は2008年度で1000億円の売り上げ目標としている。 顧客の8割が商業印刷の印刷企業で、メインは中小規模、あるいは大手でオンデマンドの事業を運営している会社だ。後、2割は企業内印刷だ。
オンデマンドへの関心は非常に高い。導入先には、いろいろな事例がある。商業印刷でもマーケティングを重視している企業は、クライアントに対して提案の仕方を持っている。営業開拓も強い。

そうでない場合、商談の中で、導入事例を紹介して、一緒に考えている。具現化する場所として、2007年10月にオープンした、品川の「コニカミノルタ デジタルイメージングスクエア(DIS)」を活用している。2008年から販売店向けの会議で、カラーの勉強会の計画もある。モノクロは堅調だ。

――モノクロの出荷割合と、見通しは?

深沢 台数は、モノクロが堅調である。カラーの伸び率は非常に高い。前年から135~140%くらいに伸びた。プリプレスからポストプレスまでの一貫で販売しているため、純粋にオンデマンドのケースが多い。モノクロとの比較では3対7だ。 単価の問題もある。カラーになると単価が大きく変わる。これは一般のオフィス系も全く同じで、モノクロをカラーに変えて売り上げを確保している。

――印刷会社に導入しやすいモデルは?

深沢 基本的にはショートランの仕事向けだ。最近は納期がかなり厳しく、午前中に入稿したものを昼ごろに納品というケースもある。納期を最優先するケースでは、圧倒的にオンデマンドだ。

――品質に対する印刷会社の理解は?

深沢 オンデマンドの仕上がりを見ると、当然分かるが、そこまで要求しているクライアントか、どうかという見極めは必要だと思う。 絵柄によっては、オイル系のトナーは、光ったコピー系の色になってしまう。弊社の場合、比較的オフに近い色合いが出るという評価を得ている。弊社はトナーの研究が非常に進んでおり、デジタルトナーと言って、微粒子の小粒径化で高画質を実現している。耐光性はオフより高い。

――日本の市場に合う用途は?

深沢 一番分かりやい販売モデルは、年賀はがきである。ほかのオンデマンドプリントではほとんど扱っていなかった。全体の成長がない中で伸びたということで、4、5年前から全面的にコニカミノルタの機械にオフから切り替えるところが出てきた。11月、12月は、フル活動だ。しかし、季節産業のようなもので、後は全然動かない。日本の場合は、カードは欧米などと違って年賀状くらいしかない。確固としたモデルというのが見つけづらい。今後は、バリアブルをもう少しアピールしていく。

――中小規模のトランザクションは?

深沢 そのあたりがポジション的には扱えると思う。圧着はがきなどもDISで販売していく。 企業も、フルライン印刷をやり始めている。中小印刷はそこに提案をしていかないといけない。セキュリティやコンプライアンスのことなど、強いパートナーと手を組んで提案していく。DISには圧着の機械も置いてあるので、いろいろやってみようと思う。

――印刷会社の意識については?

深沢 大手の製造会社で、カタログを作り置きすると、大量に余って捨てざるを得ないということで、ここを何とかしたい。大手だと、その金額が億という単位になるので、そこをオンデマンドの機械でやれないだろうか。
セキュリティの問題もある。中堅では自社のセキュリティもきちんとやろうという動きも確かにある。データが入ってきたら、あまり人が関与しない形で、プリントと後加工の間に検査装置があったり、枚数、納期などの条件でオンデマンドかオフに振り分ける、というものがアメリカでは稼動している。そのソフトは来年くらいに日本語版で入ってくる。面白そうなので、ぜひやっていきたい。

――IT化とオンデマンド印刷の関係では?

深沢 オンデマンドが増えてくると、前工程を極力縮めていくという方向に行く。今はオフでもそういう方向に行っている。 過去からずっとデータを作って持っている印刷会社は、内部の重要な部分に対応しているところはある。そういうところはデータの厳重なセキュリティをやっている。非常にレベルの高いことをやってお客さんの信用を得ているのはある。

――デジタル印刷もだんだん本物になってきた。

深沢 そういう意味では、今売っているメインの製品の、一つ上の部分をやっていきたい。 フルカラー・オンデマンド高速印刷システム「ON DEMAND PUBLISHER C65」にくるみ製本出力処理がインラインでできるオプション「くるみ製本機」を組み合わせた、印刷から製本までを一貫して行えるシステムを訴求している。製本機械はなくてもいいという印刷会社もあるが、用途によっては十分使える。

他メーカーとは違い、オプション的なものも全部内製で、その機械に合わせて一番最適なものを設計している。外から持ってくると、基本設計と合わないとか、エンジンの速度とポストのほうの出が合わない。あるいはメンテナンスの人がそこだけは触れない、違うメーカーのものだとできないなど、不都合があってあまりインライン化されていなかった。 コニカミノルタは開発部も同じチームで、かなり完成度は高い。全体としてコンパクトにまとまり、デザインも同じ形が取れる。

――今後について。

深沢 今は、DISをどういうふうに進化させていこうかと。単に箱を置いているだけではなく、どんどん進化させていきたいと思っている。販売店やクライアントと話しながら、進化させたい。「品川に来て何社か見たが、コニカミノルタが一番良かった」と言ってもらえるような、発信基地のようなところにしたい。プロダクション能力もあり、ここでいろいろな研修などもやっている。ADSLで機械のリモートメンテナンスも入れている。主要な部分はかなり充実している。セミナールームには80名くらいは入れる。11月からはフル活用している。年間280~290件くらいのデモンストレーション、セミナーを行っていく。

 

コニカミノルタビジネスソリューションズ株式会社 プロダクションプリント事業部
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(2008年2月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)