※本記事の内容は掲載当時のものです。
事業紹介インタビュー:「印刷がもっと元気になってくる」~世界の印刷業界にMADE IN JAPAN「アキヤマ」をブランド展開
アキヤマインターナショナル株式会社
副社長 延原 雅三氏に聞く
同社は、中国上海電気グループの一員として2001年に誕生し、代表取締役として中国より胡 雄卿氏が就任し、営業を開始した。設立当初は、世界的な技術を持つ印刷機メーカが、日本と中国という異文化の中での動向に注目が集まったが、業績は依然として堅調で、数年の間に従業員も増員を目指すなど当初の懸念は払拭されたようである。こうした新体制のもと更なる躍進を目指すに至るまでの背景と今後の指針について、副社長 延原雅三氏にお話を伺った。
--御社は、技術力の「アキヤマ」というイメージが根強いですが、中国資本の新会社になり変わったことはありませんでしょうか
延原 当初は、私共もアキヤマのブランドイメージが残せるだろうかという心配はありましたが、発足当初より、日本ブランドの「アキヤマ」を世界に送り続ける姿勢をとっています。そのために、生産拠点もここ茨城県常総市に確立し、お客様にもご納得いただき、信頼を得られるまでに至っております。中国企業の上海電気が親会社ということで、文化の違いについても社内的に理解を得るまでには約1年を要しましたが、今では発展的な機運が生じ、事業もグローバル化してきました。現在、海外シェアが約60%と、国内市場40%と逆転しています。海外では欧州、北米、南米、中国、豪州、台湾、アジアなどが中心です。今では、各国に代理店も擁し、日本工場で研修した技術者を派遣するなどサービス体制も整ってきました。
--上海電気は非常に大きなグループ企業と伺っておりますが、その中での御社の位置づけを教えてください。
延原 上海電気グループは、300のグループ会社から成り、昨年の年商は1兆150億円、従業員24万人で構成されています。その傘下に、8社の印刷機製造メーカのコンソーシアム、上海電気集団印刷包装機械有限公司があり、アキヤマインターナショナルはその1社というわけです。2005年4月に香港市場で上場しましたが、現地でも、日本の代表的印刷機械メーカ一の一つとして成長性を期待されています。
--世界進出も果たし、欧州での展開を中心にされているとのことですが、現地での評価はいかがでしょう。
延原 やはり、12年前に世界に先駆けて開発した、両面印刷機Jprint(ジェイプリント)の評価が高いです。欧米では両面印刷は、反転機という認識でしたが日本発Jprint独自の反転を要しないシステムが好評です。日本では8色機が中心ですが、欧州では特に10色機を中心に、車や高級家具類など品質要求の高い印刷物の需要があります。日本市場は、片面印刷用の枚葉機を使っていたお客様には、両面が一度に刷れることによるコストダウンや、広いスペースを必要としないことなどが好評の理由です。
新世代の多色両面印刷機「Jprint」
今後も中国へのアウトソーシングを含めて、お互いに協力し合いながら事業展開して行きます。従業員も5年前の設立当初は60名でしたが、現在では200名にまで増やし体制も整ってきましたが、今後は250名までの体制拡大を予定しています。
--他社の買収劇を見るように、中国は世界市場を見据えて投資をしているということでしょう。胡社長の人となりやお考えなどうかがえますか。
延原 ある日を境に中国の会社になったことで、グローバルな視点が養われていると感じます。今まで日本の印刷業は、国内での仕事が中心で外国に目を向けることがなかったのでしょう。中国人の生活の向上や経済の発展に対する意欲とパワーは大いに見習うところがあり、社員もそうしたパワーを吸収しています。
日本企業としての立場を崩さずに生産拠点を日本に定めたのは、現地法人の要求でもあり、そのため、新しい印刷技術も生まれそれを供与しお互いに良いものを作っていくという関係ができております。
一般的には、外国の方が社長ですと、合理的な経営手法を実施されるケースが多いですが、胡社長はこれまでの企業風土を生かして、その当時の待遇を維持しています。給与などの待遇はもとより、定年制の延長や再雇用など雇用条件も却って今までよりも整えており、大変従業員を大切にしています。中国資本でありながら、日本企業の特質を活かした経営をしています。やはり、社員が元気であれば、企業風土にも影響してひいては対外的にも元気が与えられるのではないでしょうか。
董(トウ)副工場長 プラント内、製造中のJprintを背景に撮影
問い合わせ先:
アキヤマインターナショナル株式会社
東京 東京都葛飾区宝町2-34-11 TEL03-3693-5191
名古屋 名古屋市西区清里町130 TEL052-505-2951
大阪 大阪市北区中津6-8-10 TEL06-4796-8753
(2006年12月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)