※本記事の内容は掲載当時のものです。
事業紹介インタビュー:事業の3本柱を機軸に変革を目指す
株式会社ミヤコシ 代表取締役社長 宮腰 巖氏に聞く
ビジネスフォーム印刷(以下BF)市場は低迷傾向にあると見られてきたが、情報用紙の需要量は特に減っていないことから、工夫次第で事業拡大の見込みはある。本稿では、 BF機械メーカーとして知られるだけでなく、開発技術をコアにビジネスを多様に拡大しているミヤコシに、BF市場における今後の方向性について伺った。
――BF印刷機械メーカーとして知られます御社の現在の事業についてお聞かせ願います。
宮腰 現在弊社では、事業の3本柱を機軸にビジネスを展開していますが、一つは従来からのビジネスフォームの印刷機械です。弊社では一番のメインでやってきました。そして、その技術を応用したラベルの印刷機械。それともう一つが、弊社では「印刷革命」と称しているインクジェットのデジタル印刷機です。これを今、「3本柱」として展開しております。
ご承知のように、BF業界は決して景気が良いとは言えません。要因の一つには、デフレになってきて値段が下がったことの影響もあります。それで、弊社のユーザー企業にも 当然波及してしまったとの見方もあります。かつては、売上構成比の7割から8割がBF機械でしたが、最近では、その割合も3割程度に落ち着いた感じです。
――そこで事業の3本柱を立て、今までと違ったビジネスも展開されているということですね。2本目はラベル印刷とのことですが。
宮腰 ラベル印刷は、実はビジネスフォーム印刷会社にもっと元気になってもらいたい、また、新しい分野に進んでもらいたいという思いで開発しました。BFは印刷か ら加工まで全部受けられますから、その技術を生かすのはラベル印刷ではないかと思い開発に至りました。当然今までにない、新しい業種の顧客を獲得していくことも視野に 入れております。
そして、ラベル印刷の分野では、今年は売上構成比の15%を目標としています。しかし、ここへ来て逆にビジネスフォームの機械が出始めてきました。その要因は、BF印刷市 場自体、それほど仕事の量は減っていないのと、機械の入れ替えの時期に来ていることかと思われます。また、生産性をさらにアップしようとか、それと付加価値を高めよう という傾向もあり、色数が多い機械の出荷が増えています。
――3つ目の柱となる、デジタル印刷機はいかがでしょうか。
宮腰 デジタル印刷は、まだまだ特定のユーザーに限られているのではないですかね。注目はされていますが、依然としてインキの値段も含めてコストが高く、ランニ ングコストが高いという問題を解決しなくてはならないのかもしれません。
――ただ、近年御社では、パッケージ印刷機械やページ物の印刷機械など、いろいろなものを出されておられますね。そのように、今までとかなり異なる分野の仕事も手掛け ておられるようにお見受けしますが。
宮腰 弊社の長年にわたるDNAのようなものでしょう。顧客と一緒に、一体になって仕事をすることが、昔からのやり方で、それを発展させたということだと思います が。顧客の要望に一緒になってこたえていくのが弊社の姿勢です。
――新しい仕事にはそれなりに開発コストが掛かりますが、やはり新しい市場を作っていかなければならないことも考えなくはなりませんね。
宮腰 弊社のコアビジネスはBF印刷機械ですが、これを発展させていわゆるページ物の印刷機になり、牛乳パックの印刷機械にしたわけです。そのように、いろいろな 展開ができるエンジニアリング力が、弊社のコア・コンピタンスと言えますし、他社と差別化できることでもあります。それと顧客にも恵まれていて、共同開発的な仕事です と、従来品の改良の指示はあっても、「こういった仕事をやりたいから、こういったものを新しく作ろう」という考え方は、逆に中堅企業のほうが多いですね。
――自社の独自製品を作るとなれば、やはり御社のような機械メーカーと一体になって仕事をするのも必要ですね。印刷も業態変革の時期にきましたし、御社の事業開発営業 部というのはそうした一環でしょうか。
宮腰 弊社では今、「ルック・フューチャー(look Future)」つまり将来を見据えた事業開発を計画しており、頭文字を取ってLF事業部と称しています。今は、ある 製造会社と手を組んで、生産ラインの一部をロボット化しています。そうした印刷以外の新しい事業も今後開発していこうというのが、この事業開発営業部のスタートです。 つまり、生産ラインのFA化ですが、これもBFの搬送が基本になっていますが、これは印刷と異なる今までなかった分野です。
――御社としては、メカトロのノウハウも売りにできるということですね。ただ、従来の印刷物の仕様でやっていくと、やはり手作業が入る部分があって、製本に及ぶと人手 が掛かってしまい、今はまだ、理屈どおりにFAが進まないこともあるようですが、それを将来に役に立てるために開発をされているということですね。
最後に、3本柱の一つ、デジタル印刷で「印刷革命」と言われましたが、具体的にはデジタルによる革命的な部分はどの辺りでしょうか。
宮腰 弊社のデジタル印刷機は「非接触」ということです。つまり、「印刷というのは表示と記録」と定義されるそうで、その意味でいくと、印刷分野は、かなり広が っていきます。さらに、「非接触」により印刷できるとなると印刷媒体があらゆるものに変わってくるのです。
――確かに今、電子部品や建材、テキスタイルの分野にもインクジェットの印刷分野が拡大し、その媒体も大きな広がりを見せています。
宮腰 そのことを応用すれば印刷業の業態変革も実現できると思っています。だから、それには、やはりデジタル印刷機は、すごくいいのですよ。印刷会社だけでなく 異業種でも応用されており、例えば、外壁材などにも応用されていたりします。これは、弊社のノウハウですが、インキ噴出の角度を変えるなどして凸凹のある媒体にもきちんと印刷ができるのが強みで、これはやはりメーカーだからこそできるのです。
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(2006年10月)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)