※本記事の内容は掲載当時のものです。
印刷技術情報 : 管理
用紙の静電気防止対策(004)
【概要】
静電気防止のためには,用紙を印刷室内に置き,温度を一定にしてからワンプを解くのと,早期ワンプむきをするのではどのような差がありますか。
また静電気で用紙の出が悪く機械がよく止まる時,湿度の調整,印刷速度以外にはどのような方法が有効でしょうか。とくに合成紙の印刷で困っています。
【解決方法】
静電気の発生は,相対湿度によって大きく左右されます。その為にも印刷工場の環境を整えなければなりません。
空調条件は室温23℃~25℃が枚葉インキに対して最適の温度です。相対湿度55~65%がRHは印刷用紙に対して最適の範囲です。印刷用紙を包んでいるワンプの内側の樹脂(ツルツルしている)は用紙の給湿に対してある程度一定に保つため塗布されています。
温度と湿度の関係は次のとおりです。
温度高い→単位体積当たり多くの水蒸気を含む事ができる。
温度低い→単位体積当たり含まれる水蒸気量は少ない。
相対湿度は20℃ で1立方メートルの空気中に水蒸気14.8gが均等にあるときを RH100%,7.4gが均等にあるときを RH50%,の様に表します。
RH40%以下の場合は静電気発生しやすく,RH25%以下ならば静電気必ず発生すると考えてください。製紙会社にて,製造されワンプに包まれている状態で印刷用紙中の湿度は55%~65%とされています。この事は,印刷室の湿度コントロール値と同一であるのが分ります。
早朝のワンプむきは,その工場内の湿度が55~65%にコントロールされている状態であれば何も問題はありません。逆に冬期の湿度の低い状態の時にワンプむきをすると印刷用紙中の湿気がなくなり,用紙の変形等が発生し,静電気発生や紙の出が悪くなる要因ともなります。
静電気に対する特別な対策方法として,フィードポンプのエアー吸入部に加湿器を置いて試してみてはいかがでしょうか。
「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)