※本記事の内容は掲載当時のものです。
印刷技術情報 : 水無し印刷
水無し印刷のドットゲインとインキの乾燥(014)
【概要】
当社では水無し印刷の棒積化を進めておいますが,通常の盛り量では校正刷と同じになりません。水無しはインキの盛り量が多くても網点がつぶれることはないのですが逆に盛らないと色が出ないため棒積できないのはもちろん,裏付なども出て困っています。湿度・温度が乾燥にどのように関係するのか教えて下さい。
【解決方法】
水無し印刷は,水有りのPS印刷と比較して網点のゲイン量(太り量)が小さい傾向にありますす。なぜなら,版式の構造上,水無しは凹版に近く,PS版は凸版に近いといえます。つまり,前者の場合,画線となるところには凹みの部分にインキが着肉され,後者においては,凸部へのインキ着肉となります。いくらインキを盛っても前者の場合には,凹みの部分にインキが高く盛られていくだけで,シリコン部にはインキが着きません。これに対し,後者は,凸部にインキを盛って印圧をかけるので,凸部に盛られたインキが圧力で太る訳です。(他にも網点が太る要因として色々考えられます。)
対策には,分解線数を細かくする(網点の径が小さくなればゲイン量率が多少多く得られる)か,製版時に分解カーブを変えてみてください。
湿度・温度と乾燥に関しては次のとおりです。
・温度は高くなればなる程インキは早く乾燥する(10℃の差では約2倍)
・湿度は(同温度ならば)高いと遅い
・風通しは(風入れは)酸素量を多くするのでインキ盛り量の多い仕事の時には,これをお奨めします。
・校正刷の (1)濃度 (2)網点変量 etcをチェックし適正な校正刷りかどうか調べ,前工程へ,情報をフィードバックしてみる。
「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)