※本記事の内容は掲載当時のものです。
印刷技術情報 : インキ・ブランケット
クリスタリゼーションとトラッピング(224)
【概要】
クリスタリゼーションもトラッピングを処置する同じ方法でよろしいのでしょうか。もし違う方法があれば教えて下さい。
【解決方法】
クリスタリゼーションとは、多色印刷後インキ表面が乾燥してガラス状(クリスタル) になり、後刷りのインキが前に刷ったインキの上に着かなかったり、着いても直ぐに取り 去られる現象を言います。トラッピングは下刷りのインキの上に上刷りのインキが乗る状態を言います。下刷りのインキの上に上刷りのインキが何%乗ったというようにあらわします。トラッピング不良と着肉不良とは若干異なるので,クリスタリゼーションとトラッピングはその現象が違うものなのです。
クリスタリゼーションは下刷りインキがセット(乾燥ではない)された段階で次の印刷 に掛れば事故は起きません。クリスタリゼーションを起こした場合の救済方法としては、 インキ画像の上をボロ(ウエス)で擦り、表面を荒らしてインキ着肉性を良くする方法が あります。ただし,ロットが大きくなれば大変な仕事量になってしまいます。助剤をインキに混入して助ける方法としては、ポリアミド樹脂+アルッキド樹脂+石油系溶剤を混合した助剤があります。商品名はインキリフレッシャー又はオロテックス5040などがあります。ただし,その助剤を使用しても完全なインキ乗りは望めません。
トラッピング不良の場合は、多色機刷りでは後刷りのインキのタックを下げると上刷りの トラッピングは良くなります。クリスタリゼーションを起こした場合はインキのタックを 下げてもインキの乗りは良くなりません。 平台校正機(単色)で刷られた校正刷りのトラッピング率は、各色100%近くになります が、4色印刷機で印刷した場合、トラッピング率はC+Mは55~60% C+Yは75~80% M+Yは60~65%程度です。これが校正刷りと本刷りの発色の違いになって刷り上がり品 質が異なり、問題を起こす原因になっています。
「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)