※本記事の内容は掲載当時のものです。
アナログ博物館:アイデア印刷術 2.立体視印刷〔2〕
立体視印刷〔2〕
2. レンチキュラー立体視および変化印刷
レンチキュラーレンズというのは20世紀初めに考案された。日本語で「かまぼこ」の意味で,つまり長体レンズのことである。横幅は0.15mmから6mmのレンズが一般的である。
人の標準目間隔は約65mmとされており,標準視距離で約30cmの場合,レンズの視差角度を約13度に設定すると,図2の左画像1,2,センター画像3,右画像4,5が重なって3次元画像となる。 ここでレンズの視差角度を20度以上に広げ1~5まで全く異なる絵柄を入れると,レンズの傾斜により順次1~5の絵柄が見えて変化タイプレンチキュラー印刷となる。
▲図2
●立体画像の撮影方法
図3の5眼カメラのような近距離簡易撮影のものがあり,一度に5枚の写真が撮れる。印刷物では5枚では不自然さが見える場合があり,カメラを並べて同調装置を付け,8~12枚で作る。
なお,風景遠距離では各カメラの間隔を約2m以上必要とするため,1本のレールの上をカメラ架台を走らせて撮影する。
▲図3 3DS-EXP 645 コンポーネント
●画像処理
(中間デジタル処理)コンピュータの発展に伴い画像1~5までの横幅をあらかじめ5分の1に圧縮したものをコンピュータのクロップ・プレス処理でレンチキュラー・1レンズ幅の5分1で順次並べて画像6の立体画像を作る(図4)。
▲図4 レンチキュラー処理概要
3. ステレオドットグラフ
1996年ごろに目の焦点を画面より後ろにして見る「平行法」と画面より前にして見る「交差法」が開発された。絵柄を立体情報に合わせて微妙にズラす専用ソフトを使用して作成する。人の視力のほかに副奏力(ふくそうりょく:目を寄せる力)を必要とするため見えない人もいる。
終わりに
レンチキュラーレンズの代替として,黒線スリットを使用する方式・パララックスバリア(ラスターバンド)は,前者より画像が暗くなるためバック照明が必要であり,ディスプレイ,携帯電話本体画面に用いられる。原理はレンチキュラーとほぼ同じである。
このほか裸眼視立体についてはプロジェクターレンチキュラーテレビ,鏡を使用する可変焦点光学系印刷があり,実用化されている。より立体視の発展を望みたい。
▲3Dカレンダー
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)