※本記事の内容は掲載当時のものです。
アナログ博物館:アイデア印刷術 3.眼鏡を用いた立体印刷〔3〕
眼鏡を用いた立体印刷〔3〕
6. 偏光眼鏡立体
印刷物で反射時に偏光を発する物質が研究されているが,シルク印刷でインキ粒子が粗く実用化にはなっておらず,今後の研究課題として残されている。
映像分野では,映画,3DハイビジョンプロジェクターTV,ハーフミラー利用2台CRT合成TVが実用化されておりテーマパークなどで鑑賞することができる。ここで使用する偏光眼鏡は右眼,左眼の偏光角度を90度位相をずらしたもの。
偏光角度は水平に対して45度を取るため,両眼の偏光はハの字またはV字のどちらかとなり,投影装置の右レンズ,左レンズも合わせたフィルタを装着する。
上記の方式では投影装置の偏光角度と,眼鏡の偏光角度を一致させることが立体視の見やすさになっており,顔を10度以上傾けると見にくくなる。
しかしながら立体度が一番表現できる方式でありテーマパーク,文化センターなどの立体シアターでは10~30mも飛び出させることができ,利用度が高くなっている。
偏光フィルムは古くはセルロースにヨウ素液を浸積させて延伸し黄味がかっていた。現在は酢酸セルロース層の間にPVAを延伸した偏光膜を入れたものが主流。一般眼鏡では透明で,立体視眼鏡では濃度を出すためややグレーのものが主流となる。
▲(株)NHKテクニカルサービス・立体ハイビジョン
7. 液晶シャッター方式
電子的に偏光を変えることのできる液晶と偏光フィルタの組み合わせで,片目ずつ透明・不透明にすべく同期を合わせる回路をとおして,CRT画像の右眼,左眼を同期させて見る方式の眼鏡である。
一般のTV画面,ビデオ画面ではチラつきが大きいため,画面のフィールド周波数を2倍,4倍にしたものが実用化され,DVD画像として映画,科学の表現で使われている。
終わりに
第5回の裸眼視立体で入れられなかったモアレ模様を利用した技術について紹介する。
これは明和グラビア(株)の特許,特許番号3131771,平成9年出願に関するもので,印刷方式としてオフセットの特殊網点,シルクの特殊網点(模様)にこの使用線数よりややずれた線数の拡大凸微細レンズ配列を並べることで,レンズ効果とモアレ効果の相乗効果で一つひとつの網点が大きくなり,奥行き,飛び出し画像を形成する。
明和グラビアが印刷各社に実施権を与えたことにより,オフセット印刷物ははがき,ポスター他。シルク印刷は厚レンズで奥行きが出るので,POPに使われる。
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)