※本記事の内容は掲載当時のものです。
アナログ博物館:アイデア印刷術 4.隆起印刷関連について〔1〕
隆起印刷関連について〔1〕
あらゆる企画に利用したい付加価値印刷
長期化する不況のなか,ほかと差別化するにはどうしたらよいか。それは今まで使われたことの少ない手法を活用することだ。人間の五感に訴える,すなわち,視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚を刺激する印刷技術を活用することである。それが特殊印刷と特殊加工で,これらを付加することで,商品の付加価値をグレードアップさせることができる。 この連載講座が,皆さんの企画の「ひらめき」のきっかけになり,素敵な商品を創出することができれば幸いである。
隆起印刷の分類と比較
〈盛り上げるもの〉
1.UV隆起印刷
〔特長〕
インキの厚盛りシルク印刷。エナメルのように高光沢で表面が平滑。
〔ポイント〕
本の表紙・カバーは通常,ブロッキング防止のため,マットPPやマットニスを引いた上に印刷する。中面の場合もブロッキング対策を施す。断裁は,断ち面の盛り上がりは避けるか均一に盛り上げること。通常,仕上げ断ちは抜き加工で行う。
〔応用例〕
本やパンフレットの表紙・カバーにタイトル・イラストを盛り上げると目立ち,重厚感が出て商品の価値が倍加される。
ポスターに使うとパンチが出る。
グリーティングカード,ポストカード,トレーディングカード(トレカ)。
2.バーコ印刷
印刷した絵柄の上に樹脂パウダーを乗せ,加熱溶融させることにより,絵柄を盛り上げる印刷方式である。
〔ポイント〕
高温加熱のため,アートポスト,アート,コート(片面印刷であれば可),芯にアンコの入った紙,表面PP加工したものは不可。これは用紙が火ぶくれ現象を起こすためである。適正用紙と,不適当な用紙があるので注意。
〔パウダーの色〕
透明,金,銀,白,パール,ラメ
〔応用例〕
ポストカード,グリーティングカード,名刺,洋服のタグ,表彰状,レターヘッド,カレンダー,本のカバー,パンフレットの表紙,ポスターなどに使え,表面に多少デコボコがあり味わいが出る。
▲バーコ印刷
▲バーコ印刷 洋服のタグ ブランドロゴ部分がバーコ
▲バーコ印刷 パンフレット
撮影 菊池ハルヤ
3.発泡印刷
塩化ビニールを被膜として揮発性物質をマイクロカプセル化したインキを印刷。通常は,スクリーン印刷の後,同ラインで100~130℃に加熱させ,盛り上がらせる。簡易スタンプの場合は,読者がヘアドライヤーやアイロンで発泡させて遊ぶ。
〔ポイント〕
本の表紙カバーには,印刷面が軟らかく耐摩性に弱いため,不向きである。積み重ね加重をかけると,インキが付いてしまうので加重しないこと。
〔応用例〕
触覚の世界に近づいている代表は,プリント合板である。木目の印刷プラス年輪や導管の微妙な凹凸は,発泡印刷である。
▲発泡印刷 簡易スタンプ
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)