※本記事の内容は掲載当時のものです。
アナログ博物館:アイデア印刷術 7.マット調印刷〔2〕
マット調印刷〔2〕
〔5〕ちぢみ印刷
ちぢみ用のUV装置に通すことにより,まずインキの表面を乾燥させて,次に内部まで硬化させることによりランダムな模様を作り出す。
鏡面の材料に疑似エッチング印刷(リオトーン)よりも光を乱反射させる分,奥行きがあるように見える。また,光を透過させる材料を用いた場合,光がにじんだようになることから,文字を目立たせたり,バックライトで透視するような場合に用いると効果的である。スクリーン印刷。 〔ポイント〕
・折り曲げ加工がある場合は,デザイン的に折り目のところは避ける。
・半透明の色付けも可能。
・耐久性が十分でない。
〔応用例〕
表紙,トレーディングカード,シール,ポスター,POP,パッケージ,ゲーム機器など。
〔6〕ラメ入りちぢみ印刷
ホロペーパーにラメを入れたちぢみインキで印刷すると,ホログラムのレインボーの輝きがきれいである。また,通常の紙の上に,ラメ入りちぢみ印刷をしても,ザラザラして光り,効果的な使い方となる。スクリーン印刷。
▲トレーディングカード
〔7〕発泡印刷
連載の1回目の隆起印刷でも取り上げたが,今回のようなマット表現をする場合にも,使われることがある。スクリーン印刷。
〔応用例〕
ポスター,本のカバーなど。
〔注意事項〕
軟らかいインキのため,耐圧・高温に要注意。
〔8〕蒸着紙+マットニス
銀蒸着紙にオフセットUV印刷+マットニスを印刷することで光を抑えた上品で大人っぽい表現ができる。例えば,アルグラスが発売された時は,銀の地肌が生かされるようにデザインされていたが,最近は,マット表現も多くなり,ユーザも目的に合わせて使い分けている。
〔9〕マット箔
箔押しでも,通常光沢のある箔が使われているが,VIP向けパンフレット,カードなどにはマット箔が使われ,高級感を表現している。
最近,ドイツのクルツ社では,金銀のマット箔のほかに,スーパーマットや金銀のヘヤーライン箔も出している。
▲はがき
シルバーマット箔を使用し,見る角度で絵柄が変わるよう,エンボスの角度を変えている。シックで高級感がある
撮影 菊池ハルヤ
まとめ
グロス表現は,インパクトを与えるものや,若い年代層向けによく使われ,マット調は,上品さ,大人っぽさ,高級感を演出する。また,クリエイターは初期において光った表現をよく使い,その後,落ち着きのあるマット表現になっていく。従って,最初はグロス表現を提案し,次にマット表現を提案していけば,ビジネスチャンスは増すであろう。今回,ご紹介した印刷・加工手法を知っていただき,併せて,マット系の用紙・素材を組み合わせていただければ,さらにマット調表現の幅が広がっていくであろう。
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)