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製本機の総合メーカーとしてグローバルに事業展開しているホリゾンは、オンデマンド製本市場で世界トップシェアを誇る。研究開発、プロダクトデザイン、商品開発、制御設計、システム設計、製造技術、グラフィックデザインなどの独自のノウハウや、環境への取り組みについて伺った。
株式会社ホリゾン東テクノ/株式会社ホリゾン西コンサル
代表取締役会長 堀 英二郎氏に聞く
――貴社の特徴についてお伺いしたい。
堀氏 現在のホリゾングループは、開発・製造の太陽精機、国内販売のホリゾン東テクノ、ホリゾン西コンサル、海外販売のホリゾンインターナショナル、Horizon GmbH(ドイツ)で構成されている。1946年に現社長の堀八郎が太陽電機研究所を創業し、地震計、精密機械、二現像オシログラフなどを製造した。社名の「電機」を「電気」にしなかったのは、メカとエレキの両方が必要だと早くから考えていたからで、いわゆるメカトロニクスである。1973年に卓上用製本機(BB-S)を世界に先駆けて開発して製本機器メーカーとしてスタートを切っている。その後、紙折り機・丁合機・断裁機などが加わり製本関連機器の総合メーカーとして成長してきた。太陽精機の機械はメカだけではなく、自社開発のエレクトロニクスが満載されているがその歴史は創業当時までさかのぼる。
ホリゾンの製本機械は鉄加工フレーム製である。一般の機械フレームは鋳物(いもの)が使われるが、鉄を溶かして型に流し込んで造るため、設計変更がしにくい。一方、鉄加工フレームは設計変更に便利なので、欠点といわれていた機械振動を防ぐ技術開発に成功し、変化に強い太陽精機を創り上げてきた。
――製品の研究開発から製造まで、独自のノウハウを持って事業展開をしているが、もう少し詳しくお聞きしたい。
堀氏 研究部門は、あらゆる技術分野で基礎理論から入り、社内で応用技術として積み上げ、内製化していくことを目標としている。この姿勢は当社にとって常に大きな技術的蓄積をもたらすとともに、次なる可能性をも生んできた。とはいえ技術革新の著しい昨今、新規分野・新技術の開拓を実行するため、産学連携により大学から専門分野に詳しい先生に基礎理論をご指導いただきつつ、応用・実践へとつなげていくことでこれを達成している。
商品でまずお客様の目に触れるのが、「外観」と「操作パネル」である。特徴ある「外観」はその商品のブランドとイメージを印象付けることになるので重要であり、機能性と外観美の融合したデザインを目指し「ホリゾン」ブランドを高めていくことが大きな目標となっている。また「操作パネル」は実際にお客様が一番よく触れる箇所なので、「外観」もさることながら「操作性」も重視される。商品の持つ機能をよく知り、ユーザーフレンドリーなデザインを実現していくのは当社のデザイナーである。
商品設計は3D-CADシステムを用いた機構設計を基盤に、データベース化されたCADデータを共有し、1人1台ベースで配置された専用ワークステーションにより設計作業のパラレル処理が可能となっている。ここで設計された図面(CADデータ)は社内LANを通じて他部門と共有し、開発工数の短縮・早期商品化を実現している。また、エンジニア自ら国内・海外を問わず市場に出て、ユーザーやディーラーの評価を調査・情報収集し次の開発に生かしている。
制御設計は、商品仕様に基づいた商品の動作を実現する制御方法を決定し、実現していくことにある。ハードは実装基盤、ハーネスケーブルなど実際に電気を流すパーツをCAD設計し、ソフトは制御仕様に従って回路に載せる制御ソフトをC言語によるプログラムでコーディングしていく。またメカのエンジニアと連携し、3D-CAD上でのシミュレーションや試作機でテストランを行い、デバックを繰り返して商品の性能を高めていく。
コンピュータシステムは世の中の流れにより年々高度化・複雑化しているため、当社商品にも共通の基盤となるシステムソフトが必要になってきた。そのようなソフトの開発には、かつて社内工場のイントラネットや生産管理システムを構築するときに培われたノウハウが役に立っている。これを生かし近年当社商品を用いた製本工場のための生産管理ソフトの商品化にも成功している。
最優先の経営戦略は技術の向上であり、製品の部品や生産機械などをなるべく自社で内作している。外部発注の方がコストが安いものでも、自社で内作すればその技術が当社のノウハウとして蓄積され、技術力が向上し製品に生かせるという、当社にとっては伝統的な考え方である。例えば、プラスチック成型は金型の設計、精密加工から射出成型まで自社で行っている。プリント基板もボード作りから実装、検査まで自社で行う。びわこ工場は、徹底した自動化工場であり、そのFAシステムやFMS(フレキシブ生産システム)は、大企業の設備にも劣らないものである。
ドキュメンツ課はマニュアル作成と販売促進に関係するさまざまな仕事をしている。マニュアルには、お客様が使う取扱説明書や、機械が故障したときにサービス担当者が使うサービス資料があり、それをすべて日本語と英語で作成している。また、販促関係のカタログ、DM、広告、ホームページ運営、ビデオ作成も手掛けている。ドキュメンツ部門で作成するものは、商品とお客様をつなぐインターフェイスとなる部分なので、商品をより良く、より詳しく理解していただけるように日々努力している。
――環境への取り組みについても伺いたい。
堀氏 開発・製造拠点であるびわこ工場は、豊かな自然に囲まれた琵琶湖畔に位置しており、環境に対しては特に気を使っている。環境保全のため、高水準の自主管理基準の設定・監視体制の整備や、エネルギー削減・資源リサイクル・廃棄物の削減を目標に掲げ、取り組んでいる。例えば年間1%以上のエネルギー削減を目標に、省エネ活動を展開している。「省エネ委員会」では選定委員が定期的に集まり目標達成を実現すべく活動している。年4回工場内のパトロールを実施し、無駄な電力使用・設備の故障がないかなどをチェックしている。
――今後の展開の方向性についてお聞きしたい。
堀氏 2008年の連結売上高210億円(国内3:海外7)、従業員数487人(グループ総数548名)、平均年齢35.2歳、世界販売拠点90カ国以上、オンデマンド製本市場のシェア80%以上が誇りであり、これからも世界No.1の地位を強固なものにしていく。ホリゾングループは創業からの精神であるメカとエレキの強さにソフトを生かして、皆様のニーズにこたえられる多様な製品の提供をさらに推進していく。
株式会社ホリゾン東テクノ
株式会社ホリゾン西コンサル
販売促進部
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