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グラフィックを始め、広くビジュアル、コミュニケーションのツールとしての実用性と可能性にあふれるコンピュータ。その力をさらに高め広げる、世界でも最先端のソフトを提供することをテーマにスタートしたソフトウェア・トゥー。同社の現状と今後の見通しについてお聞きした。
株式会社ソフトウェア・トゥー 執行役員/ゼネラルマネージャー 金子栄一氏に聞く
――Tooから独立してソフトウェア・トゥーになった今日までをお聞きしたい。
金子氏 親会社であるTooが1919年に「いづみや画材専門店」として創業してから今年で90年を迎えた。その中で、ソフトウェアの開発事業を目的として1991年「いづみやソフトウェア・インターナショナル」を設立し、これが現在のソフトウェア・トゥーとなっている。ソフトウェア・トゥーも間もなく20年を迎える。創業当初はQuark社製品の販売を中心に事業を行っていたが、現在ではさまざまな企業との取引、パートナーシップを組んで幅広い事業展開を行っている。
――貴社はセミナーや教育活動を積極的に実施されているが、内容についてお聞きしたい。
金子氏 セミナーはさまざまなテーマを設定し頻繁に実施している。最近もあるメーカーのショールームを借りて、印刷会社を中心に集客したデモ、セミナーを開催した。グラフィック業界とは長くお付き合いしているので、求められる付加価値は何かを常に考えている。今は大変厳しい経済環境の中でもあり、単独のソフト紹介ではなかなか耳を傾けてもらえないので、さまざまな製品を組み合わせたソリューション提案を行っている。メインは、やはり印刷系ではEnfocus社の『PitStop』や『Star Proof』、EFI社の『EFI eXpress for Proofing』などの連携についての内容が多い。
――貴社の主力製品についてお聞きしたい。
金子氏 欧米では、現在PDFでの入稿は約80%を占めている。そのような環境の中で、Enfocus社の『PitStop』は大きな効果を発揮しユーザーを伸ばしてきた。『PitStop』は複数ページを一括で修正することや、プリフライトで問題個所を検出することも可能であり、PDF入稿が増加する日本でも、限られた時間とリソースで印刷出力を求められる印刷および制作会社に、最適なPDFソリューションとして導入が進んでいる。
Enfocus社では『Switch』という新しい製品もある。『Switch』は、外部アプリケーションと連携した自動処理を構築するソフトで、ファイルの受け渡しや仕分けの自動化はもちろん、プリプレスや印刷の用途で利用されるさまざまなアプリケーションと連動した自動化の設定が可能となっている。利点としては、「人為的ミスが起こりやすい反復作業の削減」や「直感的な各工程の自動化設計」「対応アプリケーションと連動した自動運用」などがあり、導入によって従来スクリプトやプログラムの専門的な知識がなければ実現できなかった作業の自動化を実現して、作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
また、長く主力製品として親しまれているインクジェットプルーフ『rosetteStar Proof』は、最新のテクノロジーにより美しい網点表現、プレスシミュレーションコントロール、ICCプロファイルに依存しない自然なCMYKカラーマッチング処理などを実現し、CTP時代のインクジェットプルーフソリューションとして、新しいスタンダードを提供し、CTPユーザーの期待にこたえている。
そのほかには、大判インクジェットプリンタ用のソフトRIP『EFI eXpress for Proofing』がある。最新の各メーカーモデルに対応し、このクラスで唯一「Adobe CPSIおよびPDFプリントエンジン」を搭載した低価格なプルーフ出力ソリューションとなっている。Macintosh OS X 版およびWindows 版が用意されており、幅広く利用いただくことができる。
――『PitStop』の話が出たが、欧米ではPDF入稿が約8割ということを聞いた。日本の実情はどうか。
金子氏 世間では日本は25%くらいと言われているが、同様の認識をもっている。
日本と欧米の印刷発注の中での大きな相違点は、欧米の場合は発注者が責任を持ってデータ入稿するので、万が一事故や不備があったら、それはしょうがないということで済まされるケースが多い。また、もし直しを行ったら「料金を頂きます」とういう取引上の慣行がある。日本にはそれがない。発注者から渡された山ほどのデータをオペレーターが開いて、「書体は、画像は、解像度は大丈夫か」などをチェックしている。欧米はこれをことごとく排除するために、いろいろ考えている。ベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ)が中心メンバーとなって作成した、“プリフライトを掛けて品質保証したPDFしか受け付けません”という『Certified PDF』もその一つである。チェック項目をクリアした履歴が残っている『Certified PDF』の信用度は高く、欧米での普及はとても進んでいる。われわれも『Certified PDF』の日本での普及を目指しているが、商習慣の違いもあってなかなかうまくいっていないのが現状である。
――『Switch』の国内導入状況はどうか?
金子氏
少しずつ受け入れ始めている。人手を介さないで標準化されれば、さまざまなミス・ロスが削減できるので、実際に見て触れていただくと「これはぜひ使いたい」と実感していただける。
ただ、標準化を実現するためには、社内の仕事の流れやデータのやり取りのルール化など、しっかりとした分析と設計が必要になってくる。これがかなり大変な作業となる。導入による高い効果を実現するには、経営者と現場担当者がしっかりとした共通意識をもって取り組むことが重要となってくる。
――最後にメッセージを頂きたい。
金子氏 われわれがさまざまな場でご紹介しているのは、この製品で何ができるかというスペックではなく、この製品、またはこれらの製品を連携させれば、こんな効果が生み出せるということである。近々、オンライン校正の統合サービスを低価格なクラウド形式で提供していく。印刷会社にとって有利な営業展開を実現するツールとしてクライアントに提供していただきたい。前述のSwitch、PitStopやEFI eXpress for Proofingと連動させることで相乗メリットが高い。印刷のサプライチェーンを意識しながら、厳しい時代でも経営上有利なアピールポイントを導き出すことのできる提案を今後も行っていく。
株式会社ソフトウェア・トゥー
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