本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
「We Secure the Future
思いをかなえる 技術で見つめる 確かな未来」を企業メッセージとして掲げ、印刷市場におけるブランドの確立と、より一層の企業価値向上に取り
組んでいるグローリー。同社の現状と今後の見通しについてお聞きした。
グローリー株式会社 取締役 執行役員副社長 浜野政一氏に聞く
―― 貴社のこれまでの歩み、現状についてお聞きしたい。
浜野氏 グローリーは1918年3月創業以来、認識・識別技術をコアに、造幣局向け硬貨計数機(1950年)、たばこ販売機(1958年)、硬貨両替機(1961年)、硬貨包装機(1962年)など数々の国産機第1 号を開発してきた。以来、金融・流通・交通・たばこ・遊技市場に通貨処理機や自動販売機などを提供し続け、成長してきた。
特に金融・流通市場においては、お金の流れの扇のかなめに当たる出納室や会計窓口で省人化・厳正化が図れるオープン出納機・レジつり銭機を評価いただき、70%強のトップシェアを誇っている。
―― 貴社の強みはどういった点か?
浜野氏 グローリーの強みとしては、3点挙げることができる。
1点目は、「コア技術の認識・識別・メカトロ技術を深掘りする研究開発力」。毎年約100億円を開発費として投資し、研究開発部門には約800名を投入している。
2点目は、「国内拠点約100カ所の販売・保守サービスのネットワーク網」。お客様との信頼を結ぶ人員配置を考え、セールススタッフ約800名、テクニカルスタッフ約1400名体制で、国内拠点約100カ所すべての販売・保守サービスを“グローリーが直接” 行っている。そのため、メンテナンスなどへの対応がスピーディーそしてスムーズに行え、高い評価をいただいている。
3点目は、「お客様のニーズをいち早く形にできるグループ一貫体制」。グローリーグループは現在31社あり、開発、製造、販売、物流そして保守サービスの一貫体制を整えている。
―― 現在取り組んでいるビジネス戦略についてお聞きしたい。
浜野氏 2009年にスタートさせた「2011中期経営計画」に基づき、3つのビジネス戦略「成長ビジネス(海外事業)」「基盤ビジネス(国内事業)」「将来ビジネス(新事業)」を掲げている。
成長ビジネスは海外事業と捉え、2011年に海外売上比率30%(現状20%)を目標に、通貨処理機の拡販を目指している。基盤ビジネスは、金融、流通、たばこ業界に対する深掘りをさらに進めていく。将来ビジネスは、脱通貨処理機の開発を進めていく。ほぼすべての金融機関で採用されている「印鑑照会システム」、手書き文字を自動読み取りで分類できる「投票用紙分類機」、鍵などの「重要物管理機」や生体認証としての顔認証による「入退室システム」などを開発し、マーケットを広げていく。PAGE2010でも出品したバリアブルプリント向け印刷検査機「PVS-2030」カット紙タイプも、将来ビジネスの事業として位置付けられる。
―― バリアブルプリント向け印刷検査機「PVS-2030」カット紙タイプについてお聞きしたい。
浜野氏 これまでの紙幣・硬貨を識別してきたコア技術の認識・識別技術を深掘りし、2003年から開発を行ってきた。初めは大型の連帳タイプ「PVS-2010」を、そして、今春にはカット紙タイプ「PVS-2030」の量産機を出荷できる体制が整った。
「PVS-2030」は、カット紙オンデマンドレーザープリンタなどで出力されたはがきサイズからA3ノビサイズといったカット紙帳票を検査でき、連帳タイプの印刷検査機「PVS-2010」で培われた印字検査機能を受け継ぎ、漢字を含む文字やバーコードなどの照合検査機能を搭載している。この機能により、今まで困難であったカット紙オンデマンドレーザープリンタで出力したカット紙帳票の全面検査を実現できるようになった。
また、「ベーシックモード」という非常に簡単に検査を実行できるモードが搭載されている。
登録工数を大幅に削減する「ベーシックモード」は、簡易バーコードチェック、連番チェック、枚数チェック、白紙チェック、簡易英数文字チェックやログ管理機能があり、お客様の評価がとても高い。厳正に検査する部分と少し緩やかに検査する部分と、プライオリティーを付けてお客様に選定してもらうことも可能である。
印刷の世界でもアナログからデジタルへという流れが進んでいて、その中で「新しいビジネスを探していこう」「付加価値を提供していこう」という差別化の競争が始まっている。パブリッシングとトランザクションの融合で生まれる高付加価値が、今後の印刷業界のキーワードになってくると考えている。「PVS-2030」が、印刷会社やアウトソーシングで印刷ビジネスを展開されるお客様に信頼性を提供し、高付加価値、差別化の製品として、必ず役に立つという確信をもっている。
―― 国内100カ所のネットワーク体制についてお聞きしたい。
浜野氏 グローリーの製品は人に代わって働くため、365日、24時間稼働している。そのためサポート体制の充実はとても重要で、一部お客様の業態や地域により24時間の対応ができない場合があるが、基本的には、「グローリーテクノ24」という保守専門会社が、24時間の保守サービスを3交代で行っている。
テクニカルスタッフは携帯電話のGPS機能によって現在位置や作業状況をコールセンターで把握できるようになっており、「あとどのくらいの時間で到着できるか」といった情報をすぐにお伝えでき、ストレスを感じさせない対応が可能となっている。
―― 最後にメッセージを頂きたい。
浜野氏 初めて市場に出した印刷検査機は連帳タイプであった。その後、お客様からのさらに広いニーズにおこたえするため、カット紙タイプも開発した。
金融市場でのグローリーへの評価は絶大だが、印刷市場での評価をいただくのはまだまだこれからであり、まずはグローリーという名前を知っていただき、あらゆる面で信頼できるパートナーであるという地位を確立していきたいと考えている。「ヒトの目から電子の目へ」をモットーに、今後もグローリーはお客様とともに成長を続けていきたい。
グローリー株式会社
新事業開発統括部 事業化推進部 検査機事業推進グループ
〒101-8977 東京都千代田区外神田4-14-1秋葉原UDX
TEL 03-5207-3073
(「JAGAT info」2010年4月号)