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印刷界 OUTLOOK2010 【出版】 出版科学研究所の調査によると、2010年の書籍・雑誌の推定販売金額は前年比3.1%減の1兆8748億円と、6年連続の減少が続いている。
■出版物販売額は6年連続減少、返品率は3年ぶり改善
出版科学研究所の調査によると、2010年の書籍・雑誌の推定販売金額は前年比3.1%減の1兆8748億円と、6年連続の減少が続いている。
書籍の推定販売部数は、2.2%減の7億233万冊、推定販売金額は3.3%減の8213億円となった。2009年は2点と少なかったミリオンセラーも5点となった。151万部の岩崎夏海『もし高校野球のマネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(略称『もしドラ』)、100万部の村上春樹『1Q84(BOOK3)』、大きな話題となり発売2週間で100万部を突破した齋藤智裕(水嶋ヒロ)『KAGEROU』、116万部(累計176万2千部)の『巻くだけダイエット』、105万部の『体脂肪計タニタの社員食堂』である。売れる本は突出して売れるものの、それ以外は低調と二極化が顕著になった。
書籍の新刊点数は近年増加基調だったが、7万4714点で4.9%の大幅減となった。長引く出版不況で出版社の新刊発行に慎重なスタンスが増えたこと、取次の送品適正化などが理由である。書籍の平均単価は2003年から8年連続の低下となる1110円となった。読者の廉価本指向と出版社による価格政策がこの低価格化の要因だ。
返品率は39.0%と、2009年に比べ1.6ポイント減の大幅な改善となった。これは主要取次が対策として新刊配本の大幅な見直し行い、市場の実態に合った配本を推進し、物流効率を重視し始めた成果と見られる。
■雑誌創刊点数は過去40年間で最少、付録企画が活況
2010年の雑誌の推定販売部数は4.3%減少して21億7222万冊となり、推定販売金額は3.0%減の1兆535億円となった。部数の内訳は、月刊誌3.7%減の14億6094万冊、週刊誌は5.6%減の7億1128万冊と、月刊誌に比べて週刊誌の落ち込み幅が大きい。雑誌全体の販売部数は2000年と比較すると36.2%減少している。
金額の内訳は月刊誌が2.4%減の8242億円、週刊誌は5.2%減の2293億円となり、雑誌は価格改定により広告収入への依存度を下げようとする動きが見られる。
雑誌の創刊点数は、2009年より25点減となる110点と、過去40年間で最も少なかった。一方、休廃刊点数は27点増の216点と過去2番目の高水準となり、その影響で発行銘柄数は3453点と2.4%減少した。休刊点数が創刊点数を106点も上回り、その差は年々拡大している。
付録企画は1号当たりを1点とカウントすると1.4%増の13054点となり、昨年に引き続き活発だった。調理器具付録がブームを呼ぶなど、今までになかった新企画も増えつつあり、成功を収める雑誌も増えている。