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2009年2月5日(木)のPAGE2009 デジタルメディアトラックC1「デジタルサイネージ活用による新たなビジネス 」では、株式会社ジェイアール東日本企画 山本孝氏、株式会社パフォーマ 岩田敬氏、株式会社ニューメディア 吉井勇氏がそれぞれ講演。
はじめに当協会常務理事 小笠原より、セッション全体についてのイントロダクション。今回の趣旨について述べた。多大な影響力を保有する情報媒体デジタルサイネージについて、その最新動向や展望、さらにはポスターなど、紙媒体の置き換えニーズにおける成功事例のご紹介を通し、コンテンツの効果的な制作とビジネスモデルの提案について考察することなど。
最初のプレゼンは株式会社ジェイアール東日本企画 交通媒体局 媒体開発部 部長 山本孝氏。「広告スペースデザインとデジタルサイネージ」と題して講演を行った。
交通広告のメディアユニットを、駅メディアと車両メディアに分類。それぞれの媒体特性を紹介した。交通広告のメリットとして、「任意のエリアで展開できること」「首都圏を広くカバーすることで高いリーチを獲得できること」「強制視認・反復接触性」「他メディアの広告想起率が高いこと」「買い物行動の直前で接触」などを挙げた。
交通広告の可能性としては、「場所・時間帯によるターゲティング展開」「TPOに応じた配信管理」「ワンソース・マルチユース」「液晶・PDP・電子ペーパー・有機ELなどデバイスの多様性」「メディアミックス展開など、既存メディアとの親和性」を挙げた。
トレインチャンネルの事例も紹介。山手線・中央線に次いで京浜東北線に年度末で導入完了予定であるとし、最終的に15,000面、約5,000万人/週のリーチを誇るメディアであることを説明。また後発の導入では画面のワイド幅や伝送方式も変化していることを述べた。
ほか、池袋駅のデジタルサインボード実証実験、恵比寿駅自動改札の電子ペーパーディスプレイ実証実験なども紹介した。
まとめとして、デジタルサイネージのポジションは既存メディアとの融合と差別化による付加価値を創造するものであるとして、「メディアの強みを活かせるクロスメディアプランの必要性」「サイネージ相互のネットワークによる競争力強化」「クライアントから見た媒体価値とコストパフォーマンスのバランス」について述べた。
続いて「紙媒体の置き換えニーズから考えるデジタルサイネージの可能性」と題して株式会社パフォーマ プロダクション・スーパーバイザー 岩田敬氏がプレゼン。
デジタルサイネージを利用した場合のワークフローの変化、そもそもデジタルサイネージとは何か?など、デジタルサイネージによるシステムの規模の拡大とともに、どのように全体構造が変化することなどを述べた。
デジタルサイネージ事業に乗り出すことでカバーする領域の拡がり・可能性の拡大を示唆。具体的にはパワーポイントのプラグインとして動作する「Forte D-sign Plug-in」についての紹介に移った。
特徴としてパワーポイントベースの操作性ですぐに使えるテンプレートを活用できること、配信ソリューションとの連動も可能であること。エクセルとの連動でコンテンツの更新を容易にしていることや、変換ツール(オプション)の利用によりMPEG、WMVなど動画にも対応していることを述べた
デジタルサイネージの活用例として、営業時間外に教育・研修に利用するシーンを紹介。普段は顧客向け端末として使用していながら、営業時間外にはスタッフ向けのマニュアル端末として使用するなど、このような使い方を提案していくことで新たな予算を捻出しやすく導入に繋がるきっかけになる点などを紹介した。
最後に株式会社ニューメディア 月刊ニューメディア編集長 吉井勇氏によるディスカッション前の短いプレゼンが行われた。「デジタルサイネージのビジネスは拡がるのか」として、持論を展開。トレインチャンネルの場所(ドア上部)は最高の場所であるとし、既得権の獲得合戦が熾烈になっていくとした。また、人の流れがあるところは何らかの規制が発生する(道交法・消防法)ことを念頭に置く必要があるとした。ほか、男性と女性では双方向性メディアへのアプローチ方法が異なることや、運用上の疲弊(担当者がおらずディスプレイだけが残る)なども抑えておくべきポイントであるなど。
時間の都合上、ディスカッションは短い時間で行われたが、各者のデジタルサイネージに対するスタンスや今後の展望などを述べた。
セッション終了後も来場した聴講者と講師との意見交換は続き、果ては廊下で商談が始まることも。旬のキーワードである「デジタルサイネージ」ではあるだけに注目している人々も多く、熱気に満ちたセッションとなった。
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デジタルサイネージとデジタル印刷の連動 PAGE2009におけるデジタルサイネージ・コラボレーション
2009年02月24日(火) 14:00-17:00