本記事は、アーカイブに保存されている過去の記事です。最新の情報は、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)サイトをご確認ください。
1月11日に首相官邸が発表した「日本経済再生に向けた緊急経済対策(案)」の重点分野に、「暮らしの安心・地域の活性化」があげられた。地域経済を取戻し新しい需要を創造する有効な手法として期待が高まっている。
近年、地域が活力を取り戻すため、日本各地で観光イベント(着地型観光)やご当地グルメの開発、商店街活性やゆるキャラなど様々な取り組みが行われている。その全てに共通するのが、地域の歴史や文化など地域固有の資源を掘り起こして新しい価値付けをして地域内外の人に訴求し、新しい需要を創造するということだ。
例えば、ゆるキャラは郷土愛溢れる強いメッセージ性があり、各地域が持っている独自性のある特色が色濃く表れているため、ゆるキャラを通して地域の特産物や文化などを再発見・再認識することがある。
また観光イベントでは、地域独自の観光資源を生かした付加価値の高い体験型・交流型の観光商品が増えている。従来の「見て、学ぶ」観光ではなく、その地域ならではの体験ができる点に大きな魅力がある。
このように、地域に眠る資源を「ゆるキャラ」や「観光イベント」など、地域おこしをするツールへと昇華させて新しい魅力にし、需要を創造しながら地域全体の価値を高めていく地域ブランディングが目指されている。
しかし、地域活性を実現するためにはいくつか課題もある。まずは、「人」の問題だ。地域活性ビジネスは、地域に住む様々な立場のプレイヤーが協力し合って進める場合が多い。そのため、地域のキーマンとのネットワークを持ち、プレイヤー同志を調整しながら物事を進められるスタッフの存在は欠かせない。
次に、「情報発信のノウハウ」だ。商品や対象に合わせてわかりやすく・伝わりやすく情報を加工し、最も訴求できるツールを選んで情報を発信するノウハウやスキルは、必要不可欠になるだろう。
3つ目は「地域の魅力を客観的に見つめる」スタンスだ。地域活性ビジネスを手掛ける人に話を伺うと、地域への愛着とともに、客観的に地域の魅力を捉えるという、相反するスタンスを持つ方が非常に多い。地域への愛情が強いとつい見えなくなるが、客観的な視点が重要なのだ。
こう考えると、印刷会社は地域活性ビジネスにおいて牽引役となる資質を多く備えており、大きな可能性も秘めている。従来型の印刷需要増加が見込みにくいなか、印刷会社が地域活性に繋がる独自コンテンツを持つことは新しい印刷需要の創造につながるなど、取り組む利点は多い。
page2013カンファレンス「印刷会社の地域活性化ビジネス2013~地域コンテンツを生かして印刷需要を創造~」では、地域ビジネスで効果をあげる1社2団体の取り組みと、印刷会社の地域ビジネスへの取り組み実態を浮かび上がらせた最新調査から、コンテンツを使って地域を活性させるノウハウや自社事業への波及効果、失敗例と成功例、印刷需要を生み出すポイントなどについて考察する。
(JAGAT 研究調査部 小林 織恵)
【page2012カンファレンス開催報告】
「地域密着から拓く新ビジネス」
PM2 印刷会社の地域活性化ビジネス2013~地域コンテンツを生かして印刷需要を創造~
日時:2月8日(金) 15:15~17:15
【スピーカー】
たつみ印刷(株) 専務取締役 新道行氏
アトム通貨実行委員会 本部副会長 (手塚プロダクション クリエイティブ部 部長) 石渡正人氏
秩父アニメツーリズム実行委員会 (秩父市観光課) 中島学氏
【モデレーター】
JAGAT 研究調査部 シニアリサーチャー 藤井建人