次世代モバイルで拡がる世界[PAGE C2報告]
掲載日: 2009年02月21日
PAGE2009 デジタルメディアトラックC2「次世代モバイルで拡がる世界」報告
2009年2月5日(木)のPAGE2009 デジタルメディアトラックC2「次世代モバイルで拡がる世界」では、brain. design 佐々木雅志氏、有限会社CMパンチ 佐々木康彦氏、株式会社マイ・カウンセラー 田代真人氏がそれぞれ講演。
はじめにモデレータ:佐々木雅志氏による総括。
3.9G、LTE、WiMAXなど次世代ケータイを取り巻く動きとして、キャリア各社の動向はおおむねネガティブであり(不況ということもある)、取り組みとしては消極的である感は否めないとした。ただしこれはi-mode登場前夜と似ており、今後3年間にメディアに関わる側がどのように行動していくかは、しっかりと見据えていかなければならないと述べた。
3.9Gの環境では100Mbps(理論値)という通信速度が実現する見込みであるという。FTTHなどと変わらない状況でありブルーレイなどのコンテンツのビットレートを超えるものである。2021年ごろ本格化とのことだが、こうなってくるとメディアビジネス(コンテンツも制作も)が大きく変化し、コミュニティも変化するといった、まったく現在とは違う世界になるのではないかと説明した。
ただ、技術的な環境の変化について、そのような方向に向かうであろうことは予測できるが、その技術の話をしてもしょうがないことであり、むしろ「何ができるのか」「誰が必要とするのか」「誰の利便性を実現し、高めるのか」といった、ビジネスモデルがどのように構築できるか、自分とお客に向いた発想が重要ではないかとした。
次に、「携帯メディアと既存メディアの連携 ~2010年以降に開始される各種サービスについての思考実験~」と題して、有限会社CMパンチ代表取締役 佐々木康彦氏によるプレゼン。サービスを発想する視点で説明した。
LTEなどについて、「実際使い物になるか?」「料金体系・契約」「旧来技術資産はどれくらい活用できるのか」「どのようなシェアに落ち着くか」など、課題は残っているとしつつも、ネットが一般化したときと同様に、個人で好奇心旺盛な人から始まってくる何かによるのではないかとした。
検討材料となるのではないかというところが、非音声系サービスである「映像配信の高品質化」「生体情報解析技術」「RFID」などであり、携帯というよりは通信技術として考えた場合を発想していくのも手である、とした。
極端な例の考察としては、「充電できるスポットに集客の鍵があるのでは?」「出会い系などビジュアル必須のサービスも当然進化するのではないか」「フィルタリングがどのように規制強化がなされるか」なども思いつくところとして挙げられた。
注目しているところとして紹介されたのは以下の通り。
・WILLCOM CORE
・Life-x&SONY BRAVIA
・Indaba
・pepoz
・iLiad
・SuiPo&ナビタッチ
・ヘッドフォン型映像再生装置”メディアポート”「UP」
・ITmedia MacWIRE for iPhone
最後に株式会社マイ・カウンセラー代表取締役 田代真人氏によるプレゼン。内容は「今後のモバイル技術の発展と、ヒューマンタッチサービスの融合」というもの。
同社は「モバイルメール・カウンセリングサービス」というサービスを展開している。カウンセリングにおける、モバイル利用のマッチングサービスであり、カウンセラーは臨床心理士はじめ有資格者のみで構成され、相談者はプロフィールや顔写真を見て、カウンセラーを選ぶ。やり取りを重ね、フィーリングがあえば対面してカウンセリングをうけるというものである。
カウンセラーにとってのメリットとして、「ほかの仕事をしながらでもできるサービス」「どこにいても仕事ができる」「いままでの労働集約型のビジネスから脱却して、高効率のビジネスへ」としている。やり取りの文字数により利用料が変化するところなどはモバイルならでは(利用料自体は、プリペイド式)。
ビジネスモデルについて会場からも質問の声があがったが、田代氏によるとマッチング後の定額課金を行っていないという。これについて田代氏は、「ビジネスとして月額制は理解できる話ではあるが、サービスの本質、広げ方の展望を見誤ると発展するものも発展しない。まずはユーザ視点で実現していくことを考える」とのこと。
佐々木雅志氏より「まとめ」として、「例えば(今回のセミナーにて)『Android』の技術動向とか、そういうのを聞きたい人もいたのかもしれない。しかし現在の技術や表層的なことは議論しても仕方のないこと。それよりも、いずれにしてもインフラの高速化など、まずそういう方向に進むことは間違いないという前提で、どんなサービスをそのとき作れるか。そこを今から真剣に考え始めないといけない」と締めくくった。
モバイル利用による、ユーザの方を向いたサービス展開については、クロスメディア研究会で2月26日にもミーティングを行う。
モバイル特性を活かしたサービス展開 ~リアルと連動したクロスメディアが生み出す価値~
グランドデザイン&カンパニー株式会社 代表取締役社長 小川和也氏(他、調整中)をお招きし、モバイル×リアルによる価値創造や多様な可能性創出について事例等を交えてお話いただく予定である。