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Drupaでは後加工について非常に変化があったと言われている。果たして本当に変化があったのか。私としては但し書きを付けなくてはいけない。変化というものが単発で、このあとに継続性があるものなのか。それとも将来に向けての進化であるのか。
こういうことを見極めていかないと、今後、本当に後加工まで含めて取り組んでいくべきなのかどうか、非常に迷われると思う。
ポストプレスというものが今回のdrupaで注目されるに至ったのか。その流れをまずお話ししたい。
その流れをお話しするにあたって英語で書いて ある2つの文章を押さえておきたい。大きな流れの根底にあるものとして、「デジタル化できるものは全てデジタル化するであろう。そして印刷媒体もその例外ではない」。もう1つは、「デジタルショップは繁盛しバリアブル対応や個別対応、極小ロットという需要は増えている。しかし、それは市場のほんの2%を占めているに過ぎない。いまあなたがたは98%の側に進むべきでなかろうか」
これをご覧になって、ハッと思った方がいらっしゃるかも知れない。Drupaの会場でベニー・ランダさんが言った言葉で、ランダのパンフレットにも書いてある。ランダさんについては、おやっと思う方もいるかも知れないが、この2つに関しては、色々なことを考えていく上で真実を突いているのではないかと思う。これから出てくる話でも参考になる部分になるので、あえて挙げさせていただいたのである。
ポストプレスの変化の原因を4つに分類した。
1つは電子化の影響。
2番目が欧州危機。
3番目が2008年のdrupa。
4番目が中国メーカーの追随。
個別に見ていくと、電子化の影響を見るにあたって今日は面白い資料をお持ちした。皆さんの業界でも販促物、チラシ、ポスターを扱っていらっしゃる方が多い。私がここに持っているのは、日本スーパーマーケット協会が会員に配った「シナリオ2020」である。
2020年のスーパーマーケットはどういう販促方法をとっているのかという未来図を示したものである。こういうものを見ていくことによって電子化の影響が、現在、今後も含めてどうなっていくかということが分かってくる。スーパーは小売の最前線に立つ代表選手でもあるので、こういうところはやはり見過ごしていけないのではないかと思い、drupaとは関係がないがあえて挙げさせていただいた。
販促情報は電子チラシ活用や携帯端末へ配信。2番目として、来店客のほとんどがスマートフォンを所有。それと同時に、入店すると客は無料で購買履歴に応じたクーポンを入手できる。
今だとレシートの裏に、次に買うときはヨーグルトは30円引きだとか印刷されたものを渡される。お買い物をしたあとに渡してもそれを使ってくれるかどうか、分からない。スマートフォンで、ターゲット顧客に、この方は2回に1回はヨーグルトを買ってくれるのであれば、その方に今日は3個買ってくれれば10%引きだという情報を流した方が早い。やはり、デジタルを利用した考え方になっている。
同時に、商品情報や販促情報も随時入手できる。今日は野菜が安い、大間のマグロが入ったとか、そういった情報も随時流していく。また同時に、店内の掲示は大小のデジタルサイネージでやっていく。さらに、ポスターは電子ペーパーが基本。
実はこの中に紙の媒体という言葉が1つもないのである。実際にこういう世の中がくるかどうかは別にして、スーパーをはじめ多くの業界がこういう方法を志向しているということは我々は無視できない。
人々はデジタル機器を使い、必要な情報をいつでも、どこでも容易に入手し活用するようになった。これは、電子か紙か、電子と紙の融合という次元の問題で捉えていいのだろうか。
例えば、今日の帰りに近くに美味しいラーメンがないかなといったときに、以前はラーメンマップとかブックみたいなものを持って、ここがいいかなとやっていた。今はGPSが付いていれば、「ここら辺で美味しい店」なんてやると、色々な情報が流れてきて地図まであって案内してくれる。
そういうときに出版物、既存の印刷物の役割はどこにあるのか。これは紙とか電子とかという問題ではなく、人々のライフスタイルがデジタル端末を使うことで変わってきたと考えざるを得ない。
ランダの言葉に戻るが、「デジタル化できるものは全てデジタル化するであろう」ということで、ある意味、いつでも誰でもどこでもデジタル情報にアクセスできて利用できる「Road to Ubiquitous(ユビキタス社会へ)」である。
よくクロスメディアという言葉を目にするが、クロスメディアを飛び越えて、社会はユビキタスの方向へ向かっているということを踏まえておかないとならない。こういう影響を後加工メーカーは当然、受けていないことはない。それに対してどういうアプローチをしていくのか、考えていかないとならない。
2番目として欧州危機。drupaはドイツで開かれるので欧州危機の影響を深刻に捉えなくてはならない。ドイツをはじめ各国で機械の売り上げがものすごく落ちた。それに追い打ちをかけるように先進国では、印刷業者ないし我々後加工業者の数が少なくなり、淘汰の時代に入った。倒産が増えた結果、中古機が大量に流通したのである。それによって、新台が売れないという既存のビジネスの行き詰まりの状況が出てきたのである。これは2点目として踏まえておかないといけない問題である。
3点目として、こういった逆風がある一方でチャンスも巡ってきた。
2008年のdrupaでは、インクジェット機が色々な形で発表され注目された。インクジェット機が出てきた場合、印刷したものをどうするのか、処理の必要性が浮上してくる。
皆さんやはり印刷しただけではユーザーニーズに応えられないということに気が付き、後加工機メーカーと連携をしていかないとだめだということが始まった。
水面下でオンデマンドメーカーが後加工機メーカーに色々いって、連結の可能性や提携の可能性を探る動きが出てきた。これは後加工機メーカーにとって、需要が落ち込む中で、新たな販売チャンス到来と同時に開発競争が開始されたということである。
4番目は中国メーカー。今回のdrupaでも中国メーカーは多く出していたが、あえてメーカーは言わないが、よく見たことがあるという一流ブランドのメーカーの商品に似たようなものがいくつも出ていた。
ただ似ているだけではなくて、今回は性能も良くなっているという感じがした。つまり、中国で機械を仕入れて、バラして寸法を測って組み立てて、かなりいい精度でできている。従来と同じ様な機種をポストプレスメーカーが作っていたのでは経営が成り立たないという状況が、こういった4点から生まれてきたのである。かくしてdrupa2012でのポストプレスの方向性が決まってきたわけである。
簡単にまとめると、電子化の影響。欧州危機である。こうしたサプライサイドを取巻くさまざまな外部要因を取り入れて、果たしてユーザーサイドとして本当にポストプレスに踏み切る必要があるのか、改めてお考えになった方がいいということである。
私は決してデジタル印刷推進論者ではなくて、客観的に情報を見ながら皆さんに必要な判断をしていただければということで今日はお話ししている。
やはり実際に会場を回られて、欧州製の高額な機械を買っても仕事が取れる時代ではない。有名印刷機メーカーの機械を持っているから仕事をくださいという時代は終わってしまった。
では、デジタル印刷にいけばいいのかというと、会場に行っても1社の盛況ぶりだけがやけに目立った。それと同時に人種構成も変わって、インド、中国からの来場者が急増している。また、デジタル機メーカーにも色々な後加工機がやたらとつながっていて、メーカーが入り混じり分かりづらい。
最後は付け足しみたいだがランダって何だろう。一体、「このdrupaはNANDA?」と思われた方もいるかと思う。
よく考えて見ると、これまでは印刷の主だった流れを追いかけていれば何となくdrupaを理解できた。人も技術も、欧米を追いかけていればよかった。でも、それでは先程の事情により、理解しづらくなっている。今回はメーカーも単独で提供できることに限界が出てきた。
また見る側もメーカーのさまざまな機種が複雑に絡み合って分かりにくい。印刷という分野だけを中心にdrupaを捉えようとしても混乱に陥りやすいのである。今回は、後加工からの視点も加えた大局的な見方が必要になるのではないかと考える。
1つは、会場ではコラボレーションが盛んであった。フンケラー、ホリゾン、ミューラー。そういった機械がHPのところに置いてあったり、色々なデジタル印刷機との接続があった。
2番目として、ハイブリッドも提示。
ハイブリッドというとちょっと誤解があるかも知れないが、ここでのハイブリッドは、後加工で、オフセットで出力したもの、デジタル印刷で出力したもの。両方ともさばけるような機械、ないしはラインのことを言っている。
ランダの2%と98%の話をしたが、98%の方も考えなくてはいけないということであれば、ハイブリッドということも直近では現実的な話として大事ではないかということで注目を集めた。
自動化の流れ加速。デジタル機との連携の良さをアピールしなくてはいけないので、デジタル機から出たものがスムーズに変形する。今回は自動化がさらに、サイズとか、例えば冊子なら厚みに応じて自由に変えられるように、メインシャフトから動力をとって、それを個別ユニットに伝えるという方法から、サーボモーターを個別のユニットに付けて、サイズ替えをどんどん速くしていくモデルが誕生している。
4番目は、後加工の主力機が高速から中速、低速へと移行してきた。これは今回のdrupaで輪転機が消えたということがあったが、後加工機も例外ではない。中速を3000~7000部/hと私が勝手に定義しているが、後加工機ももはやスピードを追う時代ではなく、それほどスピードが出なくてもセット替えを速くすることによって、1万以上の機械でもそんなに相対的な量は変わらないのではないかという志向に変わってきているのである。
逆に、すべてのものが小ロットになったわけではない。多品種、中ロットという書き方をしているが、実際にデジタル機との接続ではオーバースペックになってきて、先程のハイブリッドではないが、オフセットと併用するという使い方が現実的かと思うのである。
低速機はデジタル印刷に直結できるモデルとして、max3000回転くらいのものが今回非常に多く出てきたのである。デジタル機との接続を意識し今後の主戦場になるのではないかということである。ホリゾンさんからあとでモデルを提示いただけるのではないか。
5番目として、半自動のアナログ機にも再び注目集まる。デジタル機からつなげてインラインで全部流さればいいが、すべてがそのラインで処理できるとは限らない。場合によってはオンデマンドということで、100単位または100部以下のロットになると、ラインを切り替えることは非常に難しくなる。
例えば「この冊子に穴明けをしてくれ、10部だけ」という場合は、ラインを切り替えているよりも足でパンパンと踏んで穴開けした方が早いかも知れない。そういう方が現実的である。そういった半自動ないしは手動機などのコーナーも非常に注目が集まっていたのである。エスケイセールスやホリゾンもそういう機械を持っているので、あとでご紹介があるのではないかと思うのである。
デジタル印刷機をすでにお持ち、あるいはこれからご購入される場合に、後加工機をどのようにつなげていけばいいのかというときに、簡単な目安としてこの4つに分類した。
1番目はデジタル対応機。デジタル印刷機とつなげることを前提として作られたような機械である。
2番目はJDF対応機。デジタル印刷機と連動可能で、当然オフセットでも使えるものである。
3番目は自動化対応機。コンピュータ付きで、もともとJDFとか何とかというよりもセット替えを早くするためにコンピュータを付けたような機械のモデルのことである。ちょっと世代が古いものである。
4番はアナログ機。半自動、手動の機械。完全にオフラインになる。
1番目のデジタル対応機は、世界的にもライン化された実績が多い。機械同士の接続というだけではなくて、ソフトウェア、インターフェース、通信の規格、電気信号、そういった環境が整っている機械である。
これは逆に言うと、デジタル印刷機から出た直後のシートカットやスタックなど従来の後加工につなげるための中間機的な役割を担うものが多い。
Unwinder(アンワインダー)は、巻き取られる紙を印刷機や後加工機に供給するものである。UWと略されることが多い。
Rewinder(リワインダー)。これはRWと略されることが多い。印刷機で出たものをまた巻き取ったり、後加工機から出たものを巻き取るものである。
Buffer(バッファー)は、デジタル印刷機と接続する独特のものだと思うのである。デジタル印刷機と後加工機をつなげつときに、必ずしもすべて同じスピードで同調しているとは限らないので、スピードを調整する機能を果たす役割の機械が必要になる。それがBufferである。
次はcutter(カッター)。縦横どちらにもカットできる。folder(フォルダー)、紙折機である。さまざまな折り方があるので追っていると切りがない。フンケラーの折り方、ホリゾンの折り方。今回は出品がなかったが、マンローランドも折機を出している。各社各様の折り方がある。
stacker(スタッカー)。折ったり、シートで出したものを切って、重ねていくスタックする役割をする。
このほかにもミシン目を入れるperforatorや型抜きのできるDie cutter、糊付けのできるgluerなどさまざまな装置がある。またひとつの機械で複数の役割をする機械もある。折って積み重ねる機械。切るだけでなくのミシン目を入れたり穴を開けたり、複合的な機能を持つ機械もある。
2番目のJDF対応機。JDFを通じデジタル印刷機とも連結できる汎用機である。従来使われていた中綴機、無線綴機などあるが、高級なモデルだが、新しいモデルはコンピュータが付いていて、ホリゾン、コルブス、ミューラーなど、JDF対応機をたくさん出している。
JDF対応機は必ずしもデジタル専用ではない。大体がオフセット主体でデジタル対応も可能ということである。低速のものに関しては単体で小ロット対応機として使えるので、非常に使い勝手がいいということである。
3番目は自動化対応機。JDFにも対応してないものである。これは世代の古いモデルで、セット替えのためにコンピュータを付けたものである。こういう機械をつなげたいとか、捨てるのがもったいないという場合は、連携ができないかというとまったくできないわけではない。メーカーとの相談になると思うが、デジタル印刷機から出力されたものの場合、後加工機に加工の指示を出すためにバーコードが刷られて、それを読み取ることによって後加工をしていくことになる。そういう機能を機械に持たせれば可能性がないということではない。個別のケースになるので、実際にやられる場合はメーカーとご相談いただきたい。
4番目はアナログ機。極小ロット、ライン化するほど使わないという場合は半自動あるいは手動機というオフラインの選択もあるということである。
そうしたことを踏まえて、インライン、オフラインに分けて説明していきたい。インライという選択肢を採る場合、どういうことがいいのか。輪転とかシートとか、似たような考え方になると思うが、大量に同じようなものを続けて流すのであればインラインの方がいいかと思うのである。
書籍製本だけとか請求書だけしか作らないとか、用途が限ったものならインラインがいいかと思うが、一方でラインがつながってしまっているので、デジタル印刷機を含めた5つの機械がつながっていると、各機械の稼働率が95%とした場合に掛け算をすると最悪の場合、8割しか動かないということにもなりかねない。
インラインにする場合にも機械の連動としての実績、後加工機を止めないために速度調整機ができるバッファーなどの組み合わせも考慮されて、ライン化される方がいいと思う。実際に、ライン化できるにもかかわらず、あえてラインかしない方がいいということで使われている会社さんもあると聞いている。
続いて、インラインの例として、一番オーソドックスなパターン、roll to rollと俗に言われているものだが、紙を巻き取理ながら供給する装置unwinderからデジタル印刷機に紙を入れて、巻き取る装置rewinder。これが一番オーソドックスなパターンで、オフラインでは巻き取ったものを後加工機にまた供給していくことで色々な加工の場面が取れている。
2番目はRICOHがdrupaでデモでやっていた。紙にUVコートをしてヤモリやカエルの形に型抜きしたものを自社のデモとしてやっていた。これはRICOHさんの枚葉機のあとにUVコート機を付けて、最後に型抜き機で型を抜く。非常にシンプルな分かりやすい事例である。
3番目はlasermaxrollのパンフレットに書いてあったものを拝借した。
unwinderで紙を供給して、次は穴あけ機。印刷機の前に穴を開けるということも可能で、これは前工程になって前加工の話になってしまうが、こういう順番もある程度フレキシブルに考えることもできる。その仕事によって何が一番いいのかということで順番も考えられると思うのである。デジタル印刷機で最後に巻き取る。rewinderである。
次はdrupaのlasermaxrollのライン化の例である。印刷済みのものをunwinderで供給して、その後穴開け。印刷してから穴を開けるパターン。そしてミシン目を入れて、検査装置が入る。検査をしてその後折り機でミシン目に沿って折る。Z折りみたいな形で積み重なっていく、帳票みたいなパターンである。
次は、最近注目されている書籍制作ラインで、ミューラーやホリゾンがそういう例をお持ちなので、あえてKodakの中国の事例を挙げた。果たして中国でデジタル印刷機が必要なのかということもあるが、欧米の注文がかなり殺到して非常に活躍する余地があるということである。
中国でもこういった例が増えてくるのではないかと言われているのである。この例としてはunwinderで紙を供給して、Kodakのデジタル印刷機prosper1000は非常に高速機だが、その後速度調整機に入って、後加工機のスピード調整をする。そのあとフォルダーで紙を折って、折ったものをカットして、積み重ねる。積み重ねただけではバラバラになってしまうのでグルー装置で糊付けして、少し乾燥して固めるためにコンベアを流したあと、アンスタッカー。この間が抜けていて、何冊分か重ねるのだと思うが、重ねたものを1冊分に供給し直して無線綴機に入れる。無線綴機に入れたら何冊か積んで三方断裁機にかける。若干複雑なラインになってくるが、書籍製作になるとこれくらいのラインが必要になってくる。
特に書籍製本のように複雑な場合はパートナーシップを組み、すでに所有している後加工機を使うのか使わないのかとか、そういうことにより、ライン構成はまったく異なったものとなる。デジタル印刷機から出たあと、どういう機械を使うのか。
フンケラー、ホリゾン、ミューラーのシグマラインを使うのか、あるいはKodak、マンローランドの折機を使うのか。色々な選択肢があり、それによりライン校正がまったく異なる。自社の取り扱い製品にとって何がいいのか。面付けの方法などを考慮された上で、生産性や予算、連動の実績などを加味して、導入の可能性を検討されるべきだと思う。
しかし、今は書籍制作だけは差別化にはつながらない。競合に勝つための戦略的なライン作りを考えていかなくては最終的には勝ち残れないと思う。メーカー同士は色々な組み合わせがあり、多くのデモが行われていて私もすべて把握しているわけではないし、すべてを把握されている方はいないと思う。
デジタル印刷機メーカーにとっても後加工機メーカーにとっても、どことの選択肢を採るのか。あるいは色々な選択肢を提示することが今後、そのメーカーが生き残る必須の条件になってくると思う。例えばHPが、これだけの連動実績があるということで一覧表を提示をしている。
メーカーをざっと見てお分かりいただけるように、馴染みのないメーカーが随分ある。そういうところを使いたいとなると代理店さんをどうするのかということも考えていく必要がある。デジタル印刷機メーカーには「うちがセットでとりますよ」と言ってくださるところがあるかも知れないし、国内のメーカーで「うちがとってあげましょう」というところも、もしかしたらあるかも知れない。それはご相談いただければと思う。
また、国内で作ることも可能になってくると思う。ホリゾンの機械を使っている太陽やデジタル印刷機を作っているミヤコシは積極的に話しを聞いてくださるのでご相談されてみたらいかがかと思う。
インラインは、巻取りか枚葉かということである。これは輪転とシートの関係みたいなものであるので、あえて皆さんには必要はないと思う。
続いて、統合ワークフローについてである。今までは印刷の統合ワークフローを追っていけばよかったが、ライン化するにあたっては、後加工機までを含めた統合ワークフローが必要になってくる。肝心なことは今使われているワークフローが後加工までできるのかというということである。
例えば、後加工機のワークフローで知られているものはホリゾンのpxnet、ミューラーのconnex。それほど多くはないが、世界でも使われている。これに対してスクリーンならEQUIOSとか、KodakならPrinergyとか。
そういったものを使えるのかどうか。しかも、CTPに使っていたがそれを後加工機にまで使えるのかどうか。MISまで戦略的に考えてトータル的にやられるのであれば考えていかないとならない部分である。
スクリーンのEQUIOSで、キャノンのデジタル印刷までやっているという例は聞いている。EQUIOSだったらキャノンもKodakもできるとか。オセのPRISMAだったら何ができるとか、そういう組み合わせはあると思う。
キャノン、Kodak、スクリーン、ハイデルはできると思う。そういった組み合わせでやっていくことが必要である。
ちなみにdrupaで業界の枠を超えた例として、スクリーンのEQUIOSが、ホリゾンの折機に活用されている。EQUIOSからもらったデータをホリゾンの折機のセットに活用している。
では、本当に使いこなせるのか。後加工には切る、折る、糊付けするなど色々な条件が入ってくるので、これを完璧にワークフローできれいに制御することは難しいハードルがある。よくよく考えてテストを踏まえた上でされた方がいい。現状としてできるだけ、同じような紙、仕様を使うとか生産管理を主体とした使用が望ましい。
実際にはバーコードやQRなどをデジタル印刷機で刷って、それを後加工機が読み込み、その情報をもとに後加工機が処理をするということが一般的に行われている。
ワークフローの問題だけではなくて、印刷には画像検査装置が付いているように、後加工機にも各種検査装置が組み込まれている。最近では金属探知機まで付いている。そういうものとの連携も考えていかないといけない。理想的なラインとしては、特に複雑なライン構成になると、ミスを検知した場合に不良品を自動排出する。排出したと同時に、バリアブルをやった場合に誰のデータが欠損したのか分からなくなるで、リプリント指示ができるようなシステムまで備えていた方が安全ではないかと思う。
次はハイブリッド。オフセットの仕事がたくさん残っているということで、1台のマシンでオフセット、デジタルどちらの印刷物でも後加工が可能なラインが現実的になるのではないか。
参考例として、drupaで出品したホリゾンのハイブリッド書籍製本ライン。簡単に言うと、デジタル印刷機から出た書籍製本ラインに丁合機を組み込むことでオフセットで印刷したものもかけられるというシステムである。
エスケイが代理店やっている糸綴機、メカノテクニカ。デジタル印刷機で出たペラのものを2つ折りにする。それから従来のオフセットで出力したものを折機にかけて折丁にしたもの。これを同時に投入して糸綴ができるというシステムも出てきている。デジタル印刷機、オフセット印刷機を両方お持ちの会社は、今後、後加工機を導入する上で、こういった選択肢もありだということである。
次はニアラインという選択である。多品種小ロットで専用ラインが組みづらい。ライン化できない後加工機での作業がある。ライン化しない方が実稼働率がいい。出力してしまえば後加工は急いでやることもない。人手があるときにいかようにもできる。このような場合は別にライン化しなくてもいいという。
オフライン、ニアラインの最大のメリットとしては、後加工機の選択肢が非常に多のバリエーションが採れるということである。ただし注意点があって、自動化でスムーズに流れているよりは製造コストが上がるということ。また、後加工機の種類によっては熟練を要することがあり、自社ではやり切れない場合もあるということである。
これはメディアテクノロジーにご提供いただいたが、デジタル、オフセット両方の活用ということで、ちょっと変わったラインである。帳票が少なくなったので、旧帳票ラインで書籍が作れないかということで、デジタル印刷機で印刷したロールを1から8まで組み込んで、トイレットペーパーのように引き出して、重ねて、8枚1組。16ページ1組のものになる。それをシートカット、断裁する。8枚1組16ページのものを8束にすると128ページの冊子の中身ができる。これを無線綴機に入れれば、ちょっとしたカタログができる。
新しく機械を入れなくてもちょっとした智恵次第で、普段使っていない遊休設備の活用もできる。
後加工には色々な設備があって、今日は紹介しきれない。1番から9番まで、
表面加工から始まり、断裁、抜き、折り、綴じ、紙器、包装、封入封緘、その他宛名の印字、小口印刷。組み合わせは無限の可能性があるので、皆さんが今後取り組まれるとすれば、売上の大事な基礎になる可能性があるということである。
ただ、大手さんであればミリオン単位のロットを確保できる可能性があると思うが、そうでなくて設備をすると現実的には採算が合わないことも出てくるのである。その場合は協力会社を使うことも1つの選択である。
後加工をアウトソースすることは今までの歴史でもあったので、今後もそれはありだと思う。
協力会社の選び方を簡単に書いた。小ロット対応、今の時代は当り前である。
手作業のできる職人がいる、これは意外と大事である。手でやると大抵はどんなことでもできてしまうのである。型を作るとお金がかかるので10部くらいだと型が作れない。それなら、手でやっちゃえというときに、職人がいるときれいにやってくれる。
それから支払能力、これは与信管理である。何かあったときに弁償能力があるかどうか。
アナログだが、便利な小道具ということで、穴あけや角丸など、小ロットでいちいち外注していたら採算が合わない。穴を開けたりするのは自社で足踏みの機械でいいのである。そういうものを用意しておくことも1つの方法であり、それにより多彩な選択肢が提供できるならいいのではない。
小道具の便利な点は、設備投資額が極端に低い。場所を取らない。使わないときは工場の片隅に置いておける。熟練しなくても使えるものが多い。試作品などを作って新たな提案をしやすい。などである。
後加工への具体的な取り組みを最後に簡単に申し上げる。デジタルでもオフセットでもオフラインでやる場合も基本的には同じである。印刷されたものに変わりはない。後加工機は、これはデジタルで印刷されたとか認識をしているわけではないので、あまり難しく考える必要はないのである。しかし、柔軟な発想がないと差別化していくのは難しいのではないか。
従来の後加工機ではできないような柔軟な発想に今後、後加工機の意義が見出せるのではないか。デジタル時代だからこそ発想は柔軟にしていかないといけない。国内メーカーに相談すれば、実現してくれるところがあるかも知れない。
柔軟な発想がなぜ必要か。当り前のことだが、デジタル印刷機は印刷機ではなく高価なコンピュータが付いているプリンターだと思うである。コンピュータを使いこなせずして出力しても意味がない。少なくとも1000万~2000万はする高性能なコンピュータが付いていたりするので、これを使いこなせなくて、メール程度の使い方しかできなくて、出力しても意味がない。
柔軟な発想でオフセットの替わりではないということを考えていただきたい。
最後に提供できるさまざまなアプリケーション。キーワードはバリアブル、オンデマンド+後加工。使える範囲は、組み合わせによって無限に近い。
販促物、出版物、パッケージ、事務用品、その他。色々なものに使える。皆さんが得意とするコアな部分を使いながら、是非とも色々な提案をしていいただきたいと考える。
drupa2012で注目された後加工機であるが、あとでメーカーがいらっしゃるので、メディアが注目されたscodixをサンプルとして提供してくれた。
scodixのカタログもある。DM関係もHPが提供してくれた。
バリアブルということで、お持ちの方も多いと思うが、キャノンさんが提供してくれたペットを主人公にしたフォトアルバムの製作もある。ペットはこれから有望で、すでに高級化に移っているという話もある。
2012年7月24日T&G研究会「デジタルワークフロー時代のポストプレスdrupa2012に見るポストプレス最新動向」より(文責編集)