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これは私どもがdrupaのコンセプトとして出した表現である。
デジタル印刷機を核としたワークフローはますます増えている。この流れを受けてより効率的に作業を進めることにフォーカスすると、ポストプレスが重要であることにお気付きいただけると思う。
昔からの習慣で進めている版面設計・印刷・製本加工までの流れ、全体の機器構成を見渡した上で作り上げることが出来ているでしょうか。セクションごとの満足で終わっていることが未だに多いのではないかというところから、書いている。
お客様のところにお伺いすると、「他のセクションのことはあまり知らない」、「関わりたくない」。
一般企業でもそうだが、そういった状況の中で物事が流れているので、一気通貫のワークフローにはなっていない。
最終加工のポストプレスにフォーカスして、そこを基準に面付けを考えると非常にスムーズに流れる。そういうところに視点を移してくださいという意味である。
ポストプレスに視点をより向けていただくことで、よく言われるワンストップが実現していくのではないかということになると思う。逆にここに目を向けないと、おそらくワンストップという流れはできない。
今回のdrupaではデジタル印刷が次第に大判化。枚葉ではB2の機械が出てきている。
乾式電子写真から液体現像方式へ、より実用化に向かっている。それから非常に騒がせたLanda nano graphic printingの登場。inkjetヘッドの低価格化。オフセットの方は、UV装置による小ロット化で対抗するようになってきた。また、オフセットにinkjetヘッドを搭載したハイブリッド化も出てきている。
私どもは、色々なメーカーさんとのコラボレーションという形で今回はやらせていただいた。
XeroxとはCi・Pressというロールのタイプの印刷機であるが、その後加工機で中綴じの機械を出した。
小森とは、ハイブリッドUVの機械の後加工として中綴じの機械。
HPブースでは、枚葉のもの。シートカットして串刺しの面付けで、1冊にまとめるような流れのスタッカーを出した。それから製本の機械。
Canon OceブースはColorStream3700、一番新しいタイプのロールの機械。フルインラインで中綴じまでできてしまう仕組みを出した。通常の枚葉機の方は製本の断裁の機械。
Screenブースでは520というインクジェットの機械の後加工として、ブックブロックを作るところまでの出展をした。
東京機械ではここは製本の作業的な形で製本機を置いていただいたという流れだった。
まず、印刷方式sheetかwebか。どういう形に印刷されるのか。
それから紙サイズ。
次の通紙方向。あまりこういう目線では見られないと思う。どっち向きに流れるか。右からか左からかが、後加工系にとっては重要なポイントである。後加工機のほとんどは右から左へ流れていく。このあとに紙の基準というところにいくが、こういったところが非常に重要になってくる。
4番目も重要度が高い。手前か、奥か、センターかどの基準なのか。どこの基準で印刷されているか非常に重要である。オフセットからの流れの場合にもここの基準と合わせることが重要度が高いが、デジタル機の場合も手前基準、奥基準、センター基準、それぞれある。
Xeroxは手前基準で流れてくる。インディゴの場合は奥基準で流れてくる。Canonはセンター基準で流れてくる。例えば連結で機械を持っているとすれば、この基準に合わせていかないといけない。仮にオフラインであってもこの基準に合わせて加工していかないといけない。
それから縦通しか横通しか。縦通しの機械の場合には幅の狭い機械で流れてくるが、横通しの機械の場合には幅の大きい機械になる。そういう意味で重要度が高い。
6番目の印刷の方式。これはそれほど後加工にとってはどうかということはないが、Inkjetだから波打ちがどうなのかとか、染み込んでいるからどうなのかという意味での関連性である。
7番目、これは重要度が高い。表面処理である。定着オイルを全面に塗っているとPURという製本方式でないとくっつかない。最近のプリンタの場合はほとんどがトナーにオイルが混入型になっているので、印刷されていないところにはオイルは載っていないということで、製本の利便性は大変良くなった。一世代前のプリンタの場合は多くが全面に定着オイルが塗られていた。製本すると全然くっつかないというトラブルが多く発生した。そのためこの部分も重要度が高い。
8番目は傷である。一般的にはデジタル機の場合はオフセットに比べると表面がやや弱い。傷への対策をどうするかということは重要度が高い。各メーカーさんの機械によって傷の付き方は違うので、仕上がりを平面上で見るとか、折ってみるとか、爪で傷を付けてみるとか、そういうところで印刷機の仕上がりをみることも重要である。
右から左に搬送する機械の主なものである。電子写真系、inkjet系。右から左が枚葉の機械では多いと思う。こちらは左から右。左から右に流れる枚葉の機械としては国内ではXeroxだけである。左から右に流れて手前基準で出てくるのがこちらの機械である。
これはOceの枚葉プリントの一番大きいものである。左から右に流れる。それから右から左、ロールの機械、デジタルから入られたロールのメーカーは大体右から左だと思う。
それに対して左から右。輪転の文化からきたところは左から右なのかなという印象を持っている。右下は小森が新しく技術展示として出されていた機械である。これも左から右である。
その横がミヤコシ。これも左から右。KodakのProsperも左から右。輪転文化からくるとこういう形になるのかなと思う。
仮に右から左に流れ、ホリゾンの機械をこれにつなごうとすると、ロールを180度反転させないとこれにはつながっていかないのである。結構大変な作業になってくる。
ロール式デジタルプリンタ出力を折加工+無線綴じ製本で仕上げる場合。これをベースにご紹介したい。
本を開いたときに紙の目はああいった形で走っているのが一般的である。表紙も一緒である。表紙にラミネートなどの硬い表紙を作った場合には、非常に反るので、ラミネートする表紙だけ逆目を使うこともある。2番目のロール紙の場合の紙目は、この方向に決まっている。
続いて、折ったあとの基準である。洋書の場合は左綴じ天袋という形で基本的には折っていく。和書の場合は右綴じ地袋という形で折り上げていく。それぞれ折ったものの基準はこことここである。基準が移動していく。もともと平の場合は印刷機の場合は印刷機の基準と合わせていくが、折った場合には基準が変わってくる。
印刷機の基準と後加工機の基準を合致させると精度の良い製本仕上がりとなる。合わせなかったら精度の良い製本仕上がりにはならないのである。左から順番に出ているが、紙折り機の場合の基準、手前と進行方向の突き当てのところである。
製本機にも基準がある。袋になった状態で合わせていく。断裁機は色々な基準を作っていくので、両方に基準、奥にも基準を持っている。それから最終仕上げの三方断裁機。色々あるが、画が出ているのは奥当てという形の基準を持っている。
次に切り落としのドブとラップである。トンボ基準で紙を折ったときに折りずれが出る場合があるが、折りずれを余りとして出す部分、それをラップという。ドブ、切り落とし量であるが、刃で安定して切っていくのに、3ミリくらいは欲しいということで、3ミリという数字が書いてある。下のラップは、出ない方がいい。中綴じの場合は別だが、最後に糊付けの本にする場合は、ラップはできるだけ出ない形にするのが望ましいということになる。
小森のリスロンの印刷機で刷った場合の面付けである。菊全の紙である。青いふちが菊全の紙の寸法である。それに対して16ページ面付けをしている。センターを49.5空けている。最後に16ページに折るが、折り上げるとここがノドになる。綴じるところである。この部分で綴じるのでここから本の見開き側の距離、これを一致させるとラップが出ない。折り上がりの誤差が出ない。この寸法とこの2分の1の寸法が一致するとピッタリ合った折り加工ができるので、センターを空けてある。センター6ミリというのが一般的な常識のようになっているが、なぜ6ミリなのかを聞くと、「さあ」という答えが多いのではないか。印刷業をされているお客様に聞いても、昔からそうやっているからという。
プリプレスのメーカーに聞いても、なぜ6ミリなのかという明確な答えは聞いていない。こういった形でセンターを多く空けてラップが出ない面付け。
それから通し方向。本当は小森の印刷機はカラーバーがくわえ側に入るが、これはくわえ尻にもっていっている。くわえ側にもっていくとくわえる距離がないためである。
印刷後に製本業に回されたときに、プリカット、粗裁ちをする。粗裁ちだけで大きな断裁機を構えて、人手を使って、何万ならそれ全部、全数を切る。
この工夫をするだけで、その工程を丸々省けることになる。紙の基準に合わせて印刷をして、その基準に合わせて、このまま折り加工にいく。つまり、一工程丸々省ける。大きく効率化が図れる例である。
同じ考えでデジタルの方にも考え方を投入している。ロールからだが、これはdrupaで紹介したスマートバインディングシステムである。ロールの機械から巻だし、そしてカッター。それから紙折。そしてブックブロックを作って製本という流れで、最後は断裁。ここで特徴的なのは、ロールの紙は8千メートルとか1万メートルあるので使うのにハードルが高い。少しでも下げていただくために付け合わせをしている。枚葉のものではギャンギングと言うが、これはロールの中での付け合わせである。
A5近辺の仕上がりのものを3種類、1つのロールに付け合わせる。それぞれ仕上がりが違う。厚みも違う。ブックブロック、同じサイズで作るのである。
A4近辺の仕上がりのものも、それぞれサイズも厚みも違うが、折り上がりまでは同じである。これをそれぞれ別のロールに印刷をして流した。
最後の断裁のところで、それぞれのサイズに合わせて切るということができた機械を出品できたのだが、このような機械を使用すると付け合わせて出てきたものを最後の断裁のところの、切り量で違う仕上がりにできる構造を持つことができる。
これはdrupaのときの映像である。12ページ面付けにしてある。順番に巻出しをして、先にシートカットをして紙折機で折っている。12ページ折りしたものを順番に束ねている。途中で、耳切とトリム系のことは一切やっていない。
積み重ねて、最後にマークを読んで、区分けを行って、ブックブロックとして排出している。
排出したものをここで揃えて、バーコードを読んで、表紙との整合を取りながら、製本機へ投入するという作業を行っている。最後に裏返しになって出てきているが、断裁機へと搬送されていく。
順番に、本ごとのコードを読んでいく。本に対してコードを付けているのでそのコードを読んで、断裁機のセットを変えていく。
今回、少量生産なので毎回サイズ替えをしていないが、本のコードを読んでセット替えをして、それに合わせて切っている。
これが切る前の状態のものである。ここでのデモとして行ってみるが、切る前の段階では2種類、A5近辺ものとA4近辺のものが2種類である。今度はバラバラにこの機械に投入するというデモを行っているが、A5近辺、A4近辺、またA5近辺。厚みも違う。これを投入すると、デリバリーができているが、明らかに切る量が変わってきている。それぞれ切る量を変えてきている。
レンジのところではバラバラにものができるということである。
こういった発想をもっていたのは、紙折機はサイズを変えるとトラブりやすいとこである。またセットが難しいということで、できるだけ紙寄りのところをできるだけ変えずに、そして出てきたものはできるだけバリアブル製本でやりたいということで、こういった発想にもっていっているのである。
特徴は、折り面付構成にしている。それによってシートの進行が1系統で進む。シートカット等で分割すると複数のジョブが同時進行しているので、ジョブ管理しにくいということで、折り面付を選んでいるのである。
断裁機のところで、バリアブル断裁が可能である。入口のところでコードを読んでそれぞれに合わせた仕上がりに瞬時にセット替えをして流すことができるのである。
こういったデジタル少量生産の場合は、非常にジョブトラッキングを求められる。紙折機のところ、製本機の投入部分、表紙の部分。こういったところすべて読み取り装置を付けてジョブの進行をリアルタイムで見ながら流していく。最後の断裁機のところ、最終的な成果物がどれくらいできたのかを読み取り検査をしながら流していく。
今回のフローは大日本スクリーンのEQUIOSというソフトウェアとの連動性が非常に高いのであるが、JDFの流れの中でプリセット情報を前側からもらって流すことを実現した仕組みである。
一般商品系のところでは道がたくさんあってまとまり切らないが、デジタル系で道を絞ってあげることによってプリセットの情報は流れやすくなる。こういったことにより現実に実現できたのである。
それでもどうしても難しいと言ったが、この機械の特徴は、一般的な紙折機を使っていていることで、セット替えがしやすいという点である。午前中にAジョブをやって、午後にはBジョブをやるということが非常に容易にできるという流れの1例である。
面付け系、基準系のところをご紹介したかったが、時間がかかるので、さわりだけ。A4近辺のところは8P折りを使った。A45近辺のところは12P折りを使った。面付けを決めるところが一番のポイントで、どこにバーコードや読み取りマーク、区切りのマークを付けるかが非常にポイントになる。面付けを決めた中に絵柄を流し込んでいくことが、ここの流れを作るためのノウハウだと思う。この中で、印刷の特性と合わせる無駄のない形にすることで、一気通貫の流れを実現したのである。印刷機が大日本のTruePress520で、この機械の特性を考慮した中で決めた面付けになっている。
12Pだったら、ここが袋の基準である。三つ折り、Z折りになっているので、ここが基準になっている。袋の基準からそれぞれの絵柄が決まっていく。8Pも同じような発想である。
同時進行だが、折機のほうで2つに折って、Z折りにして出てくる。出てきたときにはここが基準である。それを製本機に入れるときに掴みやすいように、ひっくり返す。反転させると基準が変わる。ひっくり返したところで表紙の基準と合わせて出てくる。そして断裁機に搬送されて、仕上がるという流れである。
もともとの印刷機での基準、製本するとき基準。これが合わさっている。合わさっていることで無駄な工程なく一気通貫で流れるようになっているのである。無駄のない形を作るためにはここが重要なポイントだと思う。
次は、一般的なオフセットのあとの製本機で、製本のラインである。それにこんどは先程のロールから折り、くっつけたものである。通常のオフセットの仕事の場合はこのユニットを使わずに、製本機から流す。ロールで印刷されたものに関しては、こういうユニットをくっつけて製本機にそのまま直結で、本にしていくという流れの機械である。
これは先程と一緒で、ロールからシートカットして、紙折機で折ってブックブロックを作っている。ブックブロックが順番に出てくる。ここから向こうが大型の製本機である。製本機のラインにつながっている。紙の向きでシートカットしたものを折っていく。積み重ねをここで行っている。積み重ねたブックブロックを製本機へと搬送される。
ここに紙が見えているが、ここが通常のオフセットで印刷されたものを紙折機で折って、ここの鞍に積んで製本機へと流すのが通常の使い方である。その通常の部分をスルーしてそのまま紙折機で折ったもののブックブロックが流れていくようになっている。
この機械はフレキシブルバインディングシステムという名称にしているのだが、要はオフセットのものでもデジタルのものでも両方を受けて製本加工ができるということで紹介したのである。
先程のものは、よりバリアブルから少量生産型だが、こちらは少し量が多い、オフセットからデジダルに置き換えたような仕事に対して、こういった仕組みがあれば満足していただけるのではないかという機械である。
先程の機械では時間500冊くらい。この機械に流すと時間1200冊くらい流れる。この機械は通常運転すると、4000冊くらいの処理能力を持っている。
drupaではこの2種類の機械を私どもとして、よりデジタル向けの後加工機として紹介した。
Smart Stacker
最後に、HPブースで展示をしたSmart Stackerである。この機械はB2で印刷されたものをシートカットしてひとまとめにする機械である。これもアニメーションを見ていただいた方が分かりやすいと思う。
横通しのものを最初7カット行う。最大28カットできる。直角方向に走って今度は4カット。当然、ドブ入りでシートカットをしている。最終的にはひとまとまりの束にして、排出をするスタッカーである。
アップで見る。最初7カット行ったものを直角方向で4カット。ドブを落としている。最終的には束にする。こういう発想のものである。
こちらも一緒で、インディゴ、奥基準。奥基準を想定して紙が流れるように作られている。
考え方として、先程の折り面付流れ、シートカット流れ。大判化していくデジタル機の中では非常に重要であるが、やりやすい方法はあると思うが、どういった方向で基準を合わせて流すかというところがポイントではないかと思う。
この他にも、枚葉で印刷されたものをシート断ちするシートフィーダ-や、オフセットのときにはあまり必要なかったが、筋入れ。筋入れしながら折りを入れる機械も要望があって出てきているのである。
デジタル化の中で、効率的な流れがどういうところかを理屈で考える。理屈で流れればそれが正しいと思うので、その流れを作ることが重要だと思うのである。
最後に表現するが、ポストプレスに少しフォーカスしていただくと色々流れが効率的に流れるのではないかと思うので、是非参考にしていただければ幸いである。
2012年7月24日T&G研究会「デジタルワークフロー時代のポストプレスdrupa2012に見るポストプレス最新動向」より(文責編集)