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Webファーストとは、もともと新聞社で取り組まれた方針で、要は「Webから最初に上げましょう」ということで、印刷物を発行するまでのタイムラグをなくすために、Webで発信し、その後に紙を発行するという流れである。
近年国内ではWebのインフラ、インターネット環境がどんどん整備されて、どこの企業もホームページを持っているし、小売店等々がWebを使ったプロモーションすることも当たり前になってきた。飲食店などは特にそのような傾向がある。
しかし、お客さんと話をしていると、やはり紙のステータス、重要度はまだまだ高い。お客さんによっては、「Webなんかまだまだ要らない」という話もある。
例えば、厚みが2センチ、3センチあるような総合カタログなどは、特にBtoB系だが、お客さんの会社の棚の中にそのカタログがぽんと置いてあり、それを見て、そのメーカーに注文する。
総合カタログを1冊作るのは大変だという話をしていて、「薄くてもいいのではないか。分冊してカテゴリーごとにカタログを作ったらどうか」という提案をしたら、「そうではない、分厚い背表紙が営業に一番効いている。しょうもない営業マンが行くより、これがあるのが一番効果的なのだ」と言われた。
看板的な要素や、何かあったときにぱっと目に入る「何々社の何とかカタログ」という単純なコピーが入っているところが非常に効いて、これをやめられない。お金がかかるのは理解しているが、それを外すのは怖いということを教えていただいた。そういう意味で、看板のような役割も担っている。
また、文書構造を無視できることは、紙の良さでもある。我々はデザイン会社でもあるので、Web上では大見出し、中見出し、小見出し、本文というような流れの構成を組み立てるが、紙のデザインでは最初に目に入るメインの言葉や絵を重視されることが多い。情報構造が明確にされているWebとは違い、最初のインパクトというか、誌面デザインやキャッチコピーなどのために、簡単に見た目の優先順位を変更することができる。結果として、ターゲットにストレートに入りやすい。
その業種というよりも、その人に対してのアプローチが、デザインの力で変えていけるのが紙の良さだと思っている。
お客さん側から見ると、情報検索の範囲が広がるところにある。個人のPCからWebやインターネットに接続できるようになって、あらゆるところから情報を引き出すことが出来るようになった。そのため、分厚い総合カタログの存在感が少し薄れてきたようなところがある。
今はちょうど過渡期であり、「紙が大好き」というお客さんと、「いや、もうデジタルでいい、Webでいい。データください」というお客さんと、両方いらっしゃる。1つの企業の中でも2種類の人がいらっしゃるため、その両方に対応しないといけない。
そういうことから、Webの構造を使って、商品情報などは特にそうだが、構造化できるので、まず情報の整理をしよう。要は、Webの商品情報サイトを作ろうという考え方で、一緒に情報の整理をして、それをFIXした後で紙に落とすという流れのプロセスを提案したりしている。
それをすることによって、ちょっとメリットが出る。お客さんとしてはチラシも作らなければいけないし、総合カタログも作らないといけないし、Webも作らないといけないし、最終的にはタブレット等に入れるPDFまで作らないといけない。
その都度、スペックとかコンテンツの中身を精査して、制作業務をおこなっているのが現実である。
まずWebから始めることによって、コンテンツの制作から公開までのスピードが上がる。紙の前に、まずWebで基本情報を流そうというような流れを作る。
まずWebコンテンツを流すことで、顧客のニーズとか営業のクレーム対応とか、「もっと情報はないのか」というものを戻してもらった後に、紙に落としていく。もっとコンテンツ自体を膨らましていくという作業が進むと思っている。
データを基本的に一元化する。それはデータベースでもいいが、Webサイトでもいいのではないか。Webサイトをデータベースという考え方で、私はよく提案している。関西は、特に経費面が厳しいという現実がある。DBシステムとなると何百万、何千万という話になってしまうが、Webサイトなら、既に持っていることが多い。
Webサイトのコンテンツ自体を、全部文書構造化してしまう。後々、それをベースにデータを使い回せる。HTMLから最終データベースにいつでも流せるような構造にしてしまえば、お金があるときはDBを作ればいいし、それまでは簡易なCMSを後ろに付けて自分たちでメンテナンスしていけばいい。
よくコンテンツを育てるという言い方をするが、これによってコンテンツを育てないと、営業マンが働かない。悪い言い方をすると、今の営業マンはあまり何も考えていないというのが現実的にあって、商品のことを知らないとか、昔の営業マンと違って、そのまま説明しているらしい。
営業のトップの人と話をすると、ここの部分が一番の悩みのようだ。コンテンツ自体をどんどんブラッシュアップして膨らましていくと、営業マンがそれを見て勉強して、他社と比べてもたくさん話しができるという教育的な効果もある。
それによって、プロモーションツール、チラシとかカタログというものがたくさん出来上がる。1つの商品に対して、カテゴリーやジャンルが2種類あるとすると、1つの商品情報から2つのチラシ、2つの提案資料を作る必要がある。ターゲットが全然違うので、違うものになってしまう。
それによって、売れるもの、売れないものがはっきりするので、次の年は、「こっちは売れなかったから、もうやめてしまおう」というような話を当然相手は考える。そういうところでコストをどこに持って行くかというようなところも当然検討されている。
あとは、データ流用の容易化、使い回しというのは当たり前で、技術が進歩しているので、もうなんでもできるのだということで、あまり考えなくてもいいのではないか。基礎的なものだけしっかり管理しておけば、使い回しというのは技術が全部カバーしてくれる。
「最新情報の印刷対応も可」というのは、ハルではオンデマンドをやっているため、「少しを何回も回しましょう」という提案をよくしている。
究極で行くと、背表紙の何センチの太い総合カタログを、毎年3万とか5万とか、数千万かけてやっている会社もあり、コストがどうだという話がある。「物理的に印刷したらお金がかかるのは当たり前である。それなら、1冊5万円で10冊くらい作ったらどうか」という話もさせてもらう。
例えば数千社のユーザーがいて、そこに撒くために何千部もの印刷物を平等に配ろうとするというのが、そもそもナンセンスだと思う。なぜかというと、実はそのお客さんは上位10社で成り立っているということが多々ある。BtoBは特にそうである。
それなら10冊でいいのではないか。「それ以外はPDFでよろしく」というところで処理できないのか。「欲しければカタログを買ってください」というのが究極にできるといいが、絶対売れないからやらないが、「デジタル化しましたので」とか、いろいろな言い方をしながらコストかけるのを平等にというのをやめてみてもいいのではないかということを提案したり、トライでやってみるようなこともさせていただいている。
やめるというのは、なかなか担当レベルでは「やめます」と言えないというのは現実的にある。違うやり方とか、いつでも対応できるとかいう形で、緩やかなシフトでデジタル化というか、大量の印刷物をどうするかというところはよく話している。
私は、オンデマンド印刷を持っているからという話もあるが、実は印刷物が急になくなるよりは少しずつなくならせたい、やはり言うからには「ちゃんと印刷しましょう」と考えてもらいたい。
そこに持っていかないと、担当の人は上から言われるともうコストという話にしかなっていないのが現実である。これをやめたら本当にボディーブローのように商売に響いてくるようなケースが当然あるので、やはりちゃんと考えてもらいたい。
「5万要るものは5万要るのだ」ということにしていかないと、急になくなったらもう戻ってこないというような世界がある。あるいはコスト競争にはめられていく、もっと激化するみたいな世界にしかならない。数字として見えたり、感覚として理解すると、「やはり要るものは要る」というところに、お客さんとしては理解してくれる。
印刷というのは、説明できない。デザインもそうである。「このデザインにしてから売上が上がる」というような話は、全然数字として残らないし、トップの感覚という世界が結構あるので、そこに振り回されたくないということで、こういうことを話すようにしている。
Web化するということ、つまりシステムを構築するとお金がかかる。1つのところに一元化しようとすると、バックアップはどうするのか、何かあったらどうするのかとか、あとは同時に修正をかけて新旧があったらどうするのかとか、しっかりしたシステムになってしまい、そこに大きなお金がかかる。また、そこにお金がかかるから印刷物が減るというような世界になっていく。
もっとシンプルにするにはどうしたらいいのかということをいつも考えているが、デメリットとしては、違うところにお金がかかるというのと、リスクが発生するというところだと思う。
もう1つは、紙のように物質化していないということで、お客さん側の認識が、私は40代なので古いのかもしれないが、触らないとわからないとか、画面で見ていてもあまりピンとこないということがどうしてもある。
そこの影響というのが、20代とか30代のお客さんと話していても、そこの部分がある人も当然いるし、画面で全部やってしまう人も当然いるが、最終的にこれを何に使うのかというと営業に使うという話なので、営業マンに渡して、話してめくってみたいなことで、付箋を貼るとか折るとか、この辺の作業が実は無駄なようで効いているのではないか、と思っている。
ハルではたまにPR誌も作るので、トップ営業の人に取材したりするが、やはりトップを走っている人はまだまだアナログである。そういうことがあって、やはりそこは外せないのではないかと思っている。
BtoB企業ではじめるWebファーストというところでは、商品情報のDB化というのがある。ちゃんとしたデータベースを作るほうがいいが、「Web上で商品サイトの構築をしっかり構造化してメンテナンスするワークフローを作りませんか」というスタイルから、Webの商品情報から紙の総合カタログへの展開。ここでいくと自動化ということで、今はいろいろなツールとかシステムができていて、フル自動というのもあるし、人的な半自動みたいなものもある。ざざっと流して人間がチェックして詰めたりするということもある。
あとは、WebとかタブレットへのPDF化と書いているが、電子カタログ化でもいい。それを顧客および営業マンへの配布をしている。それから総合カタログの印刷という、こういう流れでWebファーストというものを、シンプルというか、こういうスタイルでやっている。
最終的にはその印刷データ、DTPしたデータを、商品情報、Webサイトのほうにもう一度戻すということをよくやる。これは、最終ではない場合もある。いつも最新のはずだが、開発途中にマイナーチェンジしたり、少し不具合を見つけたりすると、随時変えている。しかし、担当者が忙しくて追いつかないというのと、いい加減な担当者だとやっていないということがよくある。
やはり紙というのは非常に重要だと思うのは、私はこのポイントを全部紙にしていて、「紙の印刷はお金がかかるから、いつでも直せないよ」という、「発行すると今期はもう印刷改版できないですよ、来年までずっとこれだよ」という話になるので、紙の印刷の前に全部、再度チェックしてもらう。
こちらのほうでもするが、本当の情報が最新かどうかというのを担当に全部回した後に印刷するので、印刷データというのはその時点では最新ということになる。このデータが勿体ないのでWebサイトに戻す。
こういう取り込みの仕組みを単純に作ったりするときもあるが、データベースのシステムのほうがやりやすいことはやりやすい。こういう流れを作っている。これによって、商品データが、データベースが陳腐化しないというか、ゴミ箱にならないという状態を作り出している。
これをすることによって反応がいいのは、カスタマーサポートと営業マンである。この人たちが使い出す。ここに行けばデータがちゃんとしている。なぜかというとお客さんに直結しているからである。お客さんに突っ込まれると嫌なので、ちゃんとしてほしいという話も当然あるし、安心感があるからここで全部見ている。お客さんが見ているものとほぼ同一のものを見せているというので、だんだん使い出す。
社内が実は一番大事という世界になっている。ここを押さえられると、データをきれいにせざるをえないというか、いろいろなところから不備があったらみんな突っ込んでくるという仕組み、要は人間のチェックシステムができ上がる。全社員が見ているというところでいくと、手が抜けなくなるというのがロジックでできる。それが実は私の狙いで、うまくいったというものがよくある。
大体、この仕組みが潰されるのは、人に潰される。非常にいいシステムなのに潰れていくシステムというのは、大体、担当とか社内で潰されていき、うまく回らない。何か理由を付けてちゃんとやらないということで、使いものにならない。ごみ箱に何千万もかけているというケースをよく耳にするが、やはりそこではないか。
システムはきちんとしているので、人間がきちんとしていないだけというのが、この10年以上見ていてずっとそんな感じで世の中動いているというのがよく見える。そこを、PDCA化等でもっと動作をシンプルにしてみんなが見るという仕掛けにしていくと、きちんとできていく。やはり同僚に言われるとちゃんとするだろう。そういう世界である。
軸ができてしまえば、そこから派生する他のプロモーションのツールにも、やはり効果が出てくる。みんなそこから取ってきてくれるので、商品情報のチェックやスペックチェックをほとんどせずに済む。人的にオペレーションすると、データが入れ替わったりする可能性があるが、基本データというのはここしか取ってこないというものがロジックでできてしまうと、ほぼチェックが楽である。他のツールに展開するときにも、やはり効果が出てくると思う。
お客さん側では、最新情報、最終情報だといってくれるが、一元管理していないものが多々お客さん側にはあるので、「実は開発担当者がExcelで持ってます」とか、どこが一元管理なのかというような話がある。
これもバージョンがいっぱあって、あちこち飛んでいるタイミングで回りまわってきたものが実は一番古いものだったりすることがたまにある。そこがネックなので、皆さんここに入るという一本軸を決めることで、こういうことが成立する。理屈じゃなくて本当にという意味でできていくのではないかと思う。
日々、メンテナンスが基本だが、Webサイトを軸にしたデータ管理することで、印刷物へのタイミングをチェック、そしてメンテナンスのポイントとするというのは、先ほどお話ししたようなポイントだと思う。そんな感じで、あまりお金をかけずきっちりするには人が一番大事だといつも思っている。
Webファーストで何が変わるということで、4項目挙げた。こういうプロジェクトをするときに、お客さんにいつも最初に設定していただくものは、目指すべき姿ということである。
まず、目指す姿というのを決めていただき、絵にして書いていただく。箇条書きとか、明文化してもらう。そこで挙がってきたものは、理想である。真ん中にデータが一元化されて、各部門からデータアップロード、ダウンロードする。ここから直結しているのがホームページである。「これを一気にやろうと思うと、基幹システムとか営業のスタイルとか、すべてが関与して来るので無理でしょう」という話をよくする。「じゃあどこからスタートしましょうか」ということ、マイルストーンをポイント、ポイントでどこに置くか。「簡単なことから始めましょう」のようにして、進めていく。
我々に依頼して来るのは、システム部門ではなく、トップかもしくはプロモーションの部分から来ることがほとんどなので、手を着けるのは、やはりカタログとか紙媒体からである。
そこは、実はあまり影響を受けない。基幹システムに連動させていないという会社がほとんどなので、やりやすいということがある。
CADや図面系とか、受発注の仕組みや在庫のシステムと連動させようと思うと、大体潰されるので、基本的にはタッチしない。
優先順位としては、メーカーの場合は往々にして開発が一番大事である。もしくは社長が営業出身なら営業が一番優先順位が高い。これは会社によって違う。
しかし、プロモーションというのは一番下である。一番最初に削られている部門なので、肩身の狭い思いをしているところが多い。それもあって結果を出しやすい、独立しているのでやりやすいというのと、数字として見せやすいというところがポイントである。
ホームページを絡めているというのは、陳腐化したホームページが、誰も見に来ないようなサイトの場合は、まずGA(グーグルアナリティクス)を放り込んで今の数字、数か月分の数字を全部取る。
そして、このカタログとホームページの中身をどう連動させるかということをした結果で、当然数字が変わる。絶対と言っていいくらい、確実に少しずつ上がっていく。
まず、社員が見出すというので、もう数字が上がる。社員が見ると、外に影響が全部出ていくので、プロセスとしては確実に数字が出る。
私はその数字をお客さんに提示したいがためにそれをやっているだけの話である。数字が出ると、みんな「うん、うん」と言ってくれるので、そういう形にしている。
どこまでやるか、費用的な問題もあるので、フルアナログになることもあるが、自動化できるところはどんどん自動化していく。少しずつバージョンを上げていくことが望ましい。
Webファーストにする目的の1つに、営業効果がある。
例えば、カタログの配布を増やすために何をすべきか、ということである。配布を増やすことで、結果的に売上が上がる。そのためには、いつも最新で使えるカタログにする必要がある。5万部刷って3年間使い続けているというようなカタログが、まだ世の中にたくさんあると思う。3分の1くらい廃棄せざるを得ないが、担当者としてはこれを使い切らないとしょうがないということはよくある。使えないカタログを管理している担当者ほど悲しいものはない。営業からは文句を言われるし、捨てようとすると、上から「これは無駄だったのではないか」と言われる。
顧客の多様化には対応するしかないので、タブレットとかWebとかデジタル媒体を、使えるものは何でも使おうというところで営業効果を上げていく。
あとは、営業マンの働く環境を良くする。どこの営業マンも大変だが、メーカーの営業はやはり大変である。特に地方に行くと、「四国全部を1人で担当している」とかいう話を聞く。そういう人は車で当然移動するので、トランクを開けるとカタログが山ほど入っている。
車の人はまだいいが、都心に近付くと電車で行けとか自転車で行けとなると、山ほどカタログを持って走るということになり、これこそデジタル媒体が必要だろう。
特に田舎は、「直行直帰してもう帰ってこなくてもいいように、全部デジタル媒体で日報から何からできたらいいのに」とよく言っている。
それと、営業ツールを増やす。これはWebファーストにすることで、コンテンツを育てていくこととも繋がる。コンテンツが育ちだすと、アイデアが、ぱっと見て考えなくても出てくるというケースがある。「こんなデータがあるならこうしようか、こういうのを作ろうか」というように、いろいろ考えている担当などは、そうやって予算を取ってくる。
あとはスピード化ということで、営業ツールを使いまわすと、どんどん要求が出てくるし、問題も出てくる。それを1年のサイクルではなく3ヵ月サイクルくらいできちんと回していけると一番いいと、よく営業のトップと話したりしている。
実際にガーデニングのメーカーベンダーみたいな会社があって、総合カタログもやっているが、そこの1事業部の、3,000アイテムくらいで毎年200ページくらいのカタログというか、料金表、スペック票みたいなものを作っている。
それは社内の商品データベースに、開発からカスタマーサポートから営業から、全員が見られる環境のシステムがあって、そこに提案資料から図面から全部入っている。
これがすごいのは、その社内のフロー上、全部これを介してでないと仕事が前に進まないような仕組みを作っている。要求したのはこちらだが、すごくきっちりやっている。それができるので、すべてこの仕組みを見ている。
このデータベースから、単純にCSVと素材、写真、カタログに使っているのは商品写真とスペック系、これを出力、CSVと画像を出してもらい、単純にInDesignで半自動で、Excelのリストが出てくるのでXMLに置き換えてInDesignでくわして流している。当然、テキストの強弱とか、あふれとか、写真の大小などは手でやるが、実働でいくと1日、2日で組んで校正を出して印刷で1週間くらいである。
いつもA5サイズでやっているハンドブックがあって、営業マンとカスタマーがいつも持つようなものを作っている。これを、今年はA4にしたいと言われて、A4で1回作った後に、「やっぱりA5かな」ということで、3回くらい作り直した。当然、そのお金はもらっているが、それでもひと月くらいで全部処理した。
その組版自体は流し込みみたいな世界で、1日、2日という世界である。テンプレート化するのに数日要るし、やりとりがあるので1ヵ月くらいかかっているが、そういうことも半自動で、全自動だともっと楽だが、流し込みで、使う用途によって変えるということをいろいろ提案したりしている。それほど特化した技術ではないので、誰でも、ちょっとわかっている人ならできることだと思う。
あとは、最終の組版データをデータベースに戻すというクリーニングをいつも行っている。これを自動にしていない理由というのは単純で、先方の要望が毎年変わるからということだけである。がちっと決まってしまえば、「システム化を頼むから」ということになるが、それをやってしまうとえらい目に合いそうなので現状やっていないというところである。
これをベースに全部他のツールを展開していっているので、基本、スペックは見なくてもいいだろうというやり方をしている。
なおかつ、ここでやっているのはタブレット化で、営業マンがみんなiPadを持っているので、みんな自分で取りこんでいく。InDesignで作っている理由は、全部ページ内リンクをタグに入れておけば出てくるというのと、もう1つは、一元化のデータベース側に実際の公開用のサイトがあって、そこのURLを、商品ページのURLをデータベースの中に一緒にアタッチしているので、リンクさせて、印刷用のPDFとタブレット用のPDFを、URLまでセッティングしたものを再度納品している。それによってタブレットで見る人はWebにも全部飛んでいく。
これは便利だと言われているのは、カスタマーのページである。カスタマーというのは、社内の仕組みを見たり、たくさん画面を立ち上げて見ているようで、それが結構面倒だということで、タブレット上でお客様が見ているページが出てくるようにした。単純な仕掛けだが、それが非常にカスタマーサービスには好評のようだ。
タブレットを基軸にするとそれはそれで面白い。基幹のシステムの、ブラウザ系の仕組みが最近多いので、基幹システム用のボタンを付けて、基幹システムのプルパスを入れたらそこから飛んでいくことも可能だという話をしている。
やはりデータをきちんとコントロールしようと思うと、元のデータをきっちり作るということだけは押さえておかないと、やはり振り回されてしまう。
結局何をやっているかわからないようなことが、よくある。我々も痛い経験をしたので、その辺の人材育成というのをかなり気にしてやっている。
我々は取説も作っているので、余計にきっちりしたものを作る、きっちり確実に作るという、オペレーションであったりチェックというのを体制として持つようにしている。
2013年4月23日TG研究会「Webファーストの実現と電子カタログの有効利用」より(文責編集)